暴かれそうですわ
皆様御機嫌よう、アンジェリーナですわ。
私、今日はこの前お世話になったカチガラス衆にお礼を届けるべく天の川の畔へと参りましたの。
「アーアンジェリーナ様ダァ」
「この前はありがとうね。 今日はおやつを持って参りましたよ~」
ウァアーイ!と水面で戯れてたカチガラス達が私の元へと集まります。
うふふ可愛い、しばらくカチガラス達と遊んでいたのですが、
あら?私が何やら異質な気配を察知したのと同時に、
カチガラス達もギャッギャッと鳴き声を上げました。
「アンジェリーナ様ァ ナンカ イリグチニ
キテル ウウーン タブン ニンゲン」
あら「水門」に人間が来てるとは 珍しいですわね。 何時かは忘れましたけど、過去に地上の中国という国の皇帝が
「天の川を見て参れ」
と配下ご命じになられまして来られた御方がいらっしゃいますけど…
現し身で来られるのはそれ以来かしら?まぁ来られても、この「月光の河原」「若草の草原」迄しかお昇りになられませんが…
「ミテ コヨウカァ」
「怪しい気配では有りませんからね、大丈夫ですよ」
私は女神様にお知らせすべく、 カチガラスと別れて御住居に戻って参りましたの。
女神様の元に参上致しましたら、既にスクリーンを開かれてクスクス笑っておられましたわ。
「ああ、お帰り アンジェリーナ 「水門」に人の気配がしたものだから見てみれば、 お前の縁の有る者達ですわよ」
「私の、と申しますと彼ら達位ですけど?」
我が君様に促され、 スクリーンに目を向けましたの
―――――「ああああー嫌だよぅー、アリエノール 俺達新婚なんだよー、ラブラブ期間なんだよー、行くなよぉぉぉぉー」
ある場所 ある時 ある川の畔で、「聖剣士」エリックは妻であり「聖魔導師」でもあるアリエノールの月白のローブにしがみつき、 大泣きしている。
その様子を傍らで少し少年から成長した勇者アーサーが苦笑しながら眺めてた。
「ええぃ!うるさい!泣くな!それでも男かお前は!私はね、行ってみたいのこの先に!」
アリエノールが毅然とした表情で指差す先はすみれ色の空と水面の色が銀色へと変わり交わる一点
……………「水門」ここから先の流れを遡れば天の入り口へとたどり着くと言われている伝説の場所、
「うっうっうっ、「天」って死んだら昇るところだよぅー、帰って来れないかも、君が居なかったら俺は、俺はぁぁぁぁー」
「いいこと!「月白のローブ」はね 1度だけなら「結界」を越えて現し身で天の入り口に行けるのよ! そこにはどんな世界が有るのか、そして私達は何故魔物と闘うのか、それを知るために私は行くのよ!ええぃお離し!」
ブンブンッと首を振り更にしがみつくエリック、 二人の様子を眺めてる内にアーサーはクスクス笑いだした。
「でも「お頭」師匠の言うとおり御結婚成されたばかりでございます。 少し師匠が哀れなり」
「ん?アーサー貴方 東方に出向してから言葉使いが変よね。 それに「お頭」ってなぁに?」
「アハハ、「お頭」というのは「リーダー」の事です。僕の派遣先は「忍」っていう、とてもスキルが高い人達ばかりの集団でそこでお世話になってるパーティーのリーダーが女の方ですよ。向こうでは「頭領」とか「お頭」とお呼びするんですよ。僕の師匠はエリックさんとアリエノールさんですが、リーダーとなるとアリエノールさんのがいいかなぁって」
まぁまぁ大きくなりましたね~私の可愛い愛し子ちゃんは、 しっかりとお勉強もされてる様だし、安心ですよ~
私は「守護天使」のお役目をした故に彼とは逢えない決まりがあるのです。
残念ですけどね、でもこうしてスクリーンで今を見れますから心配は有りませんことよ。
それに地上のシルフとエルフからは毎月ファンクラブの会報誌が届きますし…これが中々のクオリティの高い物ですの !うふふ
…………しかし先程のアリエノールさんの発言が気になりますわね。
「闘う理由」やら「魔物」やらと 黒歴史に直結するキーワードではありませんか!
これはいけませんわ、 何処かでゼリーが原因ってペロッとバレた時にはどうなるか!
此方に来られるのは確実なので、私は全身全霊を持って黒歴史を秘めなければと決意を致しましたの。




