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そのとき不思議なことが起きるから、ぼっち様にはどうやったって勝てないのです。  作者: yatacrow


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9話


--時は少し遡る


--ゴブリン集落 [ギーゲルトさんとこ] 共同墓地 --



レイジがスサンダ村から荷車を引いて2時間を過ぎ、ようやく[ギーガさんとこ]が視界に入り始めた頃、[ギーゲルトさんとこ]では異変が起きていた。



集落の外れ、ゴブリン達の共同墓地があった。


『リーゴー、ぎっがぁ、ぎごぅ~?(リーゴー、なぁ、いいだろぅ?)』『ぎぃっギラブ、ぎいぎぎぃ?(ちょっとギラブ、こんなとこでダメよ?)』『ぎぃっ!(ほらっ!)』『ぎっ(あんっ)』、恋人同士で墓地の定期清掃に来ていたギラブとリーゴーは休憩時間だからと、マッサージをおっぱじめた。


シューンッという音と同時に、周囲の瘴気が集まってゆく。


『ぎっ?(なんだっ?)』『ぎぎっ?(瘴気がっ?)』二人は思わず声を上げるが、凶悪なナニカに気圧されて、そのまま気を失った。


さらに瘴気は集まり、危険なナニカを形どってゆく、そのナニカはやがて立ち上がり、不思議そうに首をかしげた。


「おや、ここはどこでしょうか。 たしか、わたしは下等生物が集めている丸い玉を探させていたはずですが…。」おかしいですねぇと、近くで気を失っている緑色の肌の下等生物に気がつき、ナニカは理解した。


「なるほど、おろかにも下等生物がわたしに逆らったようですね。 おおかたこの2匹はわたしごと別の場所に転送したようです。 少しでも時間を稼いで逃げようとはなめられたものです。 ふむ、まぁいいでしょう、どうやら下等生物はここにもいるようですね。 見せしめに何匹か殺して差し上げれば従うようになるでしょう。」


ナニカは無詠唱で浮遊し、左目につけている半透明な板を触り、生命反応が多い方へ進みだした。



□□□



『ぎっぎっ、ぎぎ…(昨晩、ギーガ達がスサンダ村で宴を楽しんだそうだ、俺たちもたまには行きてぇな。)』


『ぎーぎぃ、ぎぎっぎぎっぎ…(まぁな、でも、あんまり頻繁に宴をやるとスサンダ村の連中に迷惑だろ?)』


『『『『ぎー(違いねぇ♪)』』』』


[ギーゲルトさんとこ]のゴブリン達は、農作業をしながら平和な時を過ごしていた。ナニカがここに来るまでは。


「くさいですねぇ、下等生物の臭いが充満していますよ。 わたしが消してあげましょうか?」


『ぎっ?』『ぎぃ、ぎ?』『ぎ?』『ぎぎ?』突然、現れたナニカにゴブリン達は本能的に構えてしまった。


「おや、どうもこの世界の方たちは命を大切にしない者が多いみたいですねぇ。(さっきまでは普通に会話できていたはずですが、おかしいですね。)」


『ぎぃっ!(何者だっ!)』『ぎぎ!(まさか魔王かっ!)』『ぎぎっぎぎっぎ!(白い肌に凶悪な角と顔、見たこともない鎧。)』『ぎー、ぎっ!(すごい恐怖を感じるっ)』


「ぎーぎー、ぎーぎーとうるさいですよ。」ナニカは指の先から光線を出し、畑を焼いた。


『『『『『『ぎっ!(俺たちの畑をっ!)』』』』』』しかし、恐怖で誰も身体を動かせない。


「あなた達が話せるのは知っていますよ? 下等生物がいつまで遊んでいるつもりですかねぇ。」


『ナニヲ、シテイルッ!!』騒ぎに気づいた首長ギーゲルトが、護衛ゴブリンを従えてナニカを睨み付けた。


「おや、やっと長老が出てきましたか。 そうだ、あなたは丸い玉を持っていますか?」


『ナニヲ、イッテイル?』


「やれやれ、とぼける気ですね。 残念ですが、わたし一人でもあなた達を片付けるのは簡単なんですよ。」白いナニカの殺気が立ち込める、護衛ゴブリンがギーゲルトをかばうように前に出る。「おや、あなたからですか?」


『マテッ、ヒトリデモ? カタヅケル?(ギーガの宴に参加出来なかったけど、後片付けだけさせられたのが不満で、宴を最近やっていない俺たちのところに催促にきたのか?)』


「さぁ、早くわたしを楽しませてください。」さらに、殺気が広がり護衛ゴブリンの足が震えている。


『ワカッタ! ジュンビスル、ジカンヲクレ!(よっぽど楽しみにしてたのだろう、今度から宴をするときは前触れを出したほうが良いのかもしれない。)』


「綺麗な花火がみたいですねぇ。」

ナニカの指がゴブリンの子どもを指す。


『タノムッ! デキルダケ、イソグカラ。(そうか、子どもと花火を見たかったのか。 始まりの花火はたしかに綺麗だからな。)』


「ほっほっほ、わかりました。 わたしは優しいから待ってあげましょう。 覚悟はよろしいですね、1時間待っても丸い玉を出すことが出来なかったら、このわたしがあなたを殺します。」


『(丸い玉…なるほど、始まりの花火のことを言っていたのか!、しかし…)ブッソウダナ! ダガ、ソレダケ、ジカンガアレバ、ヨウイガデキル。 マッテイロ。』


 ぎぎっぎぎっぎ!(おい、お前達、この人はギーガの宴に参加出来なかったのが不満で、こっちに来たようだ。 言葉も通じないし、やり方は間違えてるが、宴が好きな奴に悪い奴はいない。 始まりの花火からだ、準備に集中しろ!) ギーゲルトが周囲に状況が分かるように叫んだ。


ぎー(おっしゃーっ!!)、ぎぎぃ!(宴だぁー!)、ぎーぎー!!(まさかスサンダ村から人が来てくれるとは!!) 元々お祭り騒ぎが大好きなゴブリン達はナニカと人族の違いにも気づかず嬉々として準備を開始した。


「そんなに命が惜しいのなら、はじめからやればいいのですよ。」


『ぎー(素直じゃないな)』『ぎぎぃぎ…(まあ、そう言うな、俺らがコイツにびびって手に持ってた農具を構えてしまったから、拗ねてんだろ?)』

『ぎぎ、ぎっ…(あー、誤解されちゃったか、よっし、ギーガ達に負けない宴、やってやろうぜ。)』『ぎぎーぎーっ!(1人の勇敢な参加者のためになっ!!)』 おー!、初めにナニカと接触したゴブリン達は気合いを入れた。



□□□



『マタセタナ! オレノ、ナハ、ギーゲルト、ダ。 ヨロシクナ!』


「下等生物の名前等、いちいちおぼえませんよ。 ギーゲルトさん、はじめなさいっ!!!!」


『オウ、オマエタチっ!! ウタゲダァーッ!!!!(覚えないって、俺の名前言ってくれてるじゃないか、面白い奴だ。)』



ドォーンッ!! 空高く黒い煙を上げながら、打ち上がる丸い玉。


シュパンッと雲を突き抜けて花開く。


『キョウハ、クモリダッタナ、ダガ、ミエナイコトハナイ。 サァ、キャクジンヨ、オドリアカソウ。』


「おーっほっほっほ、さぁ、余興は良いから早く出しなさい。 お前達の誰かが、丸い玉を持っているはずです。」


時間稼ぎとはいえ、歓迎ムードに悪い気はしないナニカ、だが、いつまで待っても踊り回るゴブリン達は何も持ってこない。ナニカの怒りは頂点に達した。


「下等生物が、またわたしをコケにするとは。 ……………、絶対に赦さんぞ、虫けらがぁっ!!、じわじわとなぶってなぶって殺してやるっ!!!」


『ぎっ?』『ぎいぎい?』『ぎぎぎぃっ?』…突然、殺気を撒き散らしながら起こり出したナニカに対し、何が不満なのか分からないゴブリン達は戸惑っている。


『ナニヲ、オコッテイルノカ、ワカラナイ。 アバレルノヲ、ヤメテクレ。』

まぁまぁ、と嗜めるギーゲルトだが、ナニカの指から発した光線がギーゲルトの右足を貫いた。『ぎゃっ!!』片膝をつき、ナニカを睨むギーゲルト。


「大丈夫かっ!」レイジはギーゲルトの右足に手をかざし、『ウォーターヒール』を唱えた、みるみる穴が塞がっていく。


『スマナイ、コイツガ、トツゼン、アバレダシタ。 トメヨウトシタラ、ツメ、カ、ユビサキガノビタか、ササレタヨウダ。』


『ギーゲルト、大丈夫かっ? 俺はギーガの孫娘リーガ。コイツはレイジ、冒険者だ。 お前達の【同族同調】スキルが途絶えたから心配で見に来た。』


『リーガ、カ。 ぎぎぃぎ…(久しぶりだな、ずいぶんと大きくなったな。 スキルが切れたのは、皆が宴の準備に集中したからかもしれない。 何てったって1時間で準備したからな!)』ギーゲルトは誇らしげに胸をはった。


『ぎいっ!?(1時間だと?、どうやればそんなことがっ!)』


『ぎっぎっぎ…(実はな…)』


「いや、目の前の敵の処理いぃぃっ!!」レイジは目の前のナニカを見て戦慄が走った。コイツはヤバい、まさか()()()がいたなんてっ!!


《主は知っているのですか?(きょとん)》(いや、お前は絶対知ってるだろっ!? 前世で大人気だった悪役キャラだよ、そうか!、作者は夢の中でコイツを見たのかもしれないっ!!)


《どうやら他の世界の管理者が、手に負えなくなったのか、この世界に棄てたのかもしれません。》(ルーサレス起こしてこいやっ! 穴を塞げやっ!!)


「おやおや、また下等生物が飛び込んできたと思えば、あのムカつくサル野郎に似ていますね。」


「おめぇも丸い玉、狙ってるんかぁ~!?」いかん、つい寄せてしまった!


「あなた達が集めた丸い玉は、わたしが使ってあげましょう。 もちろんあなた達が消えたあとでねっ!」レイジに向けて光線が飛ぶ、レイジはリーガとギーゲルトを掴んで後ろへ下がった。


「おやおや、ずいぶんと素早いおさるさんですねぇ。 まだまだ行きますよっ!!」ナニカは弱者をいたぶるように、ぎりぎりかわせる速度で光線を打ち出した。


(何か手はないのかっ、このままじゃ、俺がかわした光線で誰かが傷ついちまう。)


《このままでは不味いです。 今の主では勝てません。》


(くっそ!、確かに圧倒的な力の差を感じる。)


《どれくらい不味いかというと、このナニカが名前を名乗るだけで、この世界だけでなく、全世界が滅ぶほどの影響が出ます、色んな意味で。》(っでしょうねっ!!)


『ぎゃっ?(なんだこれ?)』『ぎぃ!(頭が割れるっ!)』農具を武器に様子を見ていたゴブリン達が苦しみだした。


苦しむゴブリン達、頭の尖っていた角は、柔らかい触角になり、髪が抜け落ち頭がつるつるに…。


(おい、これってもうダメなやつ…。 何が起きているっ?!)


《もう、[ ワールド・パラドクス ]が始まったのかもしれません。 ナニカの出現がこれほどの影響をもたらすとは、どうやら、私もすでに影響されているようですね。 先ほどの主の発言を鑑みますと、主も影響され始めています。》


「マジかよ、もうどうしたらいいんだよっ。 おらワクワクすっぞぉ♪(ちょっ!、何言ってんのぉ、俺えぇっ!!)」


《 -突然現れたナニカによって、変えられてゆく世界。 レイジは変えられてしまうのか。 いったいどうなってしまうのか…-


  おっす!オぃラ、レイジ!


  ルーサレスさーーーん!早く来て!ダンプスペースが危ないよ!


  ほっほっほっほ、わたしの願いは丸い玉で永遠の命を手に入れる事です。


  次回、ぼっち様『救世主は、唯一神!? 謎の男の子降臨!!』

  ルーサレスは何をしてるんだっ!!              》


(ちょっとコアさん、正気に戻ってくれえぇ~!!!)




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