とある星間帝国の悪夢 その二
今回、あまりタイピングは進みません。
その代わり、脳内時間と作品時間は一致してます。
星間帝国年501.0404 艦長日誌補足
我が艦、USDNー1001が新型エンジンのテスト宙域に入った。
これからは、あの、いまいましい(ピー)野郎に指揮権を移譲する事になる。
指揮権の移譲式は終了した。
不安だ、不安しか無い。
マッドサイエンティストに、この艦を自由にさせて本当に大丈夫なんだろうか?
私の不安は、いや増すばかりである。
皇帝陛下も何故にあんな(あまりに酷い罵倒なのでマスクしました)野郎に最新型の戦闘殲滅艦と最新エンジンを与え給うたのか。
艦内における士気も、これ以上ないくらい下がっている状態で、あのキチ(ピー)博士だけが一人異常に張り切って回りを怒鳴り散らしている。
とはいえ、もうすぐ新型エンジンのテストに入る。
どれ、私も立ち会わねばならない。
コントロールルームへ行くとするか。
あと少しで宇宙航行の常識が変わるとまで言う新型エンジンの本格テストが始まる。
今、新型エンジンが稼働し始めた。
慣らし運転で、しばらくは最低稼働のままデータを取るそうだ。
そろそろ慣らし運転も終わったかな?
少しづつ稼働エネルギーを増しつつエンジン音が高まっていく。
少しづつ上げていくのは微調整も同時に行っているからなんだと説明された。
ただし説明する博士の顔には「なんで説明しないと理解しないんだ?こいつらバカか?」という表情が、ありありと見て取れる。
星間帝国年501.0405
微調整に1日かかった。
このまま負荷が最大になるまでエンジンを稼働させたら一度、最低限までエネルギーレベルを落としてから、ようやく我が艦に接続するとのこと。
正直、私は旧式の慣れたエンジンのほうが良いのだが、これは我が星間帝国の未来には絶対に必要なものであることは私も理解している。
艦に接続する前の負荷試験が、ようやく終了した。
これからエンジンの切替作業に入る。
我が艦の技術者達や実験の為に派遣されてきたエンジニアたち、科学班も手伝って大騒ぎである。
「ああ、違う違う!そのケーブルは、こっちに接続するんじゃ。間違えると、この艦と一緒に、この辺の空間そのものがねじ曲がってブラックホール一歩手前になっちまうぞ!」
とか、あの博士、何気に恐ろしいことを叫んでいる。
数時間後ケーブルの山と化した新型エンジンとコントロールルームが長く太いケーブルで仮接続されて1つのオブジェと化している中、私は博士に言う。
「博士、テストは良いのですが、これではコントロールームの中は、おちおち歩けなくなりますよ。博士も同様です、あちこち飛び回られると細いケーブルが破断しますからね」
注意喚起だったが明らかに当人は不本意。
「やかましいわい!全てを儂が把握しておかんと何か不都合が起きた時に対処の仕様がないではないか!そんな衝撃で抜けるケーブルなら、予め抜いておけ!」
ひどい話もあったもの。
もう何も言うまい。
新型エンジンの本格テストが始まった。
ゴゴゴゴゴゴ……と低い音を響かせながら低速で宇宙戦闘艦が動き始める。
今までと変わらない操縦反応だが、まだまだ、これからだ。
「さーて、準備は良いな、そこの!儂が合図したら急速にエンジンの出力を上げていくように。ただし今までのエンジンとは段違いのエネルギー係数なので急激にとは言っても慎重にな……さあ、今じゃ!」
操縦担当士官が慎重ながらも急激にエンジン出力を上げていく。
加速が緩やかなものから急加速になり慣性アブソーバーが一瞬、追いつかなくなり我々は倒れそうになる。
「これで光速の10%まで加速した後、超空間バウンド航法に入る!元のエンジンとは違って強力なエンジンじゃから超空間への突入角度が問題となる。儂は、その最適解を求めたいので突入角度の微調整を各バウンド終了後に行う。その実験データが2番艦や3番艦に生かされるのじゃ!」
また、こいつは無茶なことを言う……
超空間突入角度などというものは理論的なものに過ぎない。
現実空間と超空間は全く別のものであり、そこに突入しようとする物体が持つ運動エネルギーは全て現実空間に跳ね返される。
だから今までの宇宙戦闘艦はエネルギーを大きなものとするためには必然的に艦体とエンジンが大きくなればなるほど性能が良くなっていく。
ただし、あまりに大きすぎても現実空間での取り回しが面倒なこととなるのでサイズとエネルギーの妥協点を探すこととなる。
私が、どう思うかは今は関係がない。
今は、この新型エンジンがうまく動作してくれることを祈るだけだ。
私にできることは現在、何もない。
加速が止んだ。
次は超空間バウンド航法に入るのか。
新型エンジンが更に大きく唸る。
「それ、今じゃ!超空間、突入!」
今まで感じたことのないショックを感じる。
これは成功?
それとも失敗?
次の瞬間、現実空間に戻った我々が見たものは目の前に迫る巨大小惑星だった!




