その声に支えられて
ギルド・ラストリーフ支部、午後の一幕。
カウンターに、一人の青年が現れた。
「こんにちは、少しご相談よろしいでしょうか」
リリアが明るく応じる。
「はいはーい☆ あ、ミーナちゃーん、こっちお願いっ!」
呼ばれて、ミーナ=ルクトリアが駆け寄った。
「……え?」
目の前に立っていたのは、見覚えのある顔だった。
「リド=カルナーさん……?」
青年──リドが、少し照れたように笑った。
「覚えていてくださったんですね。いまは、隣町ギルドの支援課で働いています」
ミーナの胸に、懐かしい記憶が蘇る。
かつて、裏方としてパーティを支え続け、誰にも気づかれずに限界まで耐えていた青年。
その彼が──こうして、ギルドの一員として立っている。
「今日は、支部間研修でこちらに来たんです。……でも、やっぱり、ラストリーフの空気は、どこか特別で」
リドは少しだけ頬を緩めた。
「今の職場も悪くはないんです。でも……ふと、不安になることがあって。自分みたいな裏方でも、本当に支えになれてるのかなって」
ミーナは、そっと笑った。
「リドさん。あなたが支えてきたから、今、あちらの支部も回っているんです」
リドの目が、わずかに揺れる。
「……そう、でしょうか」
「ええ。だって、リドさんは、誰かのために動ける人ですから」
リドは小さく頭を下げた。
「……また、頑張れそうです」
ミーナは微笑みながら、心の中で思った。
(斡旋って、そこで終わりじゃない。
こうして、“その後”を支えることも、大切な役目なんだ)
そして、ふわりと一つの考えが浮かぶ。
(就職して終わり、じゃなくて……
希望する人には、また相談できる窓口を作れたらいいかもしれない)
支えた人が、今度は誰かを支える。
その小さな連鎖を、もっと大事にしたい──
そう思いながら、ミーナはリドを見送った。




