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メリサ・アイヴァンの日常  作者: 神通百力


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第二十八話 ヴィゲルナーディストバンク

 ヴィゲルナーディストバンクは『リオル・ミチェスの酒場』から二十分ほど歩いたところにあった。二階建ての鉄筋コンクリート造で、看板にヴィゲルナーディストバンクと大きく書かれている。

 ジェロニランに翼が生えたデザインが二階付近の壁を埋め尽くし、遠くからでも目立つほどだった。

 先頭を歩くリオルが鉄製の扉を引いた。微かに音を立てながら、鉄製の扉が開く。

 リオルに促され、メリサはフレイとバレットの手を引いて、先に建物の中に入った。チラホラと客の姿が見える。

「すみません。この子たちの口座を開設したいんですけど」 

 メリサはフレイとバレットに身分証を提示するように促しながら、行員に用件を伝える。

「口座開設ですね。ではこちらの書類に必要事項を記入していただけますか?」

「分かりました」

 窓口で行員から二枚の書類を受け取ると、右奥の長机に向かった。長机には仕切り板が設けられ、両隣から見えないようになっている。

 メリサは筆ペンを手に取ると、フレイとバレットに渡した。リオルにも協力してもらいながら、フレイとバレットに書類の書き方を教える。

 フレイは丸っこい字で、書類に氏名や住所等を記入していく。口座開設の目的の欄には『人工生命支援制度の受給及び生活費の決済のため』と書くように伝える。

 バレットはリオルに教えてもらいながら、書類に記入していた。確認すると、バレットは角張った字だった。

 十桁の暗証番号の欄には覚えやすい数字を入力するように告げた。フレイとバレットは少し唸りながらも、暗証番号を記入していた。

 メリサは書き終わったのを確認すると、フレイとバレットに書類と身分証を行員に提出するように言った。

 フレイとバレットは緊張した面持ちで、ぎこちない動きで身分証と書類を行員に渡していた。

「少々お待ちください」

 行員は書類と身分証を確認すると、奥へと向かった。しばらく経ってから、行員は戻ってきた。

「お待たせ致しました。こちら通帳でございます」

 行員はフレイとバレットに通帳を渡し、身分証も返した。通帳の表面にはそれぞれ『フレイ・アイヴァン』、『バレット・アイヴァン』と書かれている。

 フレイとバレットは目を輝かせて通帳を捲り始めた。一ページ目には支店名と口座番号が記載してある。無事にフレイとバレットの口座を開設でき、メリサはホッとした。

「お金の引き出し方を教えておこう」

 リオルはそう言うと、入り口付近にあるジェロニラン自動預入支払機に向かって歩き出した。

 メリサは行員に頭を下げると、リオルについていく。フレイとバレットも慌てたようについてくる。

 リオルはジェロニラン自動預入支払機の前で立ち止まると、フレイとバレットに向き直った。

「まずはここに通帳を入れるんだ」

 リオルは説明しながら、通帳差し込み口に自分の通帳を入れる。画面に『暗証番号を入力してください』の文字が表示される。

「次に暗証番号を入力する」

 リオルは目にも留まらぬ速さで暗証番号を入力していく。近くで見ていても、何の数字を打ち込んだのかはまったく分からなかった。

「それから出金を選択し、引き出したい金額を入力するんだ。10000ジェロニランでいいか」

 リオルは金額を入力した。機械音が鳴り響き、ジェロニランが出てくる。リオルは10000ジェロニランと通帳を手に取った。ジェロニランと通帳はリオルの手のひらへと吸い込まれていく。

「お金の引き出し方の流れはこんな感じだ。さて、次は申請だな」

「はい、行きましょうか」

 メリサたちはヴィゲルナーディストバンクを出ると、生命管理局へと向かった。

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