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式神と霊兵  作者: 田中始め
第一章 平安編
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0006




 Side:黒金くろかね



 賀茂家のごとうしゅさまって人の所に来ているんだけど、僕は暇なので色々と〝て〟いた。

 それで分かったんだけど、どうやらたくないと思えば五月蝿いのを消せる事が分かった。

 面倒なので普段は消しておこう。

 ちなみに最後に見たのはコレ。


 ―――――――――――――――


 賀茂 駿慶 男 四十二歳


 体力・四十二

 霊力・五十八

 術技・五十九

 知恵・三十七

 知識・五十六

 運勢・普


 賀茂家の現当主。厳しき人物ではあるものの、それは京の都や主上を守る為に厳しくある。安倍家の現当主である、安倍晴海とも仲が良く、良好な関係を築いている。娘の艶がいつまで経っても嫁に行かない事が頭痛の種。早く斯明と一緒になれと思っている。


 ―――――――――――――――


 あれ? つやってさっきの女性だよね?

 嫁っていうのが何か分からないけど、一緒になるってなんだろう?

 一緒に住むのかな? だったら住めばいいのに。

 何か駄目な事があるってこと? ちょっとてみよう。


 ―――――――――――――――


 賀茂 艶 女 二十三歳


 体力・二十八

 霊力・五十七

 術技・四十二

 知恵・三十

 知識・三十四

 運勢・良


 賀茂家の現当主の娘。十歳の時に斯明に会い、一目で惚れて婚姻の相手と定めた。以降、当主の命令であろうとも婚姻だけは了承しなかった女傑。未だに一筋に好意を抱いているが、当の斯明が理解していないので願いは成就していない


 ―――――――――――――――


 うーん………よく分からないなぁ。どういう事なんだろう。

 仕方ないから斯明かくめいのを見よう。

 今までわざと見ないようにしてたんだけどね。

 僕を助けてくれたから、勝手に見るのは良くないって思ってたし。


 ―――――――――――――――


 鹿野 斯明 男 二十五歳


 体力・三十一

 霊力・七十八

 術技・三十一

 知恵・十八

 知識・十四

 運勢・普


 平民の陰陽師であり、母の鹿野姓を名乗っている。父方の祖先の名は芦屋道満であり、陰陽師としての能力は高い。しかし悲しいかな、まともな教えを受けていない為、潜在能力を伸ばせていない。艶の気持ちには全く気付いていない癖に、最も好意を持っており、最も好みの女性が艶である。こういう者を朴念仁という


 ―――――――――――――――


 朴念仁って何だろう? というか、コレなんて読むのかサッパリ分からないな。

 他の人は大した感じじゃないし、この五月蝿いので自分は見れないんだよね。

 それが出来たら自分を確認するのに。


 「ところで、そこのわらしはいったい何者なのだ?

 先ほどから金色の瞳が蒼くなったりを繰り返しておるのでな、気になって仕方がない」


 「は? く、黒金くろかね。お前はいったい何をしておるのだ!?

 金色の目が変わるとはどういう事だ!?」


 「え? ………知らない。目、変わってるの?」


 「どうやら本人は理解しておらぬようだな。

 いったい何処のわらしなのだ? 目の色がそれ程に違うはおかしかろう」


 「そ、それは………」


 「賀茂家の当主たるワシにも言えぬか?」


 「………分かりました。

 ですが、私は黒金くろかねをおかしな事に巻き込みたくありません。

 それだけは伏してお願い申しあげます」


 「とにかく、まずは話してみよ。そうでなければ分からぬ」


 その後、斯明かくめいが僕と出会った時の事を話した。

 それを聞いた部屋の中の人達は驚いたが、すぐに大きな声を出すのを止めたみたい。

 大きな声って五月蝿いから良くないよね。


 「まさか稀人まれびとであったとは……。

 確かにそなたの危惧も分からぬではない。

 愚か者が己の権力争いに利用しようとするかもしれぬ。

 主上に御会いした際に、密かに御報告をしておこう。

 乙一級を一刀両断に出来る霊兵だと、おかしな者が出かねん」


 「ありがとうございます。

 しかし……金色以外の目の色を見たのは初めてで、何がなにやら分かりませぬ」


 「ふむ。黒金くろかねと申したか。

 そなたは心当たりがあるか?」


 「えーっと……」


 僕は斯明かくめいを見る。

 だって斯明かくめいが話すなって言ったんだし、話していいのか何て分からない。

 そうやって見ていたら理解したのか、斯明かくめいは話していいと言った。


 「僕の眼で確認していたから、だと思います。

 五月蝿いのが人にもえるので」


 「え? アレは人に対しても見えるのか?」


 「うん。見えてたけど、斯明かくめいのはないようにしてた。

 勝手にるのは失礼だと思ったから」


 「その見えるとは何なのだ? 何が見えている?」


 「霊玉の等級とか、あとは人の名前とか数字とか」


 「「「「「???」」」」」


 斯明かくめいも首を捻っているので、僕は何が見えているかを一つずつ説明した。

 女性のところでは女性が騒ぎ立て、斯明かくめいのところでは斯明かくめいが何やら落ち込んだ。

 どうしたんだろう?


 「ハッハッハッハッハッ! まさか人の能力を見る事が出来るとは凄いのう。

 それに朴念仁と言われるとは、何やら面白い<異能>であるな。

 しかし……斯明かくめいの祖先が芦屋道満とは驚いたわ。

 おそらくだが、その異能は嘘を吐いていまい」


 「でしょうね!」


 「ふくくくくくく……。

 目の前で恋煩いをバラされるわ、好いた男の好みだと言われるわ。

 今日のつやは大変じゃのう! わははははははは……!」


 「……//////」


 女性がチラリと斯明かくめいを見たけど、目が合った瞬間、顔を下に向けて赤くしてる。

 あれ、大丈夫かな?


 「顔が赤いけど、大丈夫?」


 「わははははははは……黒金くろかねは容赦ないのう。

 知らぬであるからして仕方ないのであろうがな。

 それにしても目出度い日よ!」


 「もう私の事はいいですから!

 それよりお話が終わったのであれば、私達は失礼いたします!」


 「これこれ、怒るでない。ワシが悪かった、この通りじゃ。

 それに、すまぬがまだ帰せぬ。

 元々そのつもりだったのだが、斯明かくめいよ。

 そなたにはつやから陰陽術の基本をしっかりと学んでもらう。

 師が悪すぎただけで、そなたの腕は伸びるでな。伸ばしてもらわなければ困る。

 高い霊力を遊ばせておく余裕は、今の陰陽寮には無いのだ」


 「おつや殿からでございますか?

 その、私としてはありがたいのですが、賀茂家の技を習ってよいものなのやら……」


 「なに、構うまい。祝言を挙げれば一緒よ。

 うははははははは……!!」


 「父上!///」


 「おお、恐い恐い。まあ、だからして気にする事では無い。

 それと、黒金くろかねの霊兵を見せてもらわねばならん。

 最悪は黒金くろかねにも戦いをさせるかもしれぬ」


 「まさか、再び百鬼夜行が?」


 「分からぬ。かつての時代にあったのだ。

 今、人心などが乱れており、妖怪も活発になってきた。

 再び京の都が混乱に陥る事もあると考えねばならぬ。

 なるべく左様な事にはさせぬつもりだが……」


 「僕は敵が居るなら戦うよ」


 「おお、勇ましくてよいの。それでは庭でやるかな。

 ここの庭は試しの儀にも使われる故、殺風景じゃからの。

 これが陰陽師の庭じゃと言えば正しいのであるが」


 「父上がされるのですか?」


 「ここは我が致しましょう。

 どれほどかは知りませぬが、我の式神が倒せるならば、既に十分過ぎるでしょうかならな。

 それに我ならば周囲の言い訳もききます」


 「確かにな。頼めるか?」


 「ハッ! お任せを!」


 そうして何故か庭に出て戦う事が決定した。

 何故だろう? 僕は戦ってもいいよと言ってないんだけど……まあ、いいか。

 戦うのは式神だし、問題ないでしょ。


 再び廊下に出て戻りつつ、廊下の途中で庭に下りられるようになっている所があった。

 そこから下りようとすると、またあの醜い奴らがやってきた。

 こいつ何でウロウロしてるんだろう?


 「おやおや。賀茂家の御当主様が何故このような下賤な者と共に?」


 「道丹か。貴様にどうこうと言われる筋合いなど無いのだがな? いったい何様のつもりだ?

 陰陽寮で下らぬ事をやっておる暇があるならば、市井に出て妖怪退治をするか修行でもしておれ」


 「くっ……! しかしですな。そこの者は下京の者。ここに居るには相応しくありませんぞ?

 下京の者は下京に居るが正しかろう。

 そもそも庭に出るとは試しの儀でもされるのですかな? ならばワシが相手をつかまつりましょうぞ」


 「勝手に横から出てくるとは、どこまで驕っておるのか……」


 「まあ待て、つや

 道丹よ、代わりに相手をすると横からしゃしゃり出てきたのだ。

 負けたその時には、貴様の中央での登録は抹消する。

 その覚悟は持っておるのであろうな?」


 「ほう、これはこれは。ワシが修行の途中で放逐した者に負けると言われるとは。

 ええ、ええ! 抹消していただいて構いませぬぞ」


 「二言は無いな?」


 「もちろん二言はありませぬとも」


 「では「少々待ってもらおう」……晴海はるうみ殿、如何いかがなされた?」


 はるうみって……あべとかいう家の人かな?

 それにしても変な話になってきたなぁ。

 この醜いヤツは斯明かくめいと戦うって誤解してるし、どうも御当主様がそれを利用するみたいだしさ。


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