???サイド
とある大広間。
絢爛と輝くシャンデリアの下に五つの人影があった。それぞれが直立不動の姿勢で視線の先にいる青年を見つめている。
その青年は眼鏡を身に着け豪華なマントを羽織り、手元にある資料を眺めていた。
「……はぁ、父上はとんでもないものを残していったな」
資料から視線を外し、天井を見上げる。そして疲れたように目頭の内側をつまむ。
「魔剣の研究をあんな犯罪者に任せているなんて……もっと早く気づけなかったのか?」
「お言葉ですが統王、これ以上早く情報を早く得ることは難しかったかと」
直立不動にしていた一人が手を挙げ、統王と呼んだ青年に答える。
「情報が入ったのが昨日であり、その研究所の場所を確認することを含めると……」
「言い訳は聞いていない」
「……申し訳ございません」
深々と頭を下げる。それを見た青年はため息を吐いた。
「別に俺は怒っていない。俺は後悔しているだけだ」
「後悔、ですか?」
「父上がこの犯罪者と繋がっていたことを事前に把握できていたはずだということだ」
情報を事前に得ることができていれば、こんな研究を放置することはなかった。それどころか優先順位を上げ、先に封鎖することを考えていただろう。
過ぎてしまったことは仕方がないと小声で呟き、挙手した相手のほうを見る。
「それで、研究所にはその犯罪者のほかに誰がいるんだ?」
「ヒゴの前領主の娘とその従者は把握しております」
「前領主の姫君……確か魔剣フルンティングの所有者・ナナミだったか。彼女は死んだのでは?」
「そう聞いていましたが、極秘裏に研究所へ流罪となっていたようです」
「……研究所へすぐに行くことは可能なのか?」
「ご命令とあらば」
「よし」
話を聞いた青年は肘掛けに手を乗せ、勢いよく立ち上がる。
「犯罪者ナギの拘束とヒゴの姫君およびその従者を保護する。構成はキサ、タケの二人の部隊を研究所へ派遣する。ノタヂはフヨウの麓で待機だ」
「「「承知いたしました」」」





