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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
3章 とある勇者編
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さっさと帰宅

「城の地下に個人用のセーフハウスか、ベタだけどやっぱいいよねこういうの。ロマンがあるっていうか、昔俺も一つの星にダミー含めて何十個も作ったことあるよ」

まるでそこにいるのが当たり前のようにペラペラと喋る白髪。まず何故ここが分かった?この場所は今の魔王様が生まれるよりも遥か前に私が作ったものだ、私以外に誰もその存在は知らないはずなのに。こいつはいったい誰だ?

「ん?ああごめんごめん、自己紹介を忘れていたね。俺はクロン、君が戦ったあの銀髪の師匠だ。よろしくね」

あの銀髪の!?痛む体に鞭を打ち、戦闘態勢に移る。同胞たちから受け取った魔力はもうほとんど残っていないが、それでも私は魔王軍の双璧の一人、ここまで油断している相手ならば……。

「ハッキリ言って君が負けたのは完璧に地力不足としか言いようがないんだが、それでもあの判断力は中々だね。君の体はミカの初撃の斬撃にすらかなりのダメージを受けていた、見た目はかなり薄い傷だったのにね。だからゴーレムで身代わりを作り、闇魔法の幻覚で本物に見せて遠隔操作。あの一瞬で即座に勝ちの目を捨てて逃げの一手を選んだのはお見事と言えるね」

「っ、一体どこまで!?貴様何者なんだ?!」

「う~ん、説明が難しいからパス。君が今ここで降参して後は静かに余生を暮らしますってんなら考えるけど、そんなことするつもりないでしょ?後数分の付き合いなんだし別に教える義理はないね」

そう言い終わるとそのクロンと名乗った男は突然爆発的に殺気を漏らし、あからさまに私を始末する気で魔力を高める。

勝てない、逃げられない、そんな未来を想像することすらできない。ジオやあの銀髪以上に隙がなく、魔王様よりも感じる魔力は多い。加えてどうやったのかは知らんが私の行った策を看破するだけの力もある、天地がひっくり返ってもどうにかできるビジョンは浮かばない。

それでも私の中に諦めるという選択肢はなかった。

「『ソイルツインz「『風当たり』」

せめて一矢報いようと魔法を使おうとした直後、腕が霞んだかと思ったら私の視界は割れてそのまま意識が遠くなっていく。

「君を説得してミカの前に引きずり出すのは難しくないが、正直もうこの星は飽きててね。ここから何かイベントが起きても蛇足だし、君を殺すのが一番手っ取り早いんだ。悪いがさっさと退場してくれ」


*************

「闇魔法の幻覚ってのは本人にそう認識させるものだから、うまく使えば違和感を感じにくいのはそうなんだが……。この手の対応が難しい技への対抗策の少なさが今後の課題か、とりあえず基礎能力の高さでどうにかできるような戦いでの強さは身についていたか」

にしても失敗したな、ミカに実戦経験を積ませるのと俺達とは違って固定観念に縛られがちな短命種達との会話で視野を広げさせるために一人で行動させてみたんだが、何かミカが順当に優秀さを発揮しただけで終わったなマジつまらん。

弟子が修行によって強くなってるのは素直に嬉しいんだが、コレジャナイ感が否めないよな。強いて言えばあのジオ君ぐらいか、まともに苦戦したのは。それにしたってただミカの強みを抑えに抑えてようやく、だしなあ。命属性を使わざるを得ない事態ぐらいには追い込んで欲しかった。

まあいっか、時間は腐るほどあるわけだし問題点が分かっただけでも十分だろう。次は先に行く場所のリサーチを入念にしておくべきだな、せめて気ぐらいは使っとかないと勿体なさすぎるからな。

さてさて邪魔な奴も処理したしサッサとあいつを迎えに行きますか。仮にあの爺さんを生き延びさせたとしてもせいぜい村一つ滅ぼせるかどうか、人間換算八十越えなのに戦場でハッスルしてたら多分残りの寿命は五年あるかどうかでしょ。

まともに動けるのは二年あるかどうかかもしれない。今この段階で戦って殺されたのはある意味あいつにとって一番納得できる死に方になったと思う。なんて優しいんだろう俺。ついでに無駄な死人が出ることもなくなるからミカの精神のためにもなる、なんて素晴らしい配慮なんだろう。俺は実は聖人だったのか?

まあこれをミカに言う気はないがね。恩着せがましくてカッコ悪いってのもあるが、やっぱり身内がヒトを殺したっていう事実はあいつにとって不快でしかないだろう。あいつの生命至上主義は本当に面倒くさいが、事情は理解している以上あまり迂闊な事はしたくない。できるだけ余計な刺激は避けるべきだ。

はて、今あいつは……。お、まだ人間の領地にたどり着いてない。ナイスタイミングだな、今からまた勇者どもに会ってたら色々と長々話をすることになりそうだ、その前に回収してしまおう。


*************

(ミカ視点)

「はあ」

ゴーレムに乗せられて人間の領地に向かって移動中、印象悪いとは分かっていながらも思わずため息をついてしまう。ヒトを殺させないために強くなったはずなのに、目の前で自殺されると流石に凹む。理解をする気はないし、受け入れたくもないが、それでもあれがあの人の言う覚悟だったんだろう。仮にあの瞬間は止めたとしてもその後どうにかして人間を巻き添えにして死んでいただろう。それは俺にはどうしようもできない。

俺の力不足ではない、仕方のないことだった、頭では分かっていても中々飲み込めない。もっと何かやれたんじゃないかっていう考えがどうしても残り続けてしまう。とはいえ恨みをぶつける相手がいるわけでもなく、具体的に何が悪かったのか分かるわけでもなし。過去を変えられるわけでもないので、ただ漠然とした無力感だけが残っている。

「~~か~~、~~い!」

「うん?」

ほんのわずかだが、後ろから嫌という程聞き慣れた声が聞こえた気がした。このテンションで相手するのは正直複雑だが、反応しないと後ろからラリアットの一つでも食らいかねない。憂鬱だが大人しく振り向くと、とーっても綺麗なフォームで走ってゴーレムに追いつこうと走ってくる師匠がいた。

いや、追いつくとかそういうレベルじゃないな。長距離走だけなら俺よりも遥かに早いこのゴーレムの更に数倍の速さで迫ってきてる、凄い土煙を出しながら来てるもん。脚力が凄すぎて地面バキバキで半分耕している感じになってる。

「ちょっ、魔王さん止めて止めて」

そうしてゴーレムがストップすると、ほんの数秒でここまでたどり着いた、と思った瞬間俺の腕がガッチリと掴まれた。

「よし帰るぞミカ、もう修行としては十分だろうし後は帰ってからだ。じゃあね魔王ちゃん、こいつが今までありがとねー!」

空中に放り投げられた、かと思ったらいつの間にやら俵担ぎされていて、気づいた時には既に走り出していた。あまりの急展開にお別れの挨拶をすることもできずにただ呆けてしまっていた。


「もう何かしらツッコむ気も失せましたけど、どうしてあんな急に?何も言えずにバイバイは寂しいんですけど」

「しゃーない。お前は不老長寿だからな、別に殺されなくてもいつの間にか死別していることなんて珍しくもないし、今回のはこれの予行演習とでも思っとけ。あの勇者君ともそこまで仲良くなれてなかったんだろ?今のうちにこういうサヨナラも経験しとけ。安心しろ、ある程度魔族の条件が良くなるように俺は少し残ってあげるから、特に心配することはないぞ」

なら安心だな。ドタバタ感が凄まじいけど、ようやくこの星での活動も終わりか。約一か月ぐらいか、ろくな思い出もないし確かにそこまで寂しくもない気がしてきた。

若干ホームシックになってきたところだし、家に帰ったらまずは何しようかな?


これにてこの章は終わりになります。受験期とか諸々被さって一年以上掛かっているという恐ろしい事実、そのわりにオチがメッチャクチャ駆け足になってしまい本当に申し訳ございません。

それとまた持病の新作書きたい病が出たので投稿が滞ります。そこでの経験を活かして更に次章はより良いものにしていくつもりなのでご了承ください。

良ければ新作も見てくださいね

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