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38.駅ビル

副題つけてみました!

ちょっとはわかりやすいタイトルになったでしょうか?


後からタイトルを直せる場所がなかなか見つからなかったです。一瞬、運営にリクエストするのか、と思ったり。

大和に連れていってもらったのは地下鉄の駅が乗り入れている新しくできた高層の駅ビルで、下層部に店舗が入り、その上にオフィス、最上階に展望レストランと展望台が設けられている。



「これさ~、デートに最高じゃないか?」


「日比谷、しつこいな。俺はデートに来てないって」


「お前に教えてもらえなかったからショックだったのかなー。あーっ人間不振になりそう!」



根にもつ様子に大和はやや辟易してきたが、晴れ渡る空と眼下のビル群を見ているうちに、お互い落ちた気分が元に戻ってきた。



「そういやさ、日比谷、例の感知のって、半径250メートルだよね?」


「ああ」


「座標分かるほうのは……同じ距離?」


「あ……」


「まさか、視認できるならどこまでもok、なんて言わないよね……?」


「……。」


(言われてやっと気がついた。大和が言いたいことも。まさか、そんな……)


「……そうなのか。それとんでもないことになりそうだけど……それによって可能になる諸々を考えるのは一旦置いとこう。取り敢えず、250メートルを超えるところを視てみる?」


「あ、え~と」


「日比谷、これもまさかだけど……、例えば1キロの距離って言われて視ただけで正確にわかったり……するわけ?」



二人はお互い見つめ合って固まった。それが答えになった。



「いや、ちょっとね、距離に関してはクエスト中も気になってたんだ。250メートルとか500メートルとか言ってたから。それって自信持って言える距離じゃないでしょ?それに、"ヨルの弓矢"、一度も外さなかったよね」


「お、お前、俺が考えないようにしていることを……」



ふ~っと同時に息をはいた。こういう時の夜都は思考を放棄してしまう。どうしていいのかわからず、すがるような目で大和を見る。



「やっぱり現実世界(こっち)でMP切れが起こるとちょっと怖いから、止めておこう。悪い、、俺もうっかり言ってしまった」



大和は、外に背を向けて窓枠に寄っ掛かり、元気付けるつもりか明るい顔をして続けた。



「ま、言わなきゃわからないよ、きっと。だって目に見えないんだから。出来ないことで悩むより、出来ることで困るほうが何倍もましだ。どうそれを控え、活かしていくか、考えればいい。目がいいことはとても有利だ」


(こういうところが最高なんだよな~。俺今絶対落ち込む流れだった、一人で考えてたら)



夜都は「ありがとう」とうつむきがちに少し目を潤ませて答えた。そしてその後は夜都も大和に並んで内側に顔向け、窓の外には目を向けないようにしていた。


ビル下層部に降りるとそのまま改札の階にいけるが、二人はせっかく来たからと途中の階にあるショッピングエリアに立ち寄ることにした。


季節もので珍しいもの、お洒落な日用雑貨、ぶらぶら見て歩くだけでも楽しめた。夜都は、大和がこれから頻繁に遊びにくるから、と食器類を買いたすことにした。二人でどれにしようか真剣に選んでいたところを、実は夕依が見かけて気づかれないように陰から眺めていたが、二人ともまったく気が付かなかった。


……………………


大和は泊まりの荷物を取りに一旦夜都の家に寄っていった。その際、夜都はあるものを渡した。


「これ、忙しいのに時間作って来てくれてるから、必要になりそうなときにでも飲んで。冷蔵庫に入れて移しかえて飲めば生姜が入ってるし数日は大丈夫だと思う」


「ジンジャーティ?」


「うん、効き目も強すぎないし。強くて中毒性でたら怖いけどこのくらいならいいかなと。……なんか、他にお前に返せるものって今思い付かなくてさ」


「ハハ、気にしなくていいのに。ありがとう。日比谷こそ気を付けてね。何かあったらなんでも言いなよ。平日ログインするときは、必ず報告ね」


家を出るときはすでに日が暮れ始めていて、夜都は、大和の荷物を持って駅まで見送った。


そうして家に戻って一人になると、今日あったことを色々と思いだしてしまった。特に、実物の夕依を見たときの衝撃は大きかった。


あの後、大和がいつも以上に気を遣ってくれたのがわかって、なるべく考えないようにしていた。実際その後また別の衝撃的な事が起きてしまったが。


「あーーーっ!!くっそーっっ!!!」


大声が出た。


「朝野のヤローー上手くやりやがって!!」


そこまで言って気がついた。朝野に嫉妬しているのだと。


(あ~っ、格好わるっ。なんだ、妹とか言っておいて好きだったんだ。気がついたときに失恋。ハハ。本当にあるんだな)


早速大和に言えない……と夜都は思ったのだった。



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