63.夢見
翌日、夜都は出勤日だったが会社を病欠した。HPポーションを飲めば体力は回復すると思ったが、なんとなく市販の風邪薬を飲んで寝ることにした。
昨日の園芸店での出来事は、オフ会のメンバーで作ったグループチャットで報告しておいた。
熱で目が回る中、夜都は目を閉じて創造主の少年のことを考えていた。たった15歳であの大きな天体の世界の主となったこと、一人で大陸や海や自然を動植物を造っていったのかな…
◇
?上手く聞こえない。 ああ、寝込んでから熱が下がるときのアレか? 空に投げ出されてグルグルするヤツ。 今日は空が青いな。 海も青い。 足場がないと怖いなあ。 耳鳴りする。 素直にポーション飲んどけばよかったかな……
◇
朝、夜都は目が覚めたらスッキリしていた。熱は下がったようだ。携帯をみたらまだ5時だった。昨晩はグループチャットでみんなが話をしてたみたいだな。後で履歴をみよう。あと大和から電話も来てる。メッセージを返しておいた。
立ち上がると少しふらふらするが、朝食をゆっくり食べて休みつつ仕度をしていると大和から電話があった。
『日比谷、起きた?』
「ああ、ごめん。ちょっと熱が出て寝てたわ」
『…え?雨に濡れたから風邪ひいたんじゃない?もう平気?』
「ん、一日寝てたら熱が下がって治ったらしい」
『そう。一人暮らしだし何かあったら連絡してね。あと、あの後一人で薬草探しに出掛けたの?俺にも声を掛けてよ。みんな心配してたし俺も遅い時間に連絡きたから気になったよ。安達さんが前作までの調合リストを今度まとめておくって―――』
(あれ?大和の声が遠い。まだ調子が悪いのか?)
「ごめん大和、まだ治ってなくて電話も辛いみたいだから切っていいか?」
『…ぁぁ――』
返事が微かに聴こえて電話を切る。何とか会社に休みのメールをしてまた寝込む。
◇
水田まで飛ばされたのか。 ここ、見渡す限り青々と稲が育ってて、福島のじいちゃんちみたい。 米はいいよな、日本のソウルフードだし。 ちょっと実が丸くて失敗しちゃってるけどいいんじゃん? その分沢山食べれるし。 ……ちょっと君? 水の元栓止めちゃダメだよ。 ……もう見たくないって?
◇
夜都が次に目を覚ましたのは夕方だった。携帯を見ると17時だった。大和から連絡が来ていた。心配してるみたいで、大丈夫だとすぐ返信しておいた。
(ん……なんか同じこと繰り返してるみたいだな)
もういい加減目を醒まさないと、とタンポポの花びらを浮かべたジンジャーティーを飲んだ。
飲んだらすぐに意識がはっきりしていった。いつもはボンヤリしか思い出せない夢の内容を覚えている。――変な夢だったけどなんだか暗示的で。その意味を考えていると、また大和から電話がかかってきた。
『日比谷!本当に大丈夫なの?』
「ごめん、大和。結局ポーション飲んだから。混乱回復の」
『混乱? …何かあった?』
「予知、じゃないよな。過去? 知りたいことを視せる? よくわかんないけど、不思議な夢、たぶんナイトの夢」
『夢から情報を得られるようになったってこと?』
「そう。後でログインして何の能力か確認してみるけど、病み上がりだからちょっと待ってて。今入ると体調不良でアラーム鳴りそう。でも不思議だよな、朝野とは全然会ってないのに」
『そうだね……。何かわかったら教えて。俺、仕事に戻るね』
「仕事中にありがとう。じゃ」
夜都は、電話を切ってから、今度こそ精力的に動く。ちゃんとしたものを食べてなくて力が入らない。体力を回復しないと。HPポーションを…と一瞬思ったが、さっき状態異常(混乱)回復薬の完成版に近いものを飲んでしまったばかりだ。本当に依存性になりそうで怖かったので、冷凍ご飯でおじやを作った。
(そういや、水田が出てきたよな。あれ、どこだろう。ナイトには米ってなかったよな。小麦粉はあったけど)
ご飯を食べ終わり、軽くシャワーを浴びて再びパジャマを着ていると、『ポコン』と着信音が鳴った。レタスからで、ファイルが添付されていた。ファイルは過去のDragonight Onlineの作品の調合リストだ。前に、直近の作品のリストはもらっていたが、改めて古い作品も含めてリスト化してくれたようだ。
レタスにお礼を伝えつつ、もらったリストを軽く見ていった。その時、ふとある項目が目についた。
“アガタ草──状態異常系で必要。稲穂似、やや丸い実“
前話で夜都の具合が悪い描写をしたら、自分も体調を少し壊しました…
寝ながら文章書いてたら、延々と夢を見ている話になり。後から読んでかなり削りました (-_-;)




