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作業

 ゆらりゆらりと揺られながら、目的地となる場所の陸側が見える位置に到着し停泊する。



「だいたいここら辺ですかね」

「なら海底図だとここら辺り?」

「そうですね、そこら辺ですね」



 そういっては、何かしらの操作を行ったかと思えば、その場を離れては海図を見比べながら小麦肌の青年は指をさして場所を教えてくれる。

 その指示された場所から推測して、こちらも海底図とすり合わせた場所を示してと、お互いがお互いに確認を行っていく。



「さてと、それじゃさっそく始めますか。潜って確認していけばいいんだっけ?」

「じゃぁ、道具の準備をしますね」

「ん?道具?」



 そう言いながら積み込んでいた箱から、何やら水晶の様なモノが取り付けられてある棒というか杭とでもいうべきみたいな代物と、それと対になっているかのような板に水晶らしき物が付いている物が出てくる。

 ただ、板の方は数枚もあり、それを組み立てるかの様に折りたたんであった三脚を組み立てては、その三脚に取り付けていくといった感じで、そうこうしていたら立派なボードの様なモノができあがる。

 そうして出来上がったそのボードに、今度は白紙を張り付ける恰好で固定していた。



 出来上がった代物をみると、どういえばいいのか、簡易ドラフターとでも表現するべきなのだろうか



「えーっと、何だそれ」

「まぁ、測量用の道具というか、そういうモノです。正式名称は、正直知らないですけどね。まずは、こちらの杭を海底にこんな風に差し込んでください」



 と、船体の板に向かい、その隙間にその水晶が付いた杭の水晶部分を差し込む



「そのあとは、こんな風に水晶の部分に魔力を通してあげて‥‥‥」



 そういって水晶部分を触っていると、その部分が淡く緑色に光り始める。



「それを少なくとも三か所以上、こうして設置してと‥‥‥」



 そういいながら、次々と高さを変え場所を変えては設置し、設置した後にすぐさま起動しては緑色の発色を放ちだす。



「設置ができたら、こちらを起動すると‥‥‥」



 先ほどの簡易ドラフターを何やら操作すると、白紙が張り付けられた場所に何やら線の様なモノが緑色っぽい映像の様なモノが映し出されており、それはいびつな四角形ではあるものの何かしらを‥‥‥



 あ、これ等高線だ。

 あと、範囲がさっき杭を刺した場所の範囲しか記されていない。



 どういう原理かがよくわからないが、レーザー表示っぽい感じで白紙上に状況を浮かび上がらせていたりする。

 なんというか、ギルドで登録したときのホログラムみたいな感じといったとこなのだろうか。



「という恰好で、こんな風に地形を表示してくれます。こんな風に表示してくれるので、あとはこれをナゾル様に書いていけばといった感じです」

「なんか、すごく便利だな」

「便利ですけれど、ただ、かならず地面に差し込んでから"魔力を通して"起動しなければいけないのと、距離が離れすぎると機能しないのでなるべく遠くもなく近くもなくで設置していかなければならないぐらいですね」

「ああ、そういう制約があるのね」

「なので、これを回数こなさないと出来上がらないというか」

「ま、とりあえずはやってみようか」

「それじゃぁ、よろしくお願いします」



 早速始めようという形で、まとっていた布を外し軽装装甲ウェットスーツアーマー状態にし、腰ベルト部分には例の剣と、先ほどの杭を数本差し込み



「じゃ、行ってくる」

「お気をつけて」



と、海中へと潜航していった。



   *   *   *


 海中に没した。といっても、ここは陸地に近い場所。

 すぐさま海底に到着する深さしかない。

 まぁ、まずは初めだしと先ほどの杭を海底に差し込んでは、起動‥‥‥



 (?)


 水晶部分を押してみても、触ってみても反応がない。

 もう一度触れてみたりするも、やはり何も反応がおきない。


 不良品をつかまされた?という事はないはずである。

 なにせ、先ほど見せてもらうため起動していた杭をそのまま持ち出してきているのだから。

 デモンストレーションだったから、そう触ったら動く物だったはずと注意事項を思い出し"かならず地面に差し込んでから"魔力を通して"起動しなければいけない"‥‥‥


 まさか、まさかだが‥‥‥これも魔力とかいう奴が必要な代物‥‥‥なのか?


 こんなチャチそうな代物にもそういうのが必要なのかと、他に持ち出してきた杭を再び海底に刺しこんでは水晶部分を触ってみるも、押してみるも、撫でてみるも反応が一切おきない。

 しかし、これも先ほど使っていた代物である。こんな短期間で壊れる事はまずないだろうし‥‥‥可能性があるとすれば、やはり魔力的な要素の部分なんだろうな。



 うーむ、どうしようか



 仕事として与えられた事が出来ないっていうのは何というか、ロボとか機械とかは生物(ナマモノ)が困難ともいえる作業や仕事を平然とこなせれる役所を押さえれるポジションに立てるというお約束ともいうべきアイデンティティをもっているのに、その醍醐味ともいうべき代物をかなぐり捨てるかのようにまったく使えないというのは何とも不甲斐ないというか、特にわざわざ特化仕様のキャラだというのに悔しく思ってしまう。


 せめて他になにか手段がないかと海中でバランスよくとどまりながら胡坐をかき、腕を組んでは考えてはみたが、考えるのが馬鹿だったと今更ながらに気付いた。


 何せ、先ほどから視界の隅に周囲MAPの縮小版が表示されていつづけているのである。

 つまり、このMAP表示を利用して、紙に落とし込んだら良いんじゃね?と。



 ならば、このMAPをもう少し精度の高いものにするべく、アクティブソナーを発信する。



 1発目


 "コーン"という音と共に、周囲の状況が大まかに把握できはじめる。

 ただし、ノイズの様な代物も混じっていたりするので、魚群なのか海藻類なのかがハッキリしない物が混ざってきている。まぁ、ここらは1発目では仕方がない。



 2発目



 再び"コーン"という音が響く。

 今度は先ほどの1発目の情報から、動いていない場所を確定し海底となる代物が確定される。

 そして、先ほどのノイズであった物も、先ほどの位置から移動しているため、固定しない代物と判断できるので、これらも除外していく。

 ただ、岩肌らしき起伏している場所があるのだが、その陰になる背面部分がぼんやりとしてハッキリと読み取ってはくれていなかったりするが、まぁこれは場所的なものなのであとから処理とする。



 3発目



 再度"コーン"という音が響き‥‥

 先ほどの2発目の状況がの確認ができ、ほぼ海底が確定されていく。

 ただし、やっぱり岩陰になっているような場所がハッキリとせず、ぼんやりという状況は変わらないというのが分ったので、ここは位置を移動して行うしかないか。



 とりあえず出来上がった周囲MAPデータとしては、かなりの良いものが出来上がったと自負ができる。




 よし、この調子でしばらく周囲を当たってみるか。





   *   *   *


「あ、アーネストさん!!無事だったんですか!!!心配しましたよ!!!!」

「え?」



 ある程度の周囲データが取れたので、一度船上にあがってまとめておくかと浮上して船上へと手をついた途端、小麦肌の青年から不安とも喜びともいえない大声で叫ばれた



「特に、問題はなかったが?」

「問題というか、1刻以上も潜ってて上がってこないから、何かあったのかと思ったんですよ!?」



 と、指で記された先の砂時計?の様なモノを見せられ、なおかつ感情的な声を出してはこちらに対して詰め寄ってきていた。



「あ、あぁ潜水に関しては大丈夫だから、心配させて悪かった」

「本当ですよ!そういう事は先に説明してください!!」

「す、スマン」



 あまりの剣幕で、こちらは反論する事も躊躇させられる。



「それで、杭の方は設置してこられたんですか?」

「それなんだが‥‥‥」



 そういって、潜航する前に持ち出していた全ての杭を見せ



「えっ?どうされたんです?」

「いや、なんというか、自分じゃ使えないみたいで」

「へ?そんなはずは」



 そういって、杭を手に取って水晶部分に触れては緑色を発しており、



「大丈夫なんですけど?」

「いや、その・・・まぁ、こんな感じでな」



 こちらも、先ほど小麦肌の青年が触っていたその杭を手にもち、同じように水晶部分に触れていくが、どれもこれも何一つ反応を一切しない杭がそこにあった。



「えっ?本当に動かない?」

「という訳で、代わりにだ」



 「何をするんですか?」という言葉を聞きながしながら、先ほどの簡易ドラフターの前に立ちはだかり、MAPデータ表示画面に切り替え、その白紙に合わせるように重ね表示されたものを等高線表示モードに切り替える。


 そうやって視界に映し出される線を、付属されていたペンを使ってはなぞるように書き出していく。


 視線をずらすとMAPも一緒にずれるというのが難点ではあったが、ある程度の岩やくぼみなども、その地図上に付け加えて書き出していくと、その背後からは「すごい‥‥‥」という声が聞こえたりしていたが、そんなことを気にすることもなく、一通り書き出していくと、そこには一つの海底図が出来上がっていた。


 一通り書きあがった後、小麦肌の青年に向き直り‥‥‥



「とまぁ、ここら一体の地形を覚えてきたから、これで何とかならないか?」

「す、すごいですよ!というか、何とかなりますよ!ここまで精度の高い物はアレでは作れませんし!」

「そ、そうか、それなら良かった」



 海図と海底図を見比べては「すごい、コレほんとにすごいですよ!」という声をきかされあまりの称賛に少々引いてはしまったが、何とかできて助かったと安堵していたら、"リンゴーン"という鐘の音が響き渡る。


 その鐘の音を聞こえたため時刻を見てみると、時刻は12:00を示しており、これは昼を告げるという"四の鐘"という奴なのだろうと確認したのだが、



「もう昼か‥‥‥あっ」



 それと同時に、これから一気に気が滅入りそうな案件が発生する予感をひしひしと感じ取っていた。



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