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〜過労死による転生?いや違う僕は生きている〜
3日貫徹にさすがの疲労を感じた瞬間、目の前が真っ白になった。次の瞬間、僕は見知らぬ土地に立っていた。
「あれ、さっきまで会社にいたような…まさか過労死して天国に来たのか?」
最近、会社のブラックさに思い当たる。しかし足もあるし、どうやら生きているらしい。あたりを見渡してみると、明らかにおかしい。まず、地面は舗装されていないし、道行く人はみんな着物?みたいな感じ。思考を巡らせて昔、遠足で行った太秦映画村に行き当たった。しかし、妙に生活感がある。と思っていた矢先、鬼の形相で向かってくる男性が2人。
「御用だ、御用だ!その珍妙な格好の者、貴様何者だ?」
「やばい不審者だと思われた」
この時代の裁判といえば時代劇の奉行所。白砂の上に座らされてろくな捜査もないまま打ち首になるのでは、恐怖が込み上げてきて、取り敢えず逃げてしまった。運動は苦手だったがとにかく全力で走った…そうしたら意外に追いつかれなかった。彼らはらは草履、しかも重い十手を持ちながら。こちらは靴を履いている、腕を振って走る近代走法の勝利であった。なんとか逃げ切ったのであった。
つづく