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73.時の流れ

「はい、時の流れが違うから、ゲームのアバター機能を使って竜騎士候補を探しているってアレクが言ってました。私も不思議に思って。だってアレクみたいに直接地球人を異世界に連れて行って竜に会わせれば済むんじゃないかって聞いたら、中々見つからないし、時の流れの違いで色々と不都合が出てきたって」



夕依がやや早口に説明していく。夜都はその内容に驚いた。時の流れの違いもそうだが、アレクは元々地球人(こちらの人)



「どれくらい違うのかは明言してくれなかったけど…隠されてたんですね、私にも。20年と200年、つまり」


「10倍だね」と、夕依に問いかけたレイナが替わりに答える。

「10倍も違うならアバターを通さずあちらに行くと、こちらの1日があちらでは10日になる。逆でなくてよかったけど、あちらに行けば行くほど、こっちでの寿命が短くなるわけね」



レイナの言葉に、夕依の顔が青くなる。



「じゃあ、竜騎士になるってことは」


「こちらに戻れなくなる、いや戻りにくくなる、ということだね。浦島太郎でいう、竜宮城に行かなかった人たちの立ち位置ってこと」


「ただ、竜騎士になると人より寿命が2倍くらいに伸びるって聞きました。老化の進み方はわからない、けど……」



そう言って黙り込んだ夕依には申し訳なかったが、夜都はさっきの発言についてどうしても確認したかった。



「ユイ、アレクは異世界人じゃないのか? このあいだ話を聞いて、俺はてっきり竜騎士はアサ以外全員あっちの住人だと思ってた」


「違うよ、ヨル。アレクは唯一、ゲームを通さず見つかった竜騎士なんだって。彼は基本的にログインせず転移であちらに行ってるんだよ。ゲームの時間制約を受けないように。その替わり、短時間しか滞在しないけど」


「転移? 」と思わず聞き返した。夜都以外にも何人か声に出して音がシンクロした。


「アレクの竜騎士としての特殊能力は『異世界転移』。Dragonight Onlineを支える機構の一つって聞いたわ」


(あ、まずい)



とっさに夜都はそう思った。今更ではあるが、夜都が現実でも特殊能力を使えるのでは、とみんなが連想しかねない。


そんな夜都をレタスがチラッと見てから夕依に尋ねた。



「じゃあ、ユイちゃんはログアウト後でもアレクって人に会ったことはあるの? どんな人か知ってる?」


「あ…はい。会ったことあります。日本語の得意なドイツ人で、日本に来たときに何度か。ゲーム会社の関係者みたいです、22作目導入に関わったと言ってたから」


「ユイ、アレクとアサってよく似てるけど親族かなにか? 」



夜都は朝野に確認できてなかったことを聞いた。普段はプライベートなことをこちらから聞くのは控えていたがそんなことを言ってられない。



「確かによく似てはいるけど、親戚関係はないです。“アサ“はゲーム関係者でもなんでもないし」



みんなはそれを聞いて、「へー、似てるんだ」と言い合っていた。この中でアレクと面識があるのは夜都だけなのだ。


(外人だからよく似てるように見えるのかな。向こうからしたらアジア人がみんな同じ顔に見えるって聞くし)


夜都はちょっと釈然としないまでも、自分で納得できるよう理由を付けた。



「で、『異世界転移』と。そのまんまな能力名やな。それがあるからオンラインゲームの行き先が異世界なんか」



アカやんが話を戻してきた。みんなもその能力の具体的な活用方法が気になってやや前のめりで夕依に注目する。



「いえ、ゲームの世界を支えているのはアレクの能力ではないらしいです。他の竜騎士でレインという女性がいるのですが、彼女も似たような能力を持っているみたいです。ただ、かなり負担があるそうで…私は、あ、アサは会ったことはないって言ってました」


「負担―、一周年だったから10年間も継続して? それは大変や」


「はい、人の2倍ある寿命でも相当な負担ですよね……」


再びシーンとしてしまったが、レタスがその静寂を破った。


「それで3ヶ月の猶予ね。確かに急がなきゃ。ここまで聞いてしまって何だけど、みんな、手を引くならそう決めちゃったほうがいいわよ。私はぎりぎりまで付き合うけど。いい?早く力をつけて攻略を進めて移動可能なエリアを広げ、創造主を見つける、同時に、創造主の情報を集めるわよ。ヨルくん!」


ビシッと指で射されて、夜都はビクッとした。


「あなたは、各地を回ってその新能力使ってきなさい。あと、天空の草原に行けるゲートを早く完成させて。パーツはあるんでしょ?必要ならみんなに協力してもらう」


夜都はコクッ、コクッ、と頷く。


「それと、ヨルくん、西の砂漠化が大分改善したわよ。新しい薬草探しも頼むわね。あと、ユイ!」


「はいっ!」


「まだまだあなたしか知らない情報が多いわ。…後で連絡するわね」



暗に、ここでは質問しない、とレタスは夕依に前もって話しておき、次は、北と南の攻略の進め方の話になった。こちらは夜都が役に立てることが少ない。

夜都は、早速西の砂漠に向かうことにしてギルドホームを後にした。








す、すみません;;

1週間位ですが、投稿がやや遅れがちになりそうです。

繁忙期を過ぎたら戻ると思います。

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