第二話
UPしました!
目の前にいる憧れの人は、今、殿でありながら城の陣頭指揮をしている。
「まず、この岩を削って入れると良いかもな!」
「堅い城を目指す!」
などと言い合っている。大変、気合が入っているようだ。そして、始まってから一月であるが、大方は出来上がりつつある。
その傍、この城の城主となるべき方はというと、
「儂はこれからどうしていけば良いじゃ?この間のは怖かった。」
と征夷大将軍らしからぬ言葉をこぼしていた。外から見たら、なんと頼りのない将軍なんだと。呆れてはいたが、これでも将軍だ。
「公方様、なんと情けないお顔をしていらっしゃるのです。そのようでは夢見た将軍ではなくなりますよ!」
たまたま居合わせた細川が将軍に喝を入れた。細川としてはこの場だけはしっかりとしてほしいと思っていたが、予想通りであったためこういうしかなかった。
「分かっておる!」
こちらの世界に来てから、細川という男は何かとガミガミうるさい。思わず反発してしまう。
「行動で示してくださいな。今のままでは織田殿は臍を曲げてしまいますよ。」
「細川様、ここに来ていましたか!」
この男は村井貞勝という男である。何かと役に立つ男だと思っていた。欲しいものをくれるからだ。ある時は金平糖を、またある時は甘い饅頭を頼んだ。
「村井様ではありませんか!挨拶遅れてしまい申し訳ございませぬ。そこの阿保に忠言していたのですよ。」
「阿保とはなんじゃ!お主は誰の味方なんだ!」
「そういえば、甘いものほしいと我儘言ってしまい申し訳ありませぬ。ね、将軍様。」
「そんなこと言った覚えない!断じてない!我儘などと…」
なぜバレていると思ったが、ここはとぼけるしかない。それを知っている細川は白い目をしていた。それには村井はためいきをついた。ここ京に来てから胃に穴があきそうな村井であった。
この場を離れたいと思ったのか、
「こうしては将軍の名が泣いてしまう!」
と言って逃げた。仮御所に。
「こんな堅苦しい生活は嫌なのじゃ。もう逃げたい。」
これを何回と繰り返している。正直何もしたくなかった。
仮御所へ向かっていると、細川の差し金であろう、護衛という名の目付がついた。
「来るな!儂はひとりがいいのじゃ!決して逃げたりはせぬ!」
「いいえ、これは細川様から重々言われておりますので、離れることはなりませぬ。ご承知を。」
この護衛はこの将軍に迷惑を被られていた。というのも、度重なる激務に人目を盗んで脱走したからだ。だが、装束に慣れていなかったので、すぐ捕まった。
「細川から言われていたとしても、儂は許さぬ!」
この生活にストレスが溜まりつつあったこの頃、逃げることを今決心したようだ。もう耐えられんと、
「それで「もう嫌なのじゃー!」
現実逃避するかのように走り出した。それには驚いた護衛は、一人は細川に報告を、その他は将軍を追いかけていった。
「「お待ちくだされ!」」
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将軍逃げた報告を受けた細川は
「また逃げましたか。どうしましょう。」
と冷静にいた。いつものことだからだ。
「!」
その時、閃いたようだ。
「織田殿に頼みましょう。報告ありがとう。将軍様をお願いね。」
「はい!」
細川は何を企んでいるのであろう。それに織田殿にどう関係してくるのか。
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その事をつゆ知らずに逃げ回っていた。
「来るなー!」
必死に逃げていたのか装束があれもない姿になっていたのだが、本人は気付かない。それには警護の人も恥ずかしい限りであった。
「もう嫌なのじゃー!(儂はこの時代の風習についていけないわ!帰りたい!そうだ!そういう事ならば史実のように手紙出さずに過ごしていけば良いわ!)」
そうして、自由を求め摂津堺に行こうとした時だった。砂埃を巻き上げながら颯爽と馬に乗って現れた。
「義昭様、ここにいましたか!」
今の今まで陣頭指揮をとっていた男つまり織田信長が目の前になぜかいる。それには逃げていたと思っていたのが一気に覆されたので驚いた。将軍が。
「なぜ、そこにおる?」
「なぜって、義昭様が心配で一休みしてここに来た。」
これには唖然とした。逃げられると思った矢先だからだ。これで逃げられなくなった。そして、へたり込んだ。
「にげるひまがあるのであれば、普請を手伝うか?」
それはさすがに嫌と思い、否と答えた。
「そうであるなら、大人しくしておいてください!その間にも敵が来るからだ。」
その言葉は的確であったので、渋々ながら戻った。
そうして、なんだかんだありながらも、わずか一月半強で二条城は出来上がった。
これには、
「儂は満足じゃー!」
だそうな。
ヘタレ×ヘタレの化学反応です!
どうしてこうなった!が続きます。
今日も読んで頂きありがとうございます^_^