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人がいますよ 1


名前: バーンアルブエイブルハイム

レベル:224

種族: 魔族

称号: 【魔王】

スキル:【身体強化(上)】【強化魔法(EX)】【生成魔法】【精神強化(上)】



 魔王? 強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。だけど……俺は負けないよ!


 実際、レベル差は偉大である。

 もちろん、戦闘技術やスキルはそれを補うファクターのひとつ。決してレベルの上下で勝敗が決まるわけではない。しかし、四倍以上の差がそこにあれば話は別。蟻が像を転がすことなどできない。


 スキルに特徴があったわけでもないし。


 正直、【解析者】を使った時点で勝ち負けはだいたいわかる。100年連敗した俺が言えることでもないのだが、旧支配者(クラス)になると【解析者】した瞬間発狂するからしゃーなし。


 あ、結局魔王は殺しました。殺す必要などなかったのだが、まあ向こうから喧嘩売ってきたし俺なりの礼儀を尽くしたつもりである。

 もっとも称号【魔王】の能力まで無効化できなかったのは悔しい。まあ正直あのレベルの魔王ならどうでもいいのだが、あれって半分【不老不死】みたいなところあるし。殺してもしなないとかマジ勘弁(すっとぼけ)


 ちなみに魔王城? も崩壊させてきた。ほら、俺ってば人間だし。魔族とかマジ勘弁。俺は学園ラブコメがしたいの! 転生チートでハーレムで主人公最強とかいう量産B級ラノベテンプレしたいわけじゃないの! 当たり前だよなぁ?

 こ↑こ↓タイトル回収。


 さて、そうこうしているうちに次元を超えたことで【解析者】によるこの世界の解析もだいぶ済んだ。


 崩壊の森は旧支配者の支配空間に位置したので、俺のスキルではそれを超えてこちらの次元をリサーチできなかったのだ。魔王城の謁見の間に空間移動してしまったのもそのせい。ここが最も崩壊の森に近い環境だったので移動しやすかった、とは【解析者】先生の談。崩壊の森に近い環境=化け物がいるってことだと気づかなかった俺無能すぎない?? やだー、【解析者】先生の策士ぃ~。


 ……実際こういう融通が利かないところマジ〇〇〇(ピー)なんだが? むしろ〇〇〇(ピー)〇〇〇〇(ピー)したいところではある。


〇〇〇〇(ピー)〇〇〇(ピー)、大賢者様……》


 やめろ。(やめろ)


《【解析者】は性格を有しません。意識に語り掛けている声音は女性を想定していますが、男性バージョンになさいますか? CV:ONDISK?(ねっとりボイス)》


 キレそう。


 とにかく、この世界の情勢はあらかた解析し終わった。魔族と人間が戦う、剣と魔法のファンタジー世界。


 マジレスするとそういうのお腹いっぱいだゾ。

 

 そりゃ300年も死線を彷徨えば戦いとかどうでもよくなる。剣も魔法も憧れないしバトルものだか大乱闘だか乱交だか知らんがとにかくどうでもいい。

 

 やっぱり僕は、王道を征く、学園ラブコメですか。


《草》


 キレそう。キレた。

 はぁ~、じゃけん魔族消しましょうね。


《因果関係を見出すことが不可能です》


 はーつっかえ。いいぜ説明してやるよ。


 つまりこの世界は魔族なんてものがいるからチート無双系テンプレなろうラノベみたいになってんの。

 倒すべき敵がいなければ争いは起きまい。即ちこの物語を学園ラブコメに軌道修正できるということである。これ新世界だから。


《敵がいないことと学園ラブコメというジャンルは必要十分条件を満たしませんが?》


 クソリプ乙。

 要は戦乱が終わればいいんだよ。教育の義務化。男女共学。制服の着用。そして女子がスカート。この連立方程式が分からんか?


《解しません。が、魔族が存在しなくなったこの世界がどのように変位するかシミュレートすることは可能です。解析を実行しますか?》


 やめてくれよ……。俺が欲しいのは普通の生き方なんだよなぁ。


《私の存在意義を否定しているように聞こえますが》


 ツールがおかしなことを言うな。

 そら、【解析者】。質問する。【事象干渉】で俺の全スキルを消去することは可能か?


《不可能です。「スキル」は事象として形状を持ちません》


 だろうな。

 そもそも【解析者】【不老不死】はスキルの格的に考えて【事象干渉】で操作できないだろうし。

 

 まあいいや。よっしゃ、決めた。


「【事象干渉】、魔族をこの世から消滅させろ」


《実行することにより世界プレリエーレの生態系が三分の一消失することになります。それに伴い世界の規則に大幅な変更がもたらされると予想されます。実行しますか?》


 解析するなって言ったよなぁ?

 確認するために【事象干渉】を妨害とは、【解析者】のスキルの範囲超えてるだろ……。


「二度も言わせるな」


 瞬間、風が頬を撫でる。世界が崩れていく。

 さてお次は。


「【次元干渉】、俺をこの世界の500年後に飛ばせ」

 

 ぐにゃりと視界が歪む。

 【解析者】に頼らずとも、世界の三分の一を占める生態系が消滅すればどうなるかくらい想像がつく。世界から魔族が消えたなら……。

 それでも人間はなんとかするだろう。氷河期を超えて生き残ったゴキブリ以上の生命体だゾ。まあその過程を見届けるつもりはないが。止まるんじゃねえぞ……。


 気づくとそこは森だった。崩壊の森とは違う、日が差して煙のない静かな森。


 【解析者】の解析を再実行。ふむ。

 どうやら、魔族が消えてからこの500年で教育の義務化まで進んだらしい。

 女子がスカートを履く世界でもある。

 

 やっぱりな。(確信)

 計画通り。これで青春ラブコメの舞台は整った。


 【事象干渉】で「セントラル」近郊まで移動する。

 こ↑こ↓。この辺りでは一番の都市だ。街並みは中世ヨーロッパ!(てきとう)


 まずは拠点を確保しなくては。じゃけん街行きましょうね。


 街には巨大な壁があり、中に入るための検問所があった。そこから出てくる「人」という生き物を見た瞬間、ちょっとした感動が訪れる。 

 検問所と言っても空港のようなたいしたものではなく、テーマパークの入場ゲートを思わせるちょっとしたものである。ゲートは三か所あり、どれも待つほど人はいない。俺はそのうち、受付が美人のゲートだったそれに向かう。


 美人は一瞬眉を顰めてニコリと笑顔を作る。 


「入国は初めてですか?」


「はい」


 モンスターや魔族でもそうだが、相手の言葉が理解できるのは【解析者】の恩恵だ。さすが【解析者】先輩。これは翻訳ではなく言語そのものを理解しているので、こちらも向こうの言語を使うことができる。


「入国には出国証明書か入国許可証が必要です。お持ちですか?」


「持ってませんね……」


「申し訳ございませんがその場合ですと当国に入国することはできません。見たところ……歩いていらしたようですが、方角的に「サウス」よりお越しになられたのですか? お戻りの際はここから出る商社の車に乗せてもらうことをお勧めさせていただきます」


「いや、村の出なんですが……」


「そうでしたか。それは失礼」


 それではお引き取りを、みたいな目でこちらを見てくる。仕方ないな。


「【事象干渉】、入国許可証の生成。すいません、忘れてました。これで大丈夫ですか?」


「は? え、ええ。間違いなく入国許可証ですね」


 忘れてたってどういうことだよ、みたいな顔をするが、きっちり営業スマイルだけは崩さなかった。美人は入国許可証を返して俺を祝福する。


「ようこそセントラルへ。貴方の旅が良きものであらんことを」




一週間定期更新したい(未定)

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