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ダンジョン が あらわれた  作者: 黒白のアレ。
PHASE2『大厄災』
31/67

ep27:聖徳太子にはなれない。


 えぇ……、なにあれ。


 視界の先には、巨大な火の玉。

 遠目からでもわかるあの大きさは、異次元だ。


 僕が十人ほどいたとしても、出来るかどうか。

 あの火の玉からは、しっかりと魔力を感じた。


 手を翳して、それを形成しているのは、4人組の中にいた、一人の女。

 その隣には青年が一人に、すぐ近くには男女二人。


 なんて言うか、主人公パーティー? という言葉が良く似合う。


 確か、あれは……ダンジョンからの帰還者でニュースとかに乗ってた、高校生の……うん、よく覚えてないや。


 いやぁ、派手な魔力……魔法とかかな? 凄い魔法だなぁ。


 殲滅戦専用みたいな派手な技だ。

 ボクもやってみたいな。


 手元でカラフルに光り輝いて収まらない魔力を見ながら、そう考える。


 遊んでたら調整に失敗したのだ。

 もう3時間くらいは経ったのに、一向に戻る気配もない。


 この状態で街中でも歩けば、さぞかし有名になれるのだろう。


 現に今もなっているしね。


 周囲からは、異物を観察するような視線。

 横目に見れば、瓦礫の合間には被災者達が。


 ニンマリ笑顔で手を振れば、直ぐに引っ込んでしまったよ。


「ははっ、つまんな」


 そう吐き捨てる。

 彼らが去った方向を一瞥して、歩き出す。


 近くの電柱に魔力の糸を絡めて……


 大ジャンプってやつだね。


 弩の様に、魔力の糸で身体を跳ね飛ばす。


 あぁ、先程の4人組に、逃げていった被災者達。

 今まさに魔物と戦っている集団や、たくさんの人が集まっているコミュニティとか、ここからは、良く見える。


 景色としては、最悪なのだろうね。

 街中瓦礫だらけで、建物は半壊していて、遠くには無事な建物群。


 あれかな、格差社会の風刺画とかでありそうな景色だ。


 血だらけで、死体だらけ。

 そんな、汚い景色。


 ……ふむ。


 そういえば、魔力ってのは、脚に纏って強化したり、糸の様にして、今みたいに飛んだりと、結構色々出来たよね。


 地表に背を向けて、考える。

 例えばだけど、こんなのは行けるのかな?


 魔力が、円を描き、ぐるぐると。

 速度を増しながら渦巻いて行く。


 体内の魔力を耳に押し当てて、コーティングするように、塗り広げて──



「──あっ」


『こちらは被害が……』『ありがとう、あなた達のおか……』『魔物の肉など食えるわけ……』『僕達はたまたま助け……』『なんで空が虹色に光っ……』『国に救助要請を……』『まだあの子達が中に……!』『グギャァ』『ど』『う』『か』『助け』



「──ァ"ガッ」


──激痛。


 頭がッ、捩じ切れる。

 突如として頭に痛みが襲う。


 魔力を消し飛ばして、空中に転がり込む。


「ふはっ、ふははっ、アハハハァ、フハハハハッ♪」


 いいねェ、魔力!

 最高に良い。

 便利なだけの力ではないんだ、やっぱり。


 なんて不可思議で、面白い力なんだ。


 

「……あー、うるさいなぁ、ほんと」


 耳の奥に、たくさんの人達の声が、こびりついていて、離れない。


 頭を押さえながら、呟く。

 これは、ダメだね。

 このままじゃ、使えそうにないや。


 さっき聞こえた声の、その一つを思い出す。


 まだあの子達が中に……だっけかな。


「あの子達、ねぇ」


 落ちていく身体をそのままに、見下ろす。

 瓦礫の向こうにある、その方向を。


「面白そうじゃぁないか」


 目の前の景色に、綺麗なんて言葉は似合わない。


 そんな、濁りに満ちた景色だった。



────────────────────

ep27:聖徳太子にはなれない。


まぁ、万能な力がデメリットなく扱える訳ないってことですよ。


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