夢
「おぎゃー、おぎゃー」
「元気な男の子ですよ」
ん、俺人間に生まれ変わったのか。
やっと、自由になれたぁー。
そこにふと笹が倒れかかってきた。
「痛て」
目を開けるとそこは動物園の檻の中だった。
なんだ、さっきのは夢か。
最近、体がだるくて眠いもう歳だからか。
ふと、見上げると女子高生らしき女の子が檻の前で泣いている。
「彼氏に振られた、ほんとは彼氏と一緒にこの動物園きてパンダ見たかったのに」
「お嬢ちゃん、パンダは好きかい」
「パ、パンダがしゃべった!?」
「俺も長いこと生きてるけど、今はその彼しか見えてないかもしれないけどいい男はいくらでもいるって、そもそもお嬢ちゃんを振るような男は大した男じゃないよ」
「でも、私には大事な人なの」
「そうかい、とにかく今は友達とカラオケでも行って憂さ晴らしして、たくさんの男友達を作ってみれば見方も変わってくるよ」
「そうかな。じゃあ私のお願い聞いてくれる?」
「いいとも」
「私の彼氏になって下さい」
「!?」
長いこと生きてる俺でも人間に求愛されたのは初めてだった。
「だって、私のこと本気になって考えてくれたし、私パンダのこと大好きだし」
「大好きのベクトルが違うよ」
「で、どうなのなってくれるの?」
「友達からなら・・・・・・」
「やったー」
そうして、彼女は毎日動物園に通うことになったが・・・・・・
「パンダさん、なんで私を置いて行くの」
パンパンは寿命で亡くなった。
「君もこのパンダの声を聞いたのかい?」
そこには三流大学に入学して充実した生活を送る男性がいた。
「パンダさんは私の相談を真剣に聞いてくれたの」
「実は俺もこのパンダに悩みを聞いてもらったんだ、よかったらこの後喫茶店で話さない?」
「ありがとう、でも私はしばらくパンダさんのことでいっぱいだわ」
そう言って、パンダさんを見送った。
「おぎゃー、おぎゃー」
「元気な男の子です」
そして、俺は新たな人生を始めた。




