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お金は大事

 月々二百万。

 一年で二千四百万ルピン。


 ど、どうしよう。

 そんな大金が転がり込んでくるなんて。


 僕はまだまだ村人だった時の感性が強く残っている。

 大体の物価も分かっている。

 そんな僕に目が眩むような大金が転がり込んでくる。

 もし、二千四百万もの大金があればこの先何年も、慎ましく生きるなら何十年も楽に暮らせる。

 そんな大金が貰えるのか?

 あのポーションで。


「ア、ア、アルフ!」


「か、母さん」


 母さんは僕の手を掴むと高々と掲げた。


「でかしたわ!」


 そして僕の両手を持って踊る。


「うふふ。さっすが私の子。必ずやると思っていたのよ。結果を出すのは学校を卒業してからと思っていたのだけど、入学してすぐにそんな発明をするだなんてねー」


「僕もこんなことになるなんて思わなかったから嬉しいよ」


 しばらく二人でるんたったとダンスを踊る。

 しばらくそれを見ていた伯父さんは咳払いして止めに入った。


「あー、カレン、アルフ。そろそろ止まってくれないか?」


「メイ! 肉だ! 分厚い肉を焼いて。レアで!」


 ふふふ、祝いだ。

 贅沢しても大丈夫だ。

 僕には今、金がある。

 一度噛み切れないくらい分厚い肉を食べてみたかったんだ。


「かしこまりました、アルフ様」


「アルフ、止まれ!」


「止まれないよ伯父さん。今は止まってられないよ。わはは、金だ。肉だ。酒だ!」


「はしゃぐ気持ちは分かるが・・・」


 伯父さんは額に手を当てて首を振る。

 今の僕は誰にも止められない。

 伯父さんは諦め、僕は分厚い肉を頬張りながらプチ宴会を催した。



 しばらくして。


「満足したかアルフ?」


「三日くらい続けてもいい?」


「勝手にしなさい。栄養のバランスは考えてな」


 若い体の僕は少しくらい無理をしても大丈夫だ。

 まだまだ宴は続くぞ。


「さて、話を続けるぞ。アルフ。あのポーションだがすぐに特許を取ったほうがいい」


「とっきょ?」


 何それ?


「分からないか。特許っていうのはまあ、君の発明を護るための権利だ」


「護る?」


「君の真似をして同じポーションを誰かが作ったら、嫌だろう? 特許を取っておけばしばらくは君の発明は君以外の人間は作ってはならないんだ」


 へえ。

 五百年前はなかった制度だね。

 なるほど、昔は僕の発明を真似する魔術師が沢山いたものだけど、今の時代にはそれを護る制度があるということか。

 文明は進歩しているな。


「うん。そうだね。取ったほうがいいね」


「それじゃあ手続きをしておくよ」


「お願いしていい? それと僕、あのポーションに改良を加えたいんだ」


「改良? あのポーションは画期的だった。あれを更に改良しようというのかい?」


「うん。丸薬に出来ないかと思ってるんだ」


「丸薬だって!?」


 伯父さんは驚愕した。


「待て、液体のポーションを丸薬に出来るのか?」


「試行してるよ。液体だと持ち運びが不便でしょ。容器が割れちゃったら中身が出ちゃうし、わりとかさばる。冒険者なんかが持って歩くには不便だと思うんだ。その点、丸薬にすれば量も持てるし保管も楽だから」


「今までポーションは傷口にかける方法が取られていたが、丸薬になると完全に呑み薬だな。それで同じ効果が得られるか?」


「水に溶けるようにするよ。水がなければ最悪、唾液でも血液でもいい。それなら傷口にも直接当てることが出来る」


「・・・」


 なんか黙っちゃった。

 僕なんか変なこと言ったか?


「・・・これは、ポーションの歴史に革命が起きたのかもしれないな」


 額に出来た玉の汗を拭い、伯父さんは母さんを見た。


「アルベルト家は神童を授かったか。トンビが鷹を生んだか、カレン?」


「ふん。誰がどう見ても私の子供よ」


 母さんは嬉しそうに笑う。

 そして、肉にかぶりつく。

 母さんも宴に夢中だ。


「君はまるで伝説の魔術師アルフレートのようだな」


「は、ははは」


 どうも、本人です。

 僕は苦笑いを返した。


「流石はアルフ」


 メリアは誇らしげに笑った。

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