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ダンジョン が あらわれた  作者: 黒白のアレ。
PHASE2『大厄災』
22/67

ep20:情熱的な目覚まし。


 真っ暗なコンビニ。

 その中で、指先に火を灯しながら、のんびりと。


 ボクと同じ事を考える人は多いらしく、カップ麺とか、おにぎりとか、弁当とか。

 缶詰の棚なんかは、もうすっからかんだ。



──そんな中、一つだけ残っているものがある。


 おにぎりの棚にはそれだけが残り、弁当の棚にも同じ物だけが捨て置かれ、他は全て盗られていた。


 こんな時にも好き嫌いとか、彼等には盗みを働いている自覚がないのだろうか。


 そうして、一種類だけ残ったおにぎりの包装を手に取る。



──梅干し。


 おにぎりのラベルには、そう書いてあった。


 ボクはそっと、そのおにぎりを棚に戻す。

 弁当の棚には、弁当から取り出されたのであろう梅干しだけが、ポツンと捨て置かれていた。


 ……人類は、滅びるべくして滅びるのかもしれない。


 愚かだな、人類。フハハ。



◇◆◇



──パチ、パチ


 木の枝が火の粉に弾かれる、そんな音。

 キャンプとかでよく聞くような、心地よい音だ。


 ……もっとも、ボクの心は今、最底辺まで落ちているけど。


 割り箸で串刺しにした、焦げ目だらけの肉に齧り付く。

 モシャモシャと、硬く筋張った食感は、もう、最悪だ。


「うん、とっても不味い! ねぇ、不味いよ、君の仲間!」


 脚が切り取られ、動くことすらままならないゴブリンへ向けて。

 不味いし、多少の毒もあるが、まぁ害になる程度のモノでも無いし、ゴブリンの肉を焼肉にして、齧り付く。


 クソまずい。それに加え変な匂いまでする。


 文句を垂れ流しつつも、焦げ茶色の塊を喰らう。


 外で焚き火をしても、全くと言っていいほどに、魔物達は近寄らない。

 そもそも、この周辺には、もはや魔物など存在しない。


 山のように積み上がった死肉共を椅子にして、不味い肉を食す。

 こんなにも不味いと、食材への感謝、なんて言ってられないね。

 コンビニの中に調味料が残ってなかったら……そう考えるだけで、身の毛がよだつ。


 動けないゴブリンくんにも、食事を与えてあげた。


 彼の涙は、とうに枯れていた。

 そんなゴブリンを横に、いい加減眠たくなったので、ボクは寝る。


 レベルアップなんて、もう忘れていた。



◇◆◇



「───」


 意識が、ぼんやりとしている。

 息が、出来ない。

 力が、抜けていく。


 今にも眠りに落ちてしまいそうな瞼を無理やりこじ開けると、そこにはゴブリンくんが。

 首元には、ナニカに掴まれているような感触。


 首から魔力を出し、ゴブリンの身体を吹き飛ばして、起き上がる。

 何も手のひらからしか出せない訳ではないのだよ。


 塞き止められていた気道が、血流が、正常に戻っていくのを感じる。


 吹き飛ばされ、瓦礫へと打ち付けられたゴブリンくんは、憎悪の目をボクに向けて、爪をコンクリートに突き立てて、もどかしいその気持ちを表すように、指の間から血を流している。


 ふふっ。赤い色の、人間と同じような、そんな血だ。


「いやァ、ありがとう! ゴブリンくん。ボクの目を覚まそうとしてくれたのかな? いい朝だね!」


 死肉の山のてっぺんから、見下ろすように。

 手のひらを額につけて、清々しい顔で。


「今日は、いい天気だねェ!」


 重厚な雲。

 太陽の遮られた曇天を背景に、ニヤニヤと笑いながらゴブリンくんへと喋りかける。


 魔物は、感情を持っていた。

 現実になった非現実は、非現実だった時よりも、楽しさを増していた。


 また、一日が始まる。



────────────────────

ep20:情熱的な目覚まし。


ダンジョンから生まれた魔物って、同じパターンでしか行動しない、みたいことありますよね。


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