名も無き星からの船 その後
ようやく、この章、終わりです。
ものすごく疲れました(精神的に)
すごく書きやすかったのですが、自分の脳内時間と小説内時間がズレるズレる!
これは、過去の記録を探る者達の物語である。
彼らは、あるときは図書館へ、あるときは古びた金庫の中を探り、あるときは国家の宝物庫まで、その入りゆくところに禁止条項はなく、その得られた成果は個人のものとはならず、ただ過去を照らす一筋の光となるだけの、世に出ることなく過ごす者達のことである。
その者達は今、200年以上も前に成された、まさに神の奇跡か、または偶然が重なって奇跡となったのか理解しがたい過去の出来事に関し様々な資料とデータを探査しているところである。
「なあ、本当なのかよ、これ。よりにもよって異星人との接触によって今、我々が使っている技術がもたらされたって資料だぜ?これを信用するなら今の科学技術は、その異星人の接触によって全く違う次元へ持ち上げられたとしか判断できなくなるぞ」
「それを判断するのは我々ではない、我々の長のみが真贋の判断をする。超知能を持つものが判断しなければ我々普通人が勝手に判断すると、抜けが出るからな」
「それはそうなんだがなぁ……異星人と接触したタイムポイントを仮に0年と規定すると、それまでの科学技術ってのは子供のお遊びに過ぎなくなるんだよな。宇宙船だって水爆や原爆を爆発させて推進力とするロケットなんてヤバいもの普通に最新型で使ってるんだぜ」
「それに比べて0年ポイントを過ぎると急に技術が進歩……いや進歩なんて話じゃなくなるよな、これ。今でも普通に使われてるフィールド駆動方式や全くエネルギーを使わずに太陽風を使う宇宙ヨットの出現もそうだ。0年ポイントより前には全く出現も無く実験すらされていない」
「恐ろしい話もあるぜ。0年ポイントまでは、この星系の太陽が膨れ上がって下手すりゃ絶滅寸前!なんてところまで行ったというニュースもあるぞ。本当なのかね?確かに今でも地下都市の名残はあるけどさ。あれが使われていた当時には行きたくないね」
「異星人が異常発熱していた太陽に摩訶不思議な機械装置を打ち込んで元通りにしてしまったという話だろ?あれ、都市伝説じゃなかったのか?」
「いや、この時期の報道やメディアの記事を検索しているが、どこもかしこも謎の異星人のことばかり書いていたり、その成果を映像にしていたりするな。どう考えても実在していた異星人が関与していたと思われるぞ」
「まあ俺達が、ここでごちゃごちゃ言っても仕方がない。全ての資料を持って長の所へ行くぞ!」
しばらくして何処とも知れぬ、長とだけ呼ばれる翁のもとに男たちが集めた資料とデータ、報告書が届けられる。
「長、ようやく過去の資料の分析が終了いたしました。ご判断を、お願いいたします」
長と呼ばれた男は、おもむろに資料と報告書を手に取り無言で読んでいく。
時間が流れる、流れる。
数時間後、ついに長は報告書の山から手を離し静かな声で話しだす。
「お前たちが集めた資料、これは全て事実である。異星人の関与と援助も事実だ。お前たちが不思議がるのは何故に異星人の姿をまともに写した映像がないのか?という点だと思うが、どうだ?」
「はい、正直に申しますと、その一点のみが不思議・疑問なのです。なぜに異星人の姿形を写した記事もデータも報道も無いのでしょうか?何かの組織の関与があったのでしょうか?」
「そうではない、そうではないのだ。その姿形を写した物が一切ないのは、この星の民衆の恐れと反発をメディアも政府もよしとしなかったからだ。それほど彼らの知識と科学技術の援助が欲しかったのだよ、我々は」
「と、言われますと?」
「彼ら異星人は姿形は全くと言っていいいほど我々にそっくりだったのだよ、ただ一点を除いて」
「はい?そんな情報どこにも載ってませんでしたが……」
「それはな。彼らが二つ目だったことだ。我々の迷信というか遥か昔からの怪談話に二つ目の妖怪に祟られる話があるのは、そなたたちも知っておるな。彼らは、その二つ目妖怪そのものの顔だったのだ。額はツルツルで何もない。それでいて他の二つ目は正常に働く」
「うっ!ちょっと怪談話というかなんと言うか実際にいたらホラー映画というか、なんと言うか。民衆は反発しますね確かに。討伐しろ!なんて声も出そうだ」
「で、あろうな。だから政府とメディアは異星人の姿を写す映像は一切撮らなかったのだ。彼ら異星人は強力な異能力、テレパシーを持っていて、そんな兆候があったらすぐにでも援助を打ち切って旅立ったであろうな。それを嫌ったのだ」
「はあ、そんな裏事情があったのですか。太陽異常の件も異星人の技術ですか、やはり」
「ああ、そうじゃ。太陽表面にいるエネルギー生命体に連絡を取ると、向こうも困っていたようで歓迎すると言っとったらしい。すぐに太陽制御装置が打ち込まれ数時間後には太陽は安定し、ゆっくりと縮小して元の大きさまでになる、まあ数十年かかったがな」
「そうすると今の宇宙船技術も、やはり異星人から?」
「そうじゃ、それこそが大いなる贈り物じゃった。今までの駆動系とかロケット技術では空想されたこともないものを惜しげもなく我々に教えてくれたよ、彼らは。ただ一つ光を越えて飛ぶ理論と方法だけは教えてはくれなかったがね」
「え?まだ教えてもらえなかった秘密があったのですか?」
「そうじゃ、我々が異種族、自分と全く異なった生命体に恐れも軽蔑もなく接するようになれた時、その時にこそ光を越えて飛ぶ理論が明かされると私にだけはフロンティア船長は言ってくれたがの」
「え?長、もしかして異星人と会ってるんですか?歴史の証人じゃないですか!こんな事しなくても貴方の言葉だけで歴史の謎が明かされるんですよ!」
「いやいや、儂の言葉だけでは、この星の人間の考え方は変わらぬよ。ほれ未だに我々は光速よりも速く飛べないではないか。我々自身が考え方を変えるとき、それが我々が本当に星の世界に飛び出す時なのだ」
とある星系にはフィールド駆動エンジンを積んだ宇宙船と、経費節減からエネルギー消費が最小である宇宙ヨットの発展型である光子帆船の輸送船が星系を縦横に飛び回っている。
それは知る人が見たら、ある時期の太陽系宇宙空間のようだった。
この文明が跳躍航法理論を開示され跳躍航法機関の使用許可を得た(民衆の意識レベルが高くならないと超光速関連のファイルもエンジンも全てにロックがかかっていた)のは、この問答から一世紀近くが必要であったという。
その頃には、もう異星人の姿形を憶えているものは誰もいなかった。
ただし、超光速に対応した文明ということで近傍にあるアンドロメダ銀河の目に止まり、一気に恒星間文明へと広がっていくのは言うまでもない。
銀河を超えて、大宇宙は今日も平和である。
少し、休憩をもらって、新しい章の構想を練ります。
それでは!
あまりお待たせしないとは思いますよ、日数として。




