自己PRと学生時代頑張ったことの違い
後輩がメモを取り終えると、俺は話を続ける。
「さて、次に『自己PR』と『学生時代に頑張ったこと』だな」
「先輩、この二つってどういう風に分ければ良いんですか? 結局同じようなことを書いてしまうんですけど……」
後輩が手を上げて質問をしてくる。
「なかなか良い疑問だな。この二つの違いが分かるようになるとエントリーシートが書きやすくなる。
簡単にまとめると、以下のとおりだ。
『自己PR』
自分の長所をアピールする。最初に『自分は○○が出来る人間です』という結論から書き、その長所を生かした具体例を紹介する。
『学生時代頑張ったこと』
学生時代の経験から身に着けたものをアピールする。『自分は○○な経験によって××を身につけた』という風に結論を書き、どのような出来事があったか具体例を紹介する」
分かったか? と聞くと後輩がまた手を上げる。
「違いは分かったんですけど、具体例って同じでも良いんですか?」
「可能な限り、違う経験談を語ったほうが良いな。バイトの話しかしないと、『こいつバイトしかしてなかったんじゃないか?』と思われる可能性があるからな。バイトやサークル、ゼミなどの話で分けたほうが良い」
「なるほど」
「ちなみに、『自己PR』も『学生時代頑張ったこと』も出来れば『集団の中で発揮出来るもの』があれば良い。会社も結局は人と人とのコミュニケーションの場、そして新卒を採用するというのは将来の幹部を育てる目的があるのだから、『集団をまとめる』『集団を率いる』エピソードがあると、わりと高評価になりやすい」
「じゃあリーダーシップやコミュニケーション能力をアピールすれば良いんですね!」
「それは悪手だな。半分くらいの学生が、『私はリーダーシップがあります』『コミュニケーション能力があります』って言うから特徴が無いのと同時に、リーダーシップやコミュニケーション能力って社会人として誰にも求められる最低限のスキルだから、プラスアルファが欲しいな」
俺の説明に、後輩が首をかしげる。
「プラスアルファ、ですか?」
「そうだ。じゃあ、詳しい話は自己PRのところで話そうか」