砂漠の秘薬にご用心!6
「真珠色の目……じゃあ、キャロトリアみたいに、生まれた順で王位が決まるわけではないんですね!」
と納得、といった顔でスリアミドラが相槌を打った。「うちはお姉様が王になる予定ですから、ちょうどデルテアネ様達とは逆です!」とにっこりする。デルテアネは珍しく微笑み返さなかった。
「私はね」
風が通りすぎる間の短い沈黙のあと、デルテアネは言葉を続けた。
「エカルテネ、あの子は間違いなく王になるべくして生まれてきたと思うの。あの子はまだ幼くて体が弱いのは確かだし、母が亡くなって国全体が喪に服している今、私を王にと急ぐ声があるのは知っているけれど、私は、違うわ。髪や目の色のことだけじゃないの。あの子は、ここメレニュスのすべて。そして私は、あの子に傅くために生まれてきたのよ。」
ささやくようなその声はまるで自分自身に言い聞かせているかのようだった。あまりにも真剣な調子にどう答えたら良いかわからないつみれは、ただ黙って皿の上の食べ物に手を伸ばした。
(あっこの揚げたまごとパプリカのサラダうまっ)
「デルテアネ様は、妹様思いなのですね、優しくて……なんだかわたしの姉を思い出しちゃいました」
「ウフフ。そういえば、ウサギちゃんのお姉さまのお話、聞いたことがないわ。少し聞かせてくれる?やっぱりフワフワしててとっても可愛いのかしら?」
(ドレッシングはちょっと味薄いかなーあとこぼれるからこういう手軽なおつまみ系ならもっと水分少なめでたとえばごまだれとか……)
「あ、わたしの姉はですねっとっても賢くて、なんでも知ってるんです!いつも本を読んでて、魔法だってすごくて……」
「あら、エカルテネと同じなのね、あの子もいつも本ばかり読んでるの。間違いなく素敵なウサちゃんのはずね。お名前は何というのかしら?」
「えっと、ルナフィオラです、満月の晩に生まれたから……キャロトリアから見る月って、とっても大きいんですよ。」
だんだんと食べ物のことへと脱線して行くつみれはおいて会話は弾む。アルトがふと、「そういえばそろそろ満月だったはずです……」と空を見上げた。
紙のように薄い白い月が、まだ明るい夕焼け空に押され静かに。満月にはまだ数日分足りないかな、といったところだった。
「あの月の色……エカルテネさんに似てますね、儚くて無垢な感じ……」
そう和やかに微笑みながら空を見上げるスリアミドラに、アルトは
「あの月がエカルテネ様であれば、派手な太陽のほうは……」
と冷たい軽口を聞く。
デルテアネはそれには乗らずに「輝きが足りない月……」とだけ呟いたが、すぐに頭を振って明るい声を出した。
「そうね、せっかくだから満月の日はもっと華やかな祝宴にしませんこと?体調さえよければエカルテネも同席させて……聖者様には、私が持ってきたお砂糖でなにか作って頂けないかしら?またセイラゴンの時みたいに、殺してほしいわ……」と目を細めて体をくねらせると、とろとろした声を出した。
「殺しって……それ、ご、誤解されるからっ」
「うふふ、デルテアネ様、ほんとに甘いものがお好きなのですね!きっとエカルテネさんもお好きなんでしょうか。
つみれ様っ!ここは一発っ素晴らしい作品、楽しみにしておりますっ!」
そう言ってスリアミドラはお茶目にクロスボウを引く真似をしてみせた。一発、という言葉に何故か顔を赤くしたアルトが「スリアミドラ様、いけません」と言ってその手を抑える。その様子が面白くて、つみれは笑いだした。
一面を覆う夕焼け空に少しずつ星の輝きが混ざりはじめ、空は宴の賑やかさをますます増していく。四人が王宮へと引き揚げる頃になってようやく陽が暮れ、空は月による静寂を取り戻した。
タイトルのナンバリングを一個まちがってました!ふだん誤字脱字だらけもアレなのに そこさえもかよ〜みたいな。。笑!!!




