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没落ギルドの仕事斡旋人2~辺境支部を支える、小さな物語~  作者: ほたてといか
第四章 観察記録、それは定性的な冒険
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“斡旋人”って、誰のこと?

支部の談話室の隅、窓際の応接スペース。


ミーナ=ルクトリアとカミーユ=フロリネッタが、依頼人と向き合っていた。


ミーナは柔らかな声で、依頼人の話を丁寧に聞き取り、カミーユは明るい調子で言葉を添え、場の空気を明るくしていた。


「それなら、この職種もご検討に入れてみてはいかがですの?」


依頼人は、最初こそ緊張していたが、次第に表情を和らげていった。


──アルフォード=グレインは、少し離れた場所から、その様子を静かに眺めていた。


そこには、数字では測れない温度があった。


効率だけでは得られない、“人と人”の空気があった。


依頼人は、何かを選ばされるのではなく、自分で選んでいいのだと、自然に思わされているようだった。


(……斡旋とは、こういうものなのか)


アルフォードは、心の中で呟いた。


その時、ふとカミーユがミーナに小声で尋ねた。


「ミーナさん、最近……支部長と、何かありましたの?」


ミーナは一瞬だけ目を伏せ、すぐに小さく首を振った。


「……なんでもないよ。大丈夫」


言葉は明るい。


だが、その声の奥には、まだ少しだけ冷えた空気が漂っていた。




──2人の冷戦は、まだ終わっていない。



それでも、ミーナは依頼人に向き直り、変わらぬ笑顔で話し続ける。


カミーユも、いつもの明るさを取り戻し、楽しそうに相槌を打った。


(“斡旋人”──か)


アルフォードは、静かに目を細めた。


それは、単なる職業紹介者ではない。


誰かの人生の一歩を、そっと支える者。


データには載らない、小さな未来を紡ぐ者。


ミーナとカミーユの姿は、そんな“斡旋人”の本質を静かに映していた。

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