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47.ナイト

ログアウトしてから、夜都と大和はやや疲労を感じジンジャーティで休憩した。



「どうする?夕飯早かったから後で夜食でも食べようか」


「そうだね。まだ8時前か」



取り敢えず風呂に入ってから酒を飲みつつ軽食をつまみ、情報交換を始めた。



「ま、今日も衝撃的なことがあったな」


「次元が違うって話ね。その話大丈夫?相当混乱してたでしょ」


「ああ、あっちでポーション飲んだし、こっちでもジンジャーティ飲んだからかな」



そう言いながら夜都はメモ用紙を取り出した。そこに、頭の中のイメージを書き出していく。描いた線は不思議なことに、コンパスや定規を使ったかのようにまったく歪みがない。



「で、この線がいわゆる緯度と経度、あの世界の天体での。言いにくいからDragonightから、“ナイト“とでも呼ぶわ」


「うん。こっちが地球だね」


「そう、比較するとナイトは月よりも少し大きいくらい。踏破できたエリアはこの大きさ、東京都よりちょっと広いくらいで意外と狭い。各大陸はぼんやりとした情報だけど―――」



今度は別の紙を出してきて円を二つ描き、そこに地図を書き込み始めた。



「日比谷……ここまでわかるのか、とんでもない能力だな」


「ハハ、記憶力は変わってないから細かいとこは適当だよ」


「表面と裏面の地図―――きちんと球体全部に地形の設定がされているのか。最終的にそこまでゲームのエリアを広げる予定?いやゲームのための天体ではないからか……?」


「しかもナイトは宇宙空間に漂っている天体だ。そこまでわかって、一回、目が回った。だが、問題はその後だ。大和は見たか?あの光は、ナイト上に俺の携帯が見当たらない、とわかったとたん、別方向に目を向け―――空間に吸い込まれていった。あそこで、方向を完全に失った。洗濯機に放り込まれたみたいに上下左右がもみくちゃになって、気がついたら目の前に地球があった。そして視界がブラックアウトさ」


「日比谷が苦しそうに前屈みになったとき、瞳が点滅するみたいに光っていたよ」


「自分でも光ってるな、と思ったよ。あの時の万能感がヤバかった。神にでもなった気分だ」


「まさしく神の視点じゃない?……でも見てて怖かったよ。今回のような使い方は当分やめたほうがいい」



夜都も、あの時同時に言い知れぬ恐怖を感じたためその意見には同意した。その後、もう一つのポーション、状態異常(混乱)回復薬の話になった。



「混乱をしかけるモンスターは、東の町(アルマ)にいく途中にあった森にいるんだ。ここから直接行って試すのもいいけど……」


「例のクエストのついでに、のほうがいいかな」


「そうそう、馬車を借りに始まりの町(グラドス)に行く際、一緒にクエスト受注する、ってどう?来週あたりにさ」


「いいね、じゃあ明日はもう一日アルマでのんびり過ごそう」



翌日は、夜都はログインしても特に目的なくのんびりすごした。だが、大和はほとんどゲームはせず運営サイトにログインしてメールを送っていた。夜都が聞くと、運営事務局窓口に何やら問い合わせをしているそうだ。

窓口は問い合わせてもほとんど回答がないことで有名だったが、大和に「後で説明する」と言われ、それを待つことにした。



……………………………


週が明けて、夜都は変わらない毎日を送っていた。日中は仕事、夜寝る前に2,3時間ゲームをする。時々料理という名の調合。だんだんと大和からの質問は減って、ここのところほとんどない。逆に夜都からゲームでの出来事をレポートする、という流れだった。


そんなある日、いつものようにログインしようとホームページにアクセスしたら、トップ画面にリリース一周年記念イベント開催の告知が出ていた。


「みたか、大和?」


「うん、10日後の土曜だよね、初めてのイベント?」


「そう、前作でもこういうのあったらしいよ。まあ、イベント期間が15時間で一回しかログインできないから、生産職仲間と夕依とは同じ時間に入ろうって。それ、お前にもつたえてくれって言われた」


「土曜なら大丈夫だよ。告知にはほとんど情報なかったけど、何かわかったら教えてね。こっちも調べてみるよ」


(ん?大和は、ネットで調べるのか?それとも俺とは違う交遊関係?)


少し気になったが、取り敢えず次の土曜にまた会うからその時にでも、と思い了承して電話を切った。





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