決着
天変地異と見間違える程強力な魔法が“彼”を殺そうと襲いかかる。
まさしく神話の如き力、この世の物がこの破壊の前にチリ一つも残せるとは到底思えない。
しかし、
「『シールド』」
“彼”の生んだ魔力の盾一つに全て防がれ傷はおろかホコリをつける事すら叶わない。
まるで世界を隔絶しているかの如く盾の後ろに一切の破壊は生まれない。
「グァッ!」
と思えば“彼”の魔法は眼前の魔法を全て掻き消しなおかつ『神』へ小さくない傷を与える。
『神』は怨嗟の声をあげ背筋が凍る様な殺気を放ちながら業火を、極寒を、暴風を、土石流を、雷雨を、あらゆる破壊を生み出す。
それでも“彼”を傷つける事は出来ない。
その姿へ『神』よりも神々しいものだった。
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『神』の魔法はまさしく神と呼ぶべき凄まじいものだった。
それでもクロンさんは全て防いだ。
はっきり言わなくても恐ろしい、神すらクロンさんを滅ぼせない。
ならクロンさんは何なんだと言うんだろうか…
「おのれおのれおのれおのれおのれ!!!
何故貴様は滅びない!?この俺が、私が、妾が、予が!死ねと言っている!何故倒れない何故死なない何故傷つかない!?何故何故何故何故何故!?」
『神』がクロンさんに向けて怨嗟の声をあげる。
しかしそんな言葉意にも介さず1歩1歩少しずつクロンさんは近づいて行く。
「アルカはね、俺のたーいせつな孫だし、一応正義の為に戦ってた訳だ。
だから俺もあいつの努力の成果を見てから倒したんだが…
お前はただ俺が邪魔だから、だ。何よりアルカを殺した。
俺に剣を向けたとは言え俺の孫だからね、ケリも俺が着けたかった訳よ。
あいつが死んでしまい悲しむ程優しい心を持ってるわけじゃないけどね?
落とし前はつけさせてもらうよ。」
そう言ってクロンさんは剣を構える、それは見惚れる程に美しい構えだった。
武の極地とはこの事を言うのだろう。
その剣が振り下ろされる瞬間まで魂が抜けた様に目を離す事などできなかった。
そして轟音に我に返り正面を向くと驚くべき光景が視界に入ってきた。
『神』も大地も空も両断されていた。
そんな光景を当たり前の様に創り出した当人はこう言った。
「冥土の土産に教えてやるよ、五万年前にどうして俺がお前を殺すんじゃなく封印したのか…
別に大した理由はない。ただお前の存在が与える影響が面白そうだと思ったからだよ。」
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結論から言おう、特にこれと言って変化は起きなかった。
と言うのも、死者がアルカさんしか出なかったからだろう。
意外にもクロンさんが絶妙な手加減をしていたおかげで国が消費したのは僅かな物資と装備だけだ。
この程度なら他国との勢力バランスは崩れず大きな問題はない。
強いて言えば監禁していた冒険者への賠償金だろうか?
そこまでの金額ではなかったし何より今回の騒動の原因であるクロンさんが何も求めなかった事が極めつけだろう。
殺されかけた本人が特に要求しなかったせいで他の人も何か求めづらくなってしまったのが大きな要因だろう。
まぁ平穏すら約束しなかったのは流石に気になったが…
どうやらクロンさんとの関係はしばらく続きそうだ。
やれやれまた騒がしい日常が戻ってくるのか…
まぁ嫌じゃないけどね。
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(クロン視点)
「よし、分身も置いたし準備も大体できた、そろそろ行くか。」
そうして■が指を鳴らすと■はこの世界から消える。
「シン君は中々面白い奴だったな、リアクションがいちいち理想的だったな。
アルカは、まぁあいつが望んだ道だし別にいっか。」
助けようと思えば助ける方法はいくらでもあった。
それでもあいつは■に助けられてもあんま嬉しくないだろうしな。
「ま、そんなん言い訳で今回バッドエンドって決めたからわざわざ変えるのが面倒くさいだけなんだけどね。」
さて次はどの星に行こうかな?
これにて1章終了です。
2章はクロンだけでなく主人公の周りの事も書こうと予定しています。
また投稿ペースが落ちそうなのはご了承ください。
ではまた。




