エピローグ
新たな代表管理者が選ばれたことは、その日のうちに管理者達に通達された。
納得する者や呆れる者、何度も通達を確認する者、その場に崩れ落ちる者など対応はレイジとの関わり方で千差万別であった。
それから世界の統廃合が行われ、管理者も適性のある者を選定し、管理者の職を失った者達は態度を改め世界の正常化に励んでいる。
世界の数が減り、魂の受け入れ先も減ったため、転生は順番待ちとなった。
転生を待っている間、魂は[タマカン]で事務業務に就き、管理者を助けることで[タマカン]の人手不足は解消され、ブラックな体質は改善されつつある。
--代表管理者と一緒に魂を管理しようセンター(略してダイタマカン) 代表者執務室--
レイジとリリスは目に隈を作りながら働かされていた。
「なあ、思ったんだけど。」
「どうしたのレイジ?」
「いや、そもそもぼっち神が世界創りすぎたのが色々と拗れた原因だよな?」
「ふう、今さらね。 お父様が世界を増やしすぎて手に負えなくなった、そして管理者の適性を考えることなく成熟した魂に世界を押し付けた。 魂達は増長し権力を欲しがるようになり、管理者達は競いだした。」
「んで、落ちこぼれた管理者から邪神が生まれ、自分に歯向かう邪神…つまり構ってくれる存在を育てるためにあの世界を用意したってか。」
「そうね、そしてあたしの魂はあの世界に棄てられた。 もしもレイジがいなかったらあたしは魔王じゃなくて邪神になっていたのかしら。」
リリスは自嘲気味に笑い、コーヒーを飲む。
「つくづく【ご都合主義】って万能じゃないよなぁ。 それともぼっち神が欲しがったモノってそんなに手に入らないもんかな?」
《元引きこもり40才、チェリーの主が言うことではありませんね。》
「チェリーは前世だけですぅ!モテてはいましたぁ!! まあ確かにあん時は俺も人(特に女性)と関わることが怖かった。 だけど、ぼっち神は逆に関わりたかったんだろ? 挨拶でも何でも一言声をかければここまで拗れなかったんじゃないかなって。」
《そうですね、知性のある生命体が現れ始めたのも数千、数億の永い時間がかかってますし、初めての接触は自分のやらかしをテンパって誤魔化すためでしたし。 そこで受け手も盛大に勘違いしちゃって、もはや友達というには程遠い関係性になりましたから。》
やれやれという風に、横に震えるコア
「うん、コミュ障には無理だったか。 んで、そのぼっち神は大丈夫なのか?」
「お父様に何かあったの?」
「今ってアイツ、非力な赤子並みの生命体で、不老不死じゃないか。 どうもマッドな科学者連中に捕まったみたいでさ。」
「えぇっ!? それって大丈夫じゃないわよね。 助けなくていいの?」
「まー、今のところ倫理的に不味い実験っていうよりも、組織体から万能薬を造り出すため研究したり、アンチエイジングに躍起な奥様からの要望に応えるため、化粧品作りに協力してるから大丈夫とは聞いてるけど。」
《はい、問題はございません。 むしろ定期的に構ってくれる者が増えて喜んでいるようです。》
「それが危うくて心配なんだけど。 友達面して寄ってきて利用されるとかさ。」
《主は甘いですね、あれだけやらかした元唯一神のことを心配されるとか。 しかし、元唯一神はそこも含めて喜ぶ…悦んでいますのでほっておいて良いでしょう。 なお、仮に世界に悪影響を及ぼすモノを造り出したときは、私が浄化しますのでご安心ください。》
一瞬にして空気が冷たく研ぎ澄まされる。
「わ、わかったよ。 ぼっち神のことはコアに任せるよ、何か手が必要なら言ってくれ。 (こいつが一番危ないの忘れてたわ)」
「レイジ、手が止まってるわよ。 まだまだ世界の正常化は済んでいないのよ。」
「はいはい、かしこまりましたリリス様。 ところで、もう少しして落ち着いたら温泉にでも行こうぜー♪ ふ、二人きりでさ。」
「ふたっ!? もう!いいから手を動かしなさいって! あー、顔が熱い!!」
《いちゃこらラブコメも【ご都合主義】のスキルの力ですかね。 早く結婚でもなんでもして爆発してください。》
「「そ、そんなんじゃないしっ!?」」
世界はこれからも成長する。
[タマカン]のブラック体質がなくなる頃、レイジやリリスも転生できるようになるだろう。
限りある時間の中で精一杯生きるからこそ輝く命。
そして、命は、魂は次の世代へと連綿と繋がっていく。
それが世界の、世界を管理している世界の正常なのだ。
□□□□□
--とある執務室--
『ふうん、うまくまとまったみたいだね?』
ゆっくりとモニターを見ながら、コアに満足そうに話しかける存在があった。
《はい、想定外でしたが彼らのおかげで唯一神の願いは叶えられました。》
『こっちの思惑通りに動かないから、予測不可能で面白かったよ。』
《それはなによりですね、創造主の創造主様は同じ轍を踏まないようにお願いしますね。》
『おっと、君もだいぶ変わったね。 そうだね、僕には【ご都合主義】がないからね。 ゲームは飽きたら止めればいいし、うまく出来なければリセットしてもいい。 だけど現実はそういうわけにはいかない。 例え現実に飽きたとしてもね。』
存外に、飽きていることを含みながら、キィキィと軋む椅子に座り直し、キーボードを打ち込む姿はどこか孤独に疲れているようだった。
超越する存在は、空間を創り、そこに意思を置き管理することが仕事だった。
-誰が、何のために?-
(僕の職場環境はいつか改善されるのだろうか?)
-その問いに答えるものはいない-
(おい!)
---そのとき、不思議なことが起こった---
Fin.
以上、読み専ぼっちが拗らせた話でした。
ありがとうございました。




