表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
口笛の鳴る方へ ~盲目の僕は、音の反響(エコー)で異世界を視る~  作者: あとりえむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/26

第十四話:水底の弔鐘

(……音が、重すぎる。

さっきまでの清らかなせせらぎをすべて塗り潰すように、

鼓膜を直接押し潰されるような圧迫音が迫ってくる)


穏やかだった周囲の反響が、

今は、激しくかき乱される「ザブォォン!」という濁った破裂音へと変わった。


この聖域の底に沈んでいた「巨大な音の源」が、

僕たちの音に反応して、

ゆっくりと、深い震動を撒き散らしながら迫り上がってきている。


――底なしの弔鐘:

「ゴォォォォォン……」という、

水の重さをそのまま音圧に変えたような、

逃げ場のない低周波のうねり。


――守護者の駆動鳴動:

硬質な響き同士が擦れ合う「ギギィ、ガチィン」という重い摩擦。

その動きに合わせて、周囲の密度の反響が激しく変化する「ボコボコッ」という湿った音。


――迎撃の波形:

彼女が前に踏み出した瞬間に放たれる、

「シュバッ!」という空気を切り裂く鋭い風切り音と、

彼女の装備が放つ「キィィィン」という高い警戒音の共鳴。


(……戦いが始まる。

でも、この相手は僕たちを敵だと思っているんじゃない。

ただ、この場所の「音の調和」を乱すものを、

冷徹に排除しようとしているだけなんだ)


彼女が放つ鋭い金属音が、

重厚な鐘の音とぶつかり合い、

周囲の空気を「ビリビリ」と震わせる不協和音を生み出す。


僕は、その二つの音がぶつかり合う「響きの亀裂」に、

自分の息を滑り込ませた。


ピーーーーーッ……!!


――調律の試行:

僕の口笛が、鐘の音のうねりに寄り添い、

「ワォォォォン」という、

巨大な空洞で反響するような深い和音へと変化していく響き。


――守護者の躊躇音:

激しく鳴っていた駆動音が「カチッ……」と一瞬だけ止まり、

次いで「シューゥゥ」と、

高圧の震動が水中に漏れ出すような、困惑を感じさせる長い排出。


(届いた……?

この鐘の音は、ただ鳴り響きたいだけなんだ。

誰かに、この場所の「正解の音」を重ねてほしいんだ!)


そう確信した瞬間。

鐘の音の奥底から、

これまで聞こえていた重低音とは全く異なる、

「細く、震えるような音」が漏れ出してきた。


――隠された旋律:

鉄が擦れる音の合間に混じる、

「チリン……、チリン……」という、

震える指先で小さな鈴を振っているような、あまりに儚い響き。


(……なんだ、この音。

この巨大な重低音の中に、

誰かが泣いているような、小さな音が混ざっている……?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。



あとりえむ 作品紹介

やっぱりせかいはまあるいほうがいい 君が遺した種子は、森には還らなかった。 地球の『受理』を以て、僕の存在を証明する。

監査の魔王 S級清掃員 至高のミミちゃんを見守る会

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ