68.啓示という名の
年越しに向けて「バ○ス」も入れてみました、って関係ないですね(*_*)
ステータスを開けたまま転職したので、変化もすぐわかった。潜在的に使えた能力が、転職を機に表面化したようだ。前にもこういったことがあったが、恐らく今ならもっと夢がクリアに見える気がする。
そして、その能力名は――
(『創造の記憶心象』、か。もしかしてこれ、夢じゃなくても視えたりするのか?)
少し黙ってしまった夜都をみんなが心配そうに見守るが、それに気がついて夜都が慌てて説明する。
「あ、ごめん! ちょっと変化がないか色々見てたんだけど、ちょっとわからなくって…。何かの拍子にわかるかもしれない。前からある能力はちゃんとそのまま残ってたよ」
それを聞いてホッとした夕依が夜都に気遣うように声をかける。
「何かおかしな兆候があったらすぐ教えてね!アサにだけ、ほかに口外しないように言った上で聞くから。あ、でも勝手にはやらないから安心してね」
夜都はちゃんと話が出来ない罪悪感を感じながらも、ありがとう、伝える。
「さ、じゃあ出掛けましょう!ヤマちゃんはまだ砂漠の方面を踏破してないのよね?時間がある時にでもよろしくね。私とレイナちゃん、ユイちゃんは、西の砂漠の町の様子をゲートで飛んで見に行ってくるわ。すでにネットでニュースになってるけど砂地が減ってきているみたいね」
「じゃあ、俺とヨルは南の港町に行ってくるよ。馬車なら今日中につけるかな。アカやん達に会って飛行機の製作状況を見てくるね」
今日はあと二時間ほどログインしていられる。時間が限られているため、みんなすぐに行動する。
一旦全員で町中のゲートまで一緒に移動して、そこから別行動だ。
夜都達は始まりの町まで飛んでそこでまた馬車の旅、南への街道を進んでいった。
……………………………
「ヤマ、さっきステータスのことを話せなかったから別行動?」
「それもあるけど、ヨルが本当の事が言えず辛そうだったし。それに砂漠の方面は俺が一緒に行けないからね。こっちにつきあわせちゃって悪いね」
「ありがとう。確かに罪悪感がね……結局、夕依を信じきれてないんだよな」
移動しながら夜都の新しい能力とその検証方法を話し合った。夢でなくてもみれるなら使い勝手がよい、と大和も思ったようだ。
「上手くいけば、創造主の居場所を予想出来るかもしれないな!」
「今なら地球にも往き来できるから、創造主の役割を戻すよう説得できないかな」
「探すために、何か情報が残ってないかあちこちで試してみるよ」
それを聞いて、「呪文考えてあげるよ」とニヤニヤしながら大和が提案してきた。
「うっ…」
「ほら、今日、ログアウト前に使うかもしれないでしょ?すぐ決められる?無理でしょ。今でしょ」
「む…採用するかどうかはまた別だからな!」
「ふっふ、りょーかい!ん……revelation…revelate the Night でどう? “Night“をrevelate、ってことで」
「お!いいな、それ!ちょっと練習してもいい?」
「え、今ここで? ちょっと…取り敢えず馬車を停めるよ」
早速使ってみたくなった夜都は、馬車を街道脇に停めてもらい、そこから茂みを越えて森の中に入っていった。
慌てて大和が後を追う。程なくして綺麗な小川が見つかり、そのお陰で川の周辺が少し拓けている。夜都はその小川のそばの岩に腰掛けて、北の空に手の平を向けて上げた。少し呼吸を整え、何かを見つめながら唱える。
『創造の記憶心象』
唱えた瞬間、手の平を中心にカッと辺りが煌めいた。余りの眩しさに大和は目を押さえる。何かこういうシーンがアニメにあったな、と思いつつ、邪魔にならないよう目を閉じて痛みを無言で堪える。
夜都のほうも何も声を発しない。暫くして大和は目が開けられるようになって、細目で夜都を探す。
「ヨル?」
「ああ」
「何か見えた?」
「ちょっと遠すぎだったみたい。MPも足らなくてクラクラする」
大和は、ぼーっと空を見上げて動かない夜都の言葉にびっくりして、慌ててMPポーションを取り出して飲ませる。
「ありがとう。発動はしたんだけど、あっちの方向」と、夜都は空に向かって指差す。
「あそこに天空の草原があるんだけど…遠いし、たぶん間の雲も邪魔になっててよく見えなかったよ」
「? あの空に何かあるのかさえ見えないけど。ヨルは目視は出来てるんだね」
「ん。少し心情?は感じられた。ウキウキしてたよ。オモチャをもらった時みたいに」
「それは…最初の頃なのかな。あの天空の大地が最初に創られた、みたいな話だったもんね。なんだっけ、あの司教の言葉――“原初の大地“」
それを聞いて夜都は理解できたような気がした。創造主は、この箱庭をもらった時はまだ期待と興奮で楽しそうだったのだ。そんな彼が創造しようとしたものは――
「どういうことだ。この、Dragonight Onlineの22作目もドイツのゲーム会社が作ったんだろ?」
「そう、俺が調べた限りはそれで間違いない」
「でも…でも、彼も、創造主もゲームの世界を作ろうとしたようだった、恐らく一人で。これって一体?」
「この世界は二人の“創造主“がいて、継ぎ接ぎみたいな作りなの? う~ん。やっぱり竜騎士達と話をしないとだめなのかな…」
ずっと避けていたことだったが、二人ともそろそろ限界を感じ始めていた。




