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教えて!ガイル先生!①

めっちゃかなり相当お久しぶりです。こんなに空いたのにお気に入り消さないでくれた方ありがとうございます!

地獄の訓練、その翌日。

三日目である。


「……」

「……」


場所は昨日いた病院。病室も一緒。ただ違うのが俺とアリスだけでなく、ギルとセイル、カナデさん達も集まっているということと、ギル一人が俺とアリスに詰め寄られているという状況だ。


「あ、アリス、と、主。ちょっと待とう。待とうな?な?」

「さぁギル今日も訓練に行こうじゃないか」

「ギル。早く行きましょう。リベンジです。実力なんて無理矢理あげればいいのです」

「いや待とう。ちょっとだけでいいから待とう。俺だって国にいりゃやることあんだよ?昨日はたまたま付き合っただけで」

「隊長。私が会議には出ておくので、アリスさん達と訓練してきていいですよ?」

「おいこらセイル!余計な事を」


ガシッとアリスと俺とでギルの肩を掴む。


「よーしさっさと行こうかー。俺もアリスもリベンジタイムだー」

「いや、アリスじゃともかく主じゃ無理だろ」

「おま、そんなに冷静に言うなよ……」

「ギル。行きますよ」

「あ、やめ、アリス、怒るなって、お、おぐぇええ」

「あははー」


とまぁ、ギルはアリスに技をきめられながら、俺はギルの心なーい言葉にしょんぼりしながら、カナデさん達はそれを苦笑いで眺めながら訓練所に向かうのであった。




「さぁガイル先生よぉ!今日もぶっ倒されに来たぜ!!」

「リベンジじゃなかったのか主!」

「そうだリベンジだぁ!!」

「アホだ」


今日は昨日より他の視線が厳しいことになっているが、何故かガイルは頭を抱えて溜め息をついている。


「どうしたよガイル先生」

「貴様は……いや、もういい。やるぞ」

「ガイル先生、マジ何その微妙な間は!すっげ気になるから言ってくれよ!」

「うるさい!さっさと構えろ!」

「いや、入り口じゃやらねぇよ!?」

「主様方も始めるようなので、私達も始めましょうか?」

「はーい。今日もがんばろーうねー」


カナデさんの間延びした声ってなんか和むってか落ち着くんだがなぁ。


「じゃーセー君いくよー」

「はい」


二人ニコニコしながら構えるのやめてほしい。なんかめっちゃ怖い。

そしてここは入り口だ。


「……」

「……?」

「……」

「ガイル先生どした」

「む、何でもない!来い!」

「え、いや、ここ入り口ぃいいい」




そして何度目かわからないが、全力作り出した氷の剣を砕かれ、頭を地面に打ち付けられる。


「このような貧弱な魔法で「だぁーるっせぇ!」ぬぉっ」


起き上がりざまに拳を突き上げ、ガイルに怒鳴る俺。


「ガイル先生よぉ、おま何回俺の魔法に文句付けてんの、何回おんなじこと言ってんの、何回ーー「貴様の方がうるさいわド低脳!」うおう!?」

「貴様は魔力の込め方も撃ち方も意思も全て適当だ!むしろ無理矢理やっているに過ぎない!……無理矢理、という点では私と同じかもしれないが、貴様は!強くあろうとしてる風に見えて、全く!やる気がない!自分が無様に見えないように、見栄をはろうとしてばかりだ!」

「な、な、何言ってんだ馬鹿野郎!俺がやる気がねぇだと!?そりゃ俺は弱いしひょろいし弱いし他人任せだけど、やることにゃ真面目にこなすぞ!?しかもさっきから魔法がなんだって、むしろそれが何なんだよ!」

「それが何だと?魔法の使い方もろくに知らずに撃ってたのか貴様!」

「はぁ!?知るわけないだろ!?別に呪文なりなんなり適当に唱えて撃てばいいだけだろ!?」

「そのようなわけがあるか!リエール!こちらへ来い!!」

「え、なんです?」


ガイルが怒鳴りつけながら呼び寄せたのは紺色のローブを着て、黄緑色の天パ。そんで気の弱そうな見た目の青年。この場には似つかわしくない服装……だけどやっぱ強いんだろうな。龍だし。


「リエール。この馬鹿に魔法の正し使用方法とやらを教えてやれ」

「え、でも、ガイル君、ヘル様に彼を鍛えろって言われてるんでしょ?僕手伝っていいのかな?」

「問題ない。早くしろ!」

「そんなこといって、ガイル君。面倒なだけなんじゃ」

「うるさい」

「もう。素直じゃないんだから。じゃあ、えっと。カズマ君で良かったよね」

「ん。あぁそうだよ」

「じゃ、カズマ君。聞くけど、魔法についてどのくらい知ってる?」

「どのくらい?どのくらいつってもなぁ」


固有魔法とかあったり……なんか便利で……。


「便利な何か!」

「予想より酷い答えですね!」

「しゃーねぇだろ。これまでそんな力にご縁がなかったんだからよ」

「はい。なら魔法がどこから出て来て発展して行ったか……はガイル君が睨むから飛ばすとして。魔法の使い方を教えましょう」

「最初からそうしろと言ってるだろうリエール」

「はいはい」


こほんと咳払いをするとリエールは目の前で両手を胸の前で拍手の前段階?ボールを持つようにして、目を瞑る。


「では、これからここにマナを集めます」

「はいリエールせんせー。質問です」

「どうぞ」

「そもそもマナの定義がよくわかりません」

「おっと。そこかですか」


ガイルがこめかみに手を当て、ため息を吐きつつ、呆れたような視線を俺に向けている。

うん。気にしない。


「では、マナについてですね。マナとはそれ即ち、魔法の源。魔法を使う為には必要不可欠な物で、生き物や道具ですらマナを持っています。勿論空気中にもマナは漂っていますし、条件さえ満たせばいくらでも魔法は使えるんです」

「ん?でも俺魔法申し分程度にしか使えないぞ?」

「それも今説明しま……しょうかと思ったんですけど後にしましょうか」

「リエール!何を言っている。さっさと続きを」

「いや、ほら」

「「?」」


リエールが俺とガイルの後ろを指差す。

二人して後ろを振り向くと。


「おうお前ら。今俺がここにいるのは見てない知らない聞いてない。いいな?」

「「「はい!!」」」


訓練中の奴も、そうでない奴らも、口を揃えて敬礼する。

明らかに寝間着なヘルロードに向かって。


「よぉカズマ。ちゃんとやってっか?」

「あ、はい。やってます」

「そうか。ガイル。お前もちゃんとやってんだろうな?訓練前より弱くなってたらシバき倒すぞ?」

「はっ!!」

「さて。視察も程々に、帰るかねー。っとカズマ。今ちょっと入り口に行ってみ?」

「は、はい?いいっすけど」


ヘルロードに言われて入り口の方まで行くが何もない。

と、思ったら外で誰かがブツブツと呟いている。誰か、じゃねぇか。


「私が今更出てもまた空気が悪くなるだけだし例え試練だとしてもやはりあれは半分くらい私の本音を話しただけだから仕方ないとしてでも話進まないからとりあえず謝るなんて、というかとりあえずって何ですかってーー」

「シュカ?何やってんだ?」

「え?」


シュカがこちらを向きながら停止する。表情もやや驚いたままだ。


「……ん?」

「あれ?」


俺が首を傾げると、シュカも一緒に首を傾げる。


「な、なんで主がこっち来るんですか!!」

「え、あっち行けってヘルがよ」

「んーもう!」

「ちょ、ちょっと待てよ」


何がどうしてこうなってるのかわからないが、とりあえずシュカを呼び止める。

……でも何言えばいいんだ!?


「おいカズマ。仮にも俺は王様なんだぞ?なんで呼び捨てなんだ貴様は。シバくぞ」

「ひぃっ!?そ、それはやめてくれ、違うやめてください」

「まぁ、いい。そこの力馬鹿もといガイル。と、リエール……だったか?教えを受け、自分でも説明できるようにしとけ。仮にも龍なんだぞワシらは。脳筋はいらぬぞ」

「脳筋……ッ」

「なんだ?脳筋は嫌か?」

「い、いえ、脳筋で、問題ありませ「問題大有りだ馬鹿者!」」


なんか俺をボコボコにしてたやつが正座して怒られてる風景って……笑えるな。


「申し訳ございません」

「申し訳ございません。じゃないわ!ガイル!お主なんとも思っとらんじゃろ!」

「そ、そのようなことはありません!」

「いーや。どうせこんなこと覚えてなくても勝てるからいらねぇくらいに考えてるだろう!」

「ほ、本当にそのようなことはありません!!」


ガイルが怒られてるのに何故かすっげーぐさぐさ刺さってくるなこれ。


「ならば!先程やっていた魔法の説明……は面倒じゃ!魔法の正しい使い方を説明してカズマに見せてみよ!」

「はい!」

「陛下。それより一つ、いいですか?」

「それよりとはなんじゃセイル。このワシの命より優先することか?」

「ここ入り口ですので……」

「……すまん」




とまぁ一悶着ありーの、一回区切るとして。


「はい!ちょっと色々あったけど仕切り直してーガイル先生の魔法解説コーナー始まり始まり〜」

「のうカズマ。ワシは別にいいんじゃが、他の者は集まらんでも」

「良いんです良いんです。どうせ他の奴らも何も知らずに魔法バンバン撃ってるから。多分」

「そうかの」


訓練所の広場、その中央を俺とガイルが独占し(大迷惑)その周りを取り囲むようにして、カナデさん達一行、訓練してた龍族の方々。そして俺の愉快な仲間達が座っている。

ぶっちゃけ超シュール。


「ささっガイルせんせっ。ご説明お願い致します」

「あ、あぁ」

「……」


俺は期待を込めた目で見つめてみる。周りの皆も興味ありげに見つめる。


「……魔法とは空気中。あるいは自分の中のマナを使用して使う力だ。先ほどリエールがやろうとしたことは、そのマナを集めて魔力弾を作る行為だ。このようにな」


俺との間に手をかざすとその手のひらから半透明な光の球が現れる。


「これだけでも一応攻撃はできる。出来るが、属性を含んだ物には劣るからあまり勧めはしない。ただこれが意識して出来るかどうかで、魔法の威力がかなり変わってくるのだ」

「へー」

「へー。ではない。カズマ。やってみろ」

「えっ……」

「えっ……でもない馬鹿者。貴様はこれすら出来ないのだろう。そんなのでよく魔法が使えていたものだ」

「へぇ〜これ凄いわねぇ〜」

「ぬぉ!」


と、いつの間にか、カナデさんがガイルの横で魔力弾を作り出していた。


「どやったの!?」

「ん〜っとね〜。ぽわーって身体に暖かいのが流れててね?それを手に集中させて、キュウっとするとできたよ〜?」

「なるほど……エルフの者か」

「は〜い。ハーフエルフの魔法剣士、カナデです」


周りを見ると、他のエルフっぽい方々も魔力弾を作り出している。


「エルフはマナの扱いに長けているからな。慣れればこのくらいは軽くできるのだろう。頑張れば、リエール。魔力弾を二十展開。できるな?」

「う、うん。はぁ!」


リエールが手を上げると、リエールの周りに数十の魔力弾が出現する。


「このように複数展開することも可能になるだろう」

「ちなみにワシがこれを全力でやると、小さい村なら一瞬で消し飛ばせるぞい」

「恐ろしいな!!」

「で、主、やってみろよ」

「やってみろっつったってよー」


手の方に力を込めてみる。


「それでは本当に力を込めているだけではないか!マナを集中させるのだぞ!」

「カズマ様、ファイトです!」

「お、おう!頑張るぞ!」


集中……集中……。


「……リエール。カズマにマナを流してやってくれ。俺は下手だからカズマの身体を壊しかねん」

「わかりました」


俺が全力で手に力を込めていると、リエールが俺の両肩を後ろから掴んで来た。


「いきますよ」

「ん、ほぁっ?」


身体中をめっちゃ変なものがスーッと通っていく。風が服と身体の間を抜けていく感じが近いか。


「今、カズマさんに流しているもの。それがマナです。これを手に集めます。その感覚をよく覚えてください」

「あぁ」


身体の中を通る風。マナが手のひらに集まっていくのがなんとなくわかる。


「では、魔力弾を出します」

「おぉ!」


それがまたすっと出てゆくと……。


「できた!できたよアリス!」

「おめでとうございます!」

「では手を離しますよ」

「あ……」


リエールが手を離すと魔力弾も消えてしまった。


「今のはあくまで僕がカズマさんの身体を通して魔力弾を作ったに過ぎませんから、消えてしまっただけですよ。今の感覚を自分で再現できれば」

「おっおおっ」

「できましたね」


手のひらの上でふわふわと魔力弾が浮いている。


「流石俺!」

「ふふっ」

「いや、主。それ子供でも大体できるから、そこまで喜んでもな」

「ギルッ!」

「な、なんだよ」

「余計なこと言うな、悲しくなる」

「おう、すまん」

「さて。大体の者が出来たようだな。次に詠唱の話をするとしようか」

「いえー!パフっパフっ」

「カー君それ口で言っても意味ないんじゃ」

「……そうっすね」


俺はちょこんとその場で座り込む。


「そこの馬鹿は詠唱なんていらないとか、適当にしてれば魔法なんて発動するだろうとか言ってたが、実はあながち間違いではない」

「なぬっ」

「詠唱は魔法を発動させるために必ず必要というわけではない。現に無詠唱や、詠唱短縮といったスキルがあるようにな」

「ほうほう」

「詠唱は使う魔法のイメージを高めたりするための措置、といっていい。なので、詠唱する言語も各自で決めて良いのだが、人族などは皆一つに纏めているようだな」

「そりゃまた何で?」

「それは簡単な話じゃ。魔法という物を後世に伝えるのが簡単になるからじゃ」

「ふーん」

「ふーんとはなんじゃ貴様」

「話が止まっちゃうでしょ。次話して」


シュカがヘルロードを諌めると……ってか馴れ馴れしくね?


「なら続きとするか。詠唱が必要な理由はそれだけではない。それだけならば無詠唱で充分だからな」

「無詠唱と詠唱有りだと威力に差があるってことか?」

「貴様は知ってるのか知らないのかはっきりしろ。あぁそうだ。威力に差が出る。初級の物はそこまでの差は出ないが、中級、上級に上がるにつれて威力に差が出る。結界魔法などは顕著な差がでるな」

「帰ったらシー君に教えてあげようね〜」

「てかシリウスは詠唱してばっかじゃね?」

「そうねぇ。シー君は雰囲気を大切にしたい子だから〜」

「いいか?」

「あ、すまんガイル先生」


コホンと一度咳払いをして、ジト目を向けられたので、静かにする。


「威力に差が出ることをわかっているなら、詠唱と無詠唱の違いを教えてやるとしよう」

「しゃべってるかしゃべってないかの違いじゃなくて?」

「大雑把な……。それもあるが、一番の違いは、精霊から力を借りられるかどうかの違いだ」

「精霊?」

「あぁ」

「精霊は六種。位は四つに分かれている。微精霊に準精霊、精霊ときて大精霊だ」

「あ〜それって〜ウンディーネとかノームって感じの名前は付いてないですかぁ〜?」

「ほう。知ってるのか」

「はいはーい!ガイルせんせっ俺もそれは知ってるぞ!」

「なら、六属性全ての大精霊の名を当ててみろ」

「おう!まず火の精霊はイフリートで、水がウンディーネ!土がノーム。んで、風がシルフ。光は知らない!闇も知らない!」

「安心しろ。光と闇は俺も知らん」

「知らんのかい!」


ガイル先生は胸を張って答えた。いや胸を張ることでもないと思うぞ。


「それと訂正するが大地の大精霊の名はベヒモス。水の大精霊の名はクラーケン。風の大精霊をジンと呼ぶ」

「あれー?そうなのかー」

「イフリートは大精霊で間違いないがな」

「ほー」

「こっちと私達じゃ、知識に違いがあるんですねぇ〜勉強になります〜」

「なっなっ!意外!んでガイル先生!正直説明グダグダ面倒だからさ!魔法の練習さっさとしようぜ!」

「俺も思っていたが、こんな中途半端なとこでそうしてしまうと、俺の苦労が」

「ガイル先生殆どくっちゃべってただけじゃねーか!ささっやろーぜやろーぜ!」

「む、むう」


ガイル先生は気に食わないみたいだが、それを後押しするようにヘルが言う。


「ワシも正直飽きた。魔力弾のやり方自体はなんとなくできたようじゃし、あとはやりながら説明すればいいじゃろ」

「は、はい」

「よっしゃ!そうと決まりゃーー「ぐー」ん??」

「はぅ……」


誰かが空腹の音を鳴らしたと思えば、顔を赤く染めるアリスがいた。


「これは可愛いから抱きつくべきか撫でくり回すべきか、それとも全てを行いつつ、デートにでも行くべきか」

「んーとりあえず皆で飯でも食いに行こうぜ。そしてヘル様は城に戻ってください。あんたがいくら強いっつっても、一国の王が城を離れてちゃたまらねっすよ」

「えーワシも行きたいー。仲間外れは嫌いじゃー」

「あぁ駄々こねんな!数千年と生きてるジジイの癖に!」

「ギル!貴様こそワシになんたる不敬!ワシ自ら成敗してくれるッ!」

「え、やめーー!!」


ヘルがギルに向かって口を開くと、そこから黒い炎が放たれる。

ギルの周りにいた奴らは血相を変えて、逃げ出した。恐らく全力で。

対するギルはーー。


「ぐわぁっ!!」


何をするでもなく、炎に飲み込まれ、訓練所の端まで吹き飛ばされ、それでも勢いはなくならず、色々な物を巻き添えにして、俺の視力ではまず視認出来ないところで止まった。


「馬鹿はいなくなったし、お昼と行こうかの」


そしてヘルは良い仕事をしたと言わんばかりの笑顔で歩き出したのである。




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