アルカvsシン
互いの剣が交差する、ガキンガキンと音を奏でて俺達は踊る。
命を狙い狙われる、流れ出る汗も立つ砂ぼこりも周りの音も何もかも俺の頭には入ってこない。
身体能力はこちらが上、剣の技量はあちらが上。
軽いフェイントですらこちらの急所を狙ってくる。
油断はいつでも俺の首を狙っている、全神経を相手の一挙手一投足に注げ。
気を緩めるな、自分の長所を存分に相手に押し付けるんだ。
腕を回せ、相手に流れを渡すな、攻め立てろ、後手に回れば負けるぞ。
剣を打ち合う、無理矢理力で相手を押し飛ばす。
チャンスだ、しかし突っ込むな、相手は何を持ってるかわからないぞ。
決定的な隙を作り出せ、その隙が出来るまで決して深追いするな。
「………凄いねシン君まさかこれ程の実力があったとは知らなかった。君を正直舐めていた事を謝罪しよう。だけどね?君の『気』と俺の『能力』はいかんせん相性が悪すぎた。」
そう言いながら腕に刺突を繰り出してきた。
今まで首や心臓を狙って来ていたのに気を集中させて防御力も上がっている左腕、しかもさほど体重も乗っていない軽い一撃。
何かある事を疑うべきだったんだが残念な事に俺はその行為を『決定的な隙』としか取れなかった。
左腕は防御の姿勢を取りながら右腕に持ったで相手の首を狙う。
相手の剣が左腕に当たったが傷一つ付かず、勝利を確信した刹那、
左腕に集中させていた俺の生命力が抜けていくのを感じた。
とてつもない脱力感が俺を襲い、俺は簡単に膝をついた。
「俺の『能力』は攻撃した場所の生命力を奪う、生命力を集中させて身体能力を上げる『気』とは相性抜群なんだよね。
なんせ集中させた部分に攻撃を少しでも当てれば集中させていた分丸ごと奪えるんだから。」
やられた。
余りにもお粗末過ぎる攻撃を罠だと見抜けずまんまとアルカさんの切り札を食らった。
立ち上がるのも難しい程消耗した俺に
「そこらの騎士にすら負けそうな今の君に興味はない、この戦いが終わるまでそこら辺に座り込んでな。」
と、アルカさんは言った。
情けない、情けない!簡単に斬れるなんて舐めるな、なんて言ったのにあっさりやられてなす術なく見てることしかできないなんて…
「クソッ!!」
「どったのシン君、珍しくへこたれて?」
中性的でおちゃらけた声、
「クロンさん!?」
「そうそうみんな大好きクロンさんだよ〜。」
「もしかしてもう他の兵士全員倒したんですか!?」
「いやいやまさか、俺とアルカとの戦いに加勢できる強い奴だけだよ、他の奴等は足手まといにしかならないでしょ。」
「ハハハ、やっぱバケモンですねあんた。」
それぐらい強い奴等を一瞬で仕留めるってとんでもないなこの人。
「まっそこで見てなよ、一応敵をとってあげるよ。」
39話目にしてやっとこさまともな戦闘シーンとは…




