名も無き星からの船 その十三
解決編のようなもの、でした。
惑星到着と、後日談については、次回です。
それから事態は物凄いスピードで推移していったんだ。
フロンティア船長の「全てを救う宣言」から1時間後、もう僕たち異能者集団は宇宙船フロンティアの大型搭載艇に移っていた。
すごかったよ、あれは。
乗員5名と聞いてたフロンティアだから、もう誰も残ってないだろうと思ってたら巨大小惑星から、これまた巨大(宇宙船的に、だよ)な500mほどの大きさの搭載艇群が、いつ開いたのか、そこかしこの発進口から数十機、発進してきた。
そして僕達も含めて全ての第一号宇宙船の乗員を収容しちゃったんだ。
移乗作業中、僕はフロンティア船長へ、僕らの世代宇宙船はどうなるのかテレパシーで聞いてみた。
すると、こんな答えが即時に返ってきたよ。
《心配しなくていいよ、サミー。君たちの宇宙船も君たちと一緒に故郷の星へ持って行ってあげる。資源を無駄にしないのが宇宙に生きる鉄則だからね》
どうやるの?
と聞きたかったけれど、それは、すぐに起こった出来事で聞けなかった。
船長以下、運行クルーまで移乗した結果、無人のまま光速の2%弱の速度のまま逆向きで宇宙を疾駆しているはずの世代宇宙船が姿勢を変えている!
それどころか徐々に速度を落として(爆発物の投射も無し、だよ当然)1時間後くらいには全く速度がゼロになっちゃった。
これには船長以下、普通人の皆も僕ら異能力者も驚きで頭の中が真っ白になっちゃった。
後で、
〈船長さん、世代宇宙船を無人のまま制御したのって何ですか?あんな科学技術は想像もつきません〉
と聞いたらフロンティア船長さん、こともなげに、
《ああ、ただのトラクタービームの強力なやつさ。長さは同じでも君たちの宇宙船とフロンティアじゃ、エネルギーの桁が違うんだ。ちなみに俺達は君たちの星系の近くにあるアンドロメダ銀河じゃなくて、もっと遠い銀河系から来たんだぞ。このくらい簡単さ》
これを聞いて僕は科学技術の未来は果てしないと確信したよ。
人って、そこまで行けるんだね。
後は簡単、止まったのなら逆に加速してやればいいだけ。
おあつらえ向きに世代宇宙船は故郷の星に頭を向けているから、そのまま加速してフロンティアと世代宇宙船は適当な距離を取りながら故郷の星に向かっていった。
え?
フロンティアのほうが速いんだから、僕らと一緒は時間の無駄だろうって?
いやいや、様々な問題を抱えてる僕らの星に向かうんだ。
だから船長以下、一番最新の情報を知ってるだろう人たちを集めて会議する必要があったんだよ。
ちなみにフロンティア側では、もうとっくの昔に僕らの故郷星系に無人搭載艇を飛ばして星系の最新情報を入手していたんだって。
さすがトラブル解決専門宇宙船!
「……ということで君たちの故郷の星系の人たち、いわゆる「ご先祖達」は、まだ生存してますよ。この一号宇宙船の完成・発進後、すぐに太陽が不安定になり、その後の二番艦、三番艦の建造は中止されたようですが、しかし人々は惑星の地中に都市を建設し、なんとか生き延びているようです」
とのフロンティア側の報告。
僕達は嬉しかったけど世代宇宙船の船長は、
「良いニュースが逆にこちらには悪いニュースになりましたな。故郷の星との連絡は、もう数十年以上も途絶えたままですし、どうやって灼熱の星に近づけば良いのやら……」
と、苦しい表情になる。
太陽が原因じゃ近寄るにも命がけだね。
なんて僕達が思ってるとフロンティア船長が、いとも気軽に、
「太陽の異常発熱なんて、すぐに解決できますよ。まあ数十年もあれば、もとの太陽表面温度と大きさに戻るはずです。プロフェッサー、確か以前に回収した球状生命体の太陽制御装置があったよな。解析は終了したと聞いてるが、あれ使えないか?」
プロフェッサーと呼ばれたロボットの一台が、すぐに答える。
「はい、ちょいと改造する時間はかかりますが数時間もいただけば目標の太陽に投入できると計算します、我が主」
「よし、それではフロンティア。太陽制御装置の改造プランをプロフェッサーと相談して工廠で改造にとりかかってくれ。無人でも大丈夫だろ?」
フロンティアと宇宙船の名前で呼ばれたロボットが答える。
後で聞いたら宇宙船の頭脳体なんだって。
とてつもないな。
「はい、マスター。では、さっそく」
データ交換用の線をお互いにつないで2体のロボットは動かなくなる。
あの中では僕らの計算機なんかとは段違いの難しさの計算とデータ交換が行われてるんだろうな。
「さて、と。改造が終わっても投入前には太陽表面にいるエネルギー生命体に一言、制御装置を投入するぞと伝えておかないと、いらぬ混乱を与えるからな」
え?
船長さん、僕らの星系の太陽に生命体が住んでたんですか?
と、これも後で聞いたら、
「ああ、どの太陽にも太陽のエネルギーで生存し活動するエネルギー生命体がいるんだよ。彼らの祖先は、この宇宙が暗くなる前は宇宙を駆けまわってたんだぞ。今は太陽から離れすぎても表面温度から高すぎてもダメだけどね」
驚きが多すぎて僕の頭はおかしくなりそうだ!
数日後(僕らが100年近くかけて航行してきた距離が光を超える特殊航法を使うことなく数日で戻れる……世代宇宙船の皆、どう考えて良いものやら悩んでいるようだった)
僕らは無事に、故郷の星の衛星軌道にいた。
ようやく、書けた……
次回は、総まとめと後日談になりますので、宇宙船の話については、これで終了。




