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俺馬鹿にされ過ぎじゃね?

50話目なのに

50話目なのに……

ほとんどただの説明回!!

「さて。アーサーもいなくなったわけだし。この俺様が主に説明してしんぜよう」

「んじゃあ話してもらおう。なんで、龍種がわざわざ人型になって暮らしてんだ?」

「あーそれはな。ヘル様が発端っちゃあ発端なんだけどよ」

「アイツが?」

「一国の王をアイツ呼ばわりって……まぁいいか。いやよくねぇけど」

「そんなことはどうでもいいだろ?なんで人化するようになったんだよ」

「それは単に……」


ギルがニヤリと笑う。背高くなったのになんでそんなやんちゃな餓鬼っぽい笑い方すんだよ。


「人族の飯が美味かったり、風呂が気持ちがいいからだ」

「は?」

「これは極端過ぎたか。ようするに人族の暮らしは結構快適ってこった」

「龍族ってやっぱ飛んでたり、魔物食ったりするもんだろうしな」

「主の考えも結構極端だけどちょっと前まではそうだったんだがな」

「じゃあなんでだよ」

「それを説明するからちったぁ待てよ。まぁ主達人族は他種族より何が特化しているわけでもなく、貧弱だ。それでも人族に変化することで良い事があるんだよ」

「例えば?」

「人族はゴブリン程ではないが、非常に高い繁殖力があるだろう?これって実は凄いことなんだぜ?龍種は皆プライドが高いのばっかであまり一緒になることがなかったんだ」

「繁殖力って聞くとなんか残念だな」

「んなのはどうでもいいだろ。エルフなんかずっと絶滅寸前で頑張ってんだぞ?大分前にエルフの若者達と老害共が内部戦争起こすし、人族とか他の亜人と交配して、今や純粋なエルフは極少数なんだぞ?」

「へぇー。じゃあ俺らと一緒にこっちに来たエルフって結構希少?」

「言い方は悪いだろうが、主達は俺達にとって異物以外の何物でもないからな。たとえ希少な純血種だとしても、歓迎はされないだろうな。主達も普通の人族じゃないし」

「お前らからすりゃ、侵略者みたいなもんらしいしな」

「あぁ。つか誰にそんなん言われたんだ?」

「んーあ、グレイドってやつだよ。グレイド……アルデバランっていたじゃん!!」


会議の時グレイドって騎士いたよな!な!


「んだ兄ちゃん俺の名前なんか叫びやがって!」

「あんたグレイドっていう兄弟いねぇか!?」

「あぁん!?いねぇよ!俺にいるのは三つ下の妹だけだ!」

「妹いんのかよ!」


え、てかじゃあただの偶然の一致?


「続けていいか?主」

「おう。すまんすまん」

「あーで、人族にわざわざなる理由な。一番の理由は交配がしやすいからなんだよな」

「はぁ?」

「龍同士だと中々難しくてな」

「やめい。なんか生々しいわ」

「まぁとにかく、繁殖の為ってのが一番なんだよ」

「ふーん。じゃあその辺はそんなもんでいいや。次の質問!」

「なんでもこい!」

「ギル達って偉いの?」

「お、やっぱ聞いてくるよなそれ」

「セイルもなんかそれっぽい事は言ってるんだけどさ、ギル達ワイバーンは龍種じゃなくて竜種なんだよな」

「あぁ。そもそも竜種は魔物の種類として見られてるんだよ」

「なんで?」

「ワイバーンは本来、俺達のように知恵を持たないんだよ。勿論他の魔獣よりは頭は良いがな」

「じゃあなんでギル達は……」

「まぁまぁゆっくり話すから待とうぜ」


メイドの恰好をした少女がトコトコと水を持ってきた。


「ギルさんどうぞー」

「おーありがとうなライカ」

「おしごとだからー」

「そうかそうか。お父さんにいつもの頼むって言ってきてくれ」

「はーい」


来る時と同様、トコトコと厨房の方へ歩いていく。

というかあの子一人で注文聞いてるのか?大変だな。


「んで。俺らが自我を持つに至ったのは龍種と竜種が交配した結果なんだわ」

「できんのかよ!」

「構造自体は似たり寄ったりだかんな」

「へー。つかどうやってその行為をやるに至ったんだよ」

「ん?」

「ワイバーンだってそんな意思を持ってるわけじゃないんだろ?ならなんで龍種と交配できたんだよ」

「あーそういうことか。それはな……」

「……」

「知らん。セイルも多分知らねえだろな。俺達はそもそも、生まれてからずっとここで育ってっからよ」

「そりゃ普通なんじゃ。つか知らないのか」

「普通じゃねぇよ。交配したのは野生のワイバーンなんだぞ?卵だって外にあったはずだ。それがいつの間にか街の龍族に保護されていたんだ」

「じゃあもしかして、ギルは産みの親を知らないのか……?」

「まぁな。でも俺は育ての親がいる。なら産んだ奴が誰でも俺には関係ねぇ。会ってみてぇとは思うけどな」

「ふーん」


ーードスンッ

と、厨房の方から聞こえるものとは思えない音がした。


「お、できたんだな」

「ちょ、待って今の音何?」

「見てりゃわかるぜ」


厨房からアーサーが顔を出した。手には黒く、禍々しいとも言えるオーラを放っている鍋を抱えて。さ


「おう出来たぞ坊主。ドラゴンキラー特製、暗黒鍋だ」

「なんだそのすごく不安になる鍋の名前!!」

「はっはっは!この闇鍋はそんじょそこらの闇鍋とは常軌を逸しているからな。だからこそのこのネーミングだ!」

「ほんとに闇鍋かよ!」

「主ー俺も食わせてくれよー。暗黒鍋って確か四人前だから、問題ないだろー?」

「そんなもん俺一人に出してきたのかよ!!」

「坊主も男だろ!このくらいペロッと食えんだろ?」

「食えねぇよ!」


ーー間。


「いくぞ。ギル」

「おう」

「いざ」

「尋常に……」

「「いただきます!」」


二人箸をとって暗黒鍋の中のものを取り出す。


「……」

「あ、主!それは」

「え、ギルこれ知ってんの?」


俺が箸で挟んでいる物質は、ぐつぐつと煮込まれていたのにも関わらず、再び黒い脚をバタバタと暴れさしている。


「それはーーイーヴィルフロッグだ。炎属性と水属性に異常な程耐性がある。だからぶっちゃけ料理には向かない」

「え、じゃあこいつ生だったり?」

「そじゃね?」

「……」


チラッと黒いカエルを見る。ギョロリと赤黒い目が俺を捉えた。


「〜っ!!」

「とったものは捨てるなよ?残さず食べんのが暗黙のルールだ」

「……暗黒鍋にかけてんなら上手くねえからな?」

「はいはい。んじゃせーの」

「どうにでもなれい!」


一口。


「ん?」

「おい、主。逃がしてんじゃねぇよ」

「あれ?」

「ゲコッ」

「あ……」

「主。ほら。追わねえと」

「え?待って?俺ほんとマジであれくわねえといけねぇの?」

「アーサーが時間たっぷり使って作ってくれたんだぜ?」

「いや、あれ生だろ」

「まぁまぁ。行こうぜ?」

「おいギルよぅ。お前も注文しといてどっか行こうとするとか。俺を舐めてんじゃあねぇだろうな?」

「ちょ、アーサー。頭ギリギリすんなっいてぇ!超いてえから!」


ギルが頭を掴まれ、持ち上げられるというアホみたいなことはともかく。


「ギル。この鍋任して俺どっか行っていいか?」

「だ、駄目だ」

「おう。アーサーのおっさん。金はギルが払うし、任せちゃっていいか?」

「おい主、会話になってなだだだだだっ」

「おーう、わかったぜ坊主。暗黒鍋はしっかり全部こいつに食わせてやる。お前さんはどっか行ってていいぞ」

「あいよ。食ってねえけど、まぁごちそうさん」

「今度はちゃんとしたもん出してやるから、また来いよ?」

「おう!」

「おい主?マジで置いてくつもりか?主?主ぃいいいい!?」


俺はギルの悲鳴とも言える叫びを聞きながら、どらごんきらーを後にした。




「しかしまぁ、広いなぁ」


どらごんきらーを出て十分ほどだろうか。何やら怪しい雰囲気のある路地へ入ってしまった。

ここの中心に黒い城があるおかげで、ある程度迷わずには済んでいるのだが。


「んー……てか、この街、店とかほとんどねぇな」


そう。歩いていて思うんだが、店が、ない。

武器屋やら防具屋もないし、道具屋なんてとこもない。

店があっても飯屋か宿屋(らしき所)だけだ。


「そこの……」

「ん?」

「若者よ」

「俺か?」

「そうじゃ」


声をかけてきたのは、黒いローブで身を包み、顎から長い白髭だけを覗かせている老人だ。


「なんか、用?」

「おぬし、人族かの?」

「あぁ。そうだけど?」

「ほうほう」

「?」


老人はつかつかとこちらへ歩いてくると懐からどうやって入れていたのかわからないくらい大きな杖をだした。見た目は、よく仙人とかが持ってそうな木の杖その物だ。


「……おい、じいさん?どうーーっぶねぇ!!」

「ぬ……避けられたか」

「じいさんいきなり何すんだよ!俺の華麗なる超素晴らしい運動神経と反射神経がなかったら、顔面今頃凹んでたぜ?!」

「華麗なる、かはどうかは別として、中々良い反応をしよるな。ほれ、これはどうじゃ?」


老人はボソボソと呟き杖に手を添えると、杖が凍り、槍のようになった。

その杖を中段辺りに構えると、一気に俺に向けて投げてきた。


「ぬおうっ!!」


今の俺はなんの装備もない人間。ステータスなんて見ていて疲れちゃうレベルで上がってない。そんな俺がこんなもんまともに受けたら死んじまう!


「ほう、これも避けるか。もっとゆくぞ?」


老人は投げたはずの杖を手に、俺へ走り出す。距離にして五メートル程。多分この人にとっちゃ、何でもない距離なんだろう。つかきっとこれは射程範囲に入ってる!


「そぉい!」


全力で二回、後ろに跳脚し、氷の槍をギリギリで避ける。


「うわっちっと鼻かすったじゃねぇか!いてぇ!」

「まだまだじゃ!」


老人はダンッと石畳を蹴ると、俺の跳脚の数倍の速度で追いついて来る。


「俺だって魔法使えんだよぉ!!」


ほとんど使ったことないが、一応俺自身無詠唱のスキルは持っているのだ。使えないわけが、ない!!


「アイシクルショット!」


が、一身上の都合により、初級魔法しか使いません。つ、使えないんじゃないんだからねっ。


「脆い」

「うそん……」


俺のアイシクルショット、素手で砕かれたぁぁぁ!!

パリンッとかいったよ?!呆気なく砕かれたよ!?


「もう終わりかの?」


老人がもう一度踏み込むと、瞬きの後に、俺の喉元へ氷の槍が突きつけられていた。


「ま、参ったよじいさん。だからマジやめてくれ。俺か弱いんだよ。そんなもんで一突きされたら死んじゃうぜ?」

「本当に一突きされたら死んでしまうこの状況でよくもまぁ笑っていられるものよ」

「イケメンは笑顔が大切なんだよ」


老人へ向かって、槍を突きつけられたままニコリと笑ってみせる。うん。足ガタガタだから全くもってカッコつかないけど。


「……ヘタレじゃし、間抜けな顔も大分残念じゃが、やることなすこと馬鹿過ぎてやる気を削ぐというのは、ある意味凄い武器じゃの」

「文にして一文の間にすっげぇ馬鹿にされてねぇか俺!!」

「事実じゃろ?」

「悪かったな!で?じいさん何者だよ」

「ワシか?ワシはな」


老人は黒ローブを脱ぎ捨て、光り輝きながら、その身体を変えてゆく。

現れたのは紫色の髪を膝当たりまで伸ばしきっている少年。


「皆大好きヘルロード様じゃよ」

「はぁ?!」

「しかしおぬしはアホじゃの。せっかく加護だって与えたというに。今間違いなく忘れとったろ?」

「……忘れてました」

「しかも、元々の運動神経やら反射神経は良いのだろうが、動きは素人、ワシの挙動一つ一つに大きな反応をし過ぎる辺り、無駄が多すぎるぞ」

「面目ない……」

「更に、だ」

「まだあんのかよ……」

「坊主の新しい武器を作っているわけだが、ワシは正直、今の坊主には持たせたくない」

「弱過ぎて……?」

「そうじゃ」

「おぉう……」


大問題発生。俺唯一の強みが本当に無くなりそう!ファントムキラーのおかげで、ある程度攻撃も通せてたのに!


「なので、坊主ら全員、剣ができるまでの二週間、こっちで訓練してやろうぞ」

「へ?訓練?」

「そうじゃ。どんな武器でも扱えるように、戦い方から、日々の生活全てを面倒みてやろう。二週間耐え切ったら、坊主。武器をやろう」

「ま、マジか!!」


つか二週間って。長くね?まぁ、いいけどよ。


「つか、姿変えられるんだな」

「当たり前じゃ。ただ見た目を変えてるだけじゃないから、ちょいと面倒じゃがな。あと坊主」

「ん?」

「ワシは仮にも一国の王。その口調に態度、他の者がいたら不敬罪だとぬしの首を切り落としかねんぞ?」

「お、おおおぉう!ごめんなさい!ヘルロード国王陛下ぁ!」


全力で土下座。


「良い良い。ワシは別に気にせんからの。ほれゆくぞ?」

「はい?」

「時間は少ないからの、早速今から訓練所に行こうではないか」

「は、はぃぃあぁぁぁぁ!!」


肩をガシッと掴まれ、身体が宙に浮いたかと思えば、俺は街の路地を急速に移動していた。


「つか、速い速い速いうわぁぁぁぁぁぁ!」

「くはははははっ!情けないのう!今日からの訓練はこんなもの可愛くなるくらいに厳しいぞ!」

「おおおおれを、殺す気かぁぁぁぁ!!」

「運が悪くればのう!」

「嫌だぁぁぁぁぁぁ!!」


街に俺の叫びが響きわたった。






お読み頂きありがとうございます!

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