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22 シェイラの思考

 


 あれから話を続けていると応接室に王太子殿下がいらっしゃって、ツヴァイ副隊長様と並んで座る私を見て大変驚かれていました。


 普段はお忙しいツヴァイ副隊長様が家族以外の女性といることがないため、色恋による変化や必要以上に令嬢へ近しく接する姿を初めて見たそうです。


 とてもお優しいツヴァイ副隊長様の普段。

 皆様の話しぶりから、私への対応と随分違うようですので気になります。


 後は王太子殿下にも私の顔を恐々確認されました。


 化け物は見世物ではないのですが、一般的なセーフラインを探るためらしいです。


 妖精とのハーフで魔術師としての力が強いフェレイラ王太子妃殿下は、じっくり見れば幻影越しにうっすら私の姿を確認できるそうです。

 因みに、姿を見なければ《妖精の祝福》の力を感じるだけで恐怖は全く無いとのこと。


 多少は魔術師の素質のあるらしいヴォルレムディル王太子殿下の場合、顔を顰めて直ぐ視界を手で塞がれ、それ以上私を見ないようにされれば耐えられました。

 完全に幻影による化け物にしか見えず、姿を見なければ話したりは大丈夫らしいです。


 護衛のため控えていたツヴァイ副隊長様の部下の騎士様は資質50以下らしく全く駄目で、謝りながら応接室から出てしまわれました。

 一度認識すると見なくても近くにいるだけで恐怖を感じるそうです。

 悲鳴をあげられなくて良かったです。


 ツヴァイ副隊長様は王太子殿下と部下の騎士様の態度に、私が傷付いてないかと心配してくださり、私に対して失礼だと不満そうでした。

 普通は観劇の時のようにもっと酷い反応ばかりですよ?


 そして《精霊の忌み子》とやらであるツヴァイ副隊長様は《妖精の祝福》による幻影など欠片も見えず感じずで、本当の私が見えるそうです。

 ですが、ツヴァイ副隊長様が尋常ではなく私の容姿を褒めてくださるので本当に私の姿を見えているのか心配になります。

 勿論、褒めていただけるのは嬉しいのですが。


 王太子妃殿下もツヴァイ副隊長様のお言葉が本当だと太鼓判を押してくださいましたが、長年化け物としてしか見られなかった私には自信が持てません。








 お忙しい皆様の休憩時間が終わり、王城から下がる馬車の中でやっと緊張が解れてきました。


 王太子妃殿下が仰っていた、


「――――心当たりが無くても、適役ツヴァイさんが《精霊の忌み子》だから、シェイラさんの側に張り付いていたら嫌がって犯人が出てくると思うわよ?」


 という言葉に関しては、後日日程を合わせてツヴァイ副隊長様とどうしていくか決めることになりました。


 私が困っているなら力になりたいと、原因はある程度わかったから解決できるように協力してくださるそうです。


 《精霊の忌み子》―――精霊や妖精を見る資質も素質も全くない人間。

 精霊や妖精等が何をしようが全く感知できず影響も受けないため、敬遠され寄り付かないそうです。


 だから、ツヴァイ副隊長様だけが私を見ても平気で、触れることができ―――


 先程のようにツヴァイ副隊長様にぎゅっと抱き締められると、劇場での馬車の一幕を思い出してしまいます!!


 ・・・ほ、本当に、私を良いと思って下さっていたのです、よね。


 偶々、私の顔はツヴァイ副隊長様にとって好ましいものだったのでしょうか?


 一目惚れだったと、告げてくださいましたし・・・


 つまり、偶々招待されたのが王太子妃殿下のお茶会だったから王城へ上がり、偶々ツヴァイ副隊長様が王城勤めで、偶々私が逃げ込んだ中庭の隅を巡回されていて、偶々《精霊の忌み子》だったから私の姿を見られて、偶々ツヴァイ副隊長様に好ましい顔だったから気にかけていただけた。


 すごい偶然です。


 ひとつ違えば、私は原因の欠片すら掴めずに泣き暮らしていたでしょう。

 やはりツヴァイ副隊長様は私にとって奇跡です。


 例えば、私を見ることのできる《精霊の忌み子》がツヴァイ副隊長様以外だったら?

 そもそも私に関心を持ってくださったでしょうか?

 自分が平気だとはいえ、化け物だと周囲に恐れられる私を救ってくださるでしょうか?

 そして、私はツヴァイ副隊長様以外の方を頼り、信用できたでしょうか?


 ツヴァイ副隊長様でなくとも好きになれた?


 いいえ。

 きっと違ったと思います。


 過去を例えば、と考えても今が変わることはありません。

 けれど、それが嬉しいです。


 ツヴァイ副隊長様。


 本当に、失礼かもしれませんがツヴァイ副隊長様が《精霊の忌み子》でいて下さって良かったです。

 私にはツヴァイ副隊長様に出逢えたことが奇跡です。


 そう言ったのは本心からです。


 今後化け物のままだとしても、ツヴァイ副隊長様と上手くいかなくとも、



 ――――私はとても幸せです。





シェイラにはギャグが足りない!

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