表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/93

機能

 意識という認識が働いた時、その視覚情報として入ってきたものといえば、Ernestという文字がいくつか表示されている、いわゆるログイン画面とでもいう風な恰好で、その文字列が浮かんでいた。


 その脇には、前回なかったとは思うデジタル表示の数字が、1秒ごとに加算されているのが理解でき、そのこに表示されている数字列は07:09という形で示されており、その数字はみるからに朝7時を少し過ぎているという事を示していた。



 意識が覚醒したばかりの状況なのか、少し頭の中が静かに整理されている感じだったのだが、その感じのおかげか記憶の中から"何か"ひっかかる要因が思い出されていった。


 スリープモードに移行する前、リペアを頼んだシーからは、作業に5時間以内かかるという事を言っていた。

 が、自分が知るVRMMOのゲーム内で、素体に損失部があるレベルの大幅なリペア作業には、専用の機材部屋でなくとも"数分程度で"修繕されていたはずである。

 それなのに、数時間という単位で行うという事に今更ながらに違和感を強く感じてしまっていた。



 ・・・嫌な予感がする。


 いや、嫌な予感しかしない。



 すぐさま、先日と同じ部分のErnestという文字部を意識し、2ndキャラといえる自身の身体を起動させ、すかさず寝具から起き上がり(起き上がった際に身体の上で双丘に顔を(うず)めていた何かが寝具の下へと転がり落ちていったのだが、それはとりあえず無視しておくとし)破損のあった場所へと視線を向けて確認をしようと視線を向けてみたのだが・・・



 何も‥‥されていない?



 新たに増えた関節を無理やり戻した左腕に関しても、装甲が外された状態というだけで、普通に腕として存在しており、他には何らおかしなところもなく元に戻っていた。


 試しに、その両手をグーパーと繰り返し動かしてみるも問題なく動き、内臓兵装を起動としてみたところ、左腕の内側からはアンカーワイヤーの射出可能状態がしっかりと動作し、画面表示にもEnableと表示されていた。


 パッと見た目では、たしかに元に戻ってはいる。


 そう、確かに見た目では戻っている様だったのだが、先ほど、内臓兵装を起動しようとメニューを意識した際、"昨日までには見かけなかった新たな項目が増えている"事に気づいた。



 やはり、何かしら手を加えた事は確定なのだろうが、どこだ?どこに何をした?と、再度確認する為に左腕から始まり、胴体に穴が開いていた部分まで調べ、触り心地とか言っていたのを思い出し、臀部か?それとも胸部か?と、身体をひねって触ってみたりしてはみたが、コレといった変わった点も無く、さりとて画面内のメニュ-には増えている選択項目が存在しているという現実だけは確実に起きているという状態であった。



 まさか、外観には見えない"何かしらのモノ"があるという話なのだろうか?と、試しに起動という意識を飛ばし、その表示ステータスがEnable(有効)状態に変わったのを確認できたものの、コレといった反応が何も起きない。



 ‥‥本当に何をしたんだ?



 そんな、何かをされたはずの身体のいたる所を、Enable(有効)状態のままで再度チェックしていた時、足元の方向から自身へと飛びかからんとする存在があらわれ



「おはようございますぅ!アーネスト…お姐様ァァァァ!   ヘブァ!」



 さきほど、ベッドの下へと転がり落ちていった物体Sがどうやら起動したみたいなのだが、こちらが2ndキャラと分かった途端に抱き着こうと飛び込んできたまでは理解するのだが、こちらの身体に接触するほんの少し手前で、まるで見えない壁にぶち当たっているかの様に、顔の一部分が平らになってそのままずり落ちていく変態Sがそこにいた。



「お姐様ぁ!コレDisable(無効)にして!でないと抱き着けない!!」

「抱き着かなくていいから・・・で、何をした?」



 何気に空いていた右腕でシーの頭をガッシリホールドしては、一定の距離以内に近づけない様にしつつ、さらには前後へとゆさぶりながら何をしたのかを問いただしてみる。


 そのポンコツSいえば、しっかりと隙あらばこちらを捉えようと両手を構える形の恰好であるが、その行動が、やはり見えない壁みたいなものでさえぎられてはいるものの、それはもう興奮気味に



磁気単極子抑制(モノポールサプレス)型の小型縮退(リトルデジェネート)を使って指向性重力子制御ベクターグラビティコントロールを使用できる様にしただけですよぉ、これでお姐様の柔肌を傷つける衝撃なんて、慣性制御イナーシャルコントロールで遮っちゃいます!バリアでしっかりガードしちゃいますよ!」



 フンスッとでもいう擬音すらも目で見えそうなぐらい、興奮している態度で説明を受けたのだが、何かとんでもなく危険極まりない単語が羅列している気もするし、正直、言葉の意味がどういうものなのかが全くわからない。


 が、とりあえず最後の慣性制御という内容で、物理慣性のバリア的な何かが搭載されたのか?というのはなんとなく解った。


 現にホールドしていた右腕の拘束を放してみせると、抱き着こうと飛び込んでくる対象を"拒否する"的な認識をしてみると、再び見えない壁に衝突してはずり落ちていく残念すぎる存在Sというシロモノが目の前にいる訳で。



「確かに、お前(シー)を遮ってるな」

「なのでぇOFFにしてください!Disable(無効)にぃぃぃ」



 「わかったわかった」と、先ほど起動させた項目をDisable(無効)にするや否や、目を光らせては突撃してこようとする馬鹿Sがいたので、すかさずEnable(有効)へと切替ると「ヘブッ」という声と共に、再び見えない壁に張り付いては、そのまま下へと崩れ落ちていく存在Sがそこにいた。



 と思えば、急にその場に座り直しては



「しまった。これは大欠陥品だったみたいです。取り外しましょうお姐様。あ、でもそうなったら私のお姐様の大事な大事なお肌に傷がついてしまいます。それは駄目です。私が断固拒否です。しかし、それでは私がお姐様成分を補充する事が…そもそも、新しく支給された防御ユニットが未接続のままなのがオカシイんですよ。恒星間航行用のシールドがようやく小型化されたために先立ってお姐様の様な機械生命体に組み込まれたはずなのに、お姐様が使用されている形跡が無かったから、まさかと思えば搭載だけされて使用するための接続が一切成されていないとか…これだから役所仕事は駄目なんですよ、まったく、私のお姐様に何かあったらどうしてくれるんでしょうかね?お姐様!」



 独り言の様な物言いから、最後は座りながらも何気に此方の足元へと擦り寄ろうとしては見えない壁に遮られている人型Sがいたりした。


 というか"誰がお前の何だって?"と問い詰めたい衝動にかられそうにはなったが、そこはとりあえず置いておくとし、先ほどの愚痴の中の言葉のシールド的な要素に関しては、記憶に引っかかる内容でもあった。


 確か、VRMMOのバージョンアップ前情報に、放置されていた機械生命体に対して新機能として追加される物があった事は知っていた。たしか"物理シールド"とかいう呼称になっていたと思う。



「物理シールドがどうとか、そんなのがあった様な・・・」

「そう、それですよ!使用するとエネルギー消費が起きますが、

 ある程度の慣性エネルギーの物体はきっちりしゃっきりぴしゃりと、

 それはもう完璧に逸らしたり防いだりしくれますから、これで大丈夫のはずです!

 しっかりちゃっかりと使ってください!お姐様!」



 万能でもなく、ある程度というのがある意味あのメーカーの調整らしい対応ともいえるが、今、ちょっと不安材料が出てきてるぞ?使用するとエネルギー消費が起きると・・・



「エネルギーが、消費されるのか?」

「はい、消費されるみたいですね」



 エネルギー量を意識して確認すると、そこには昨日摂取して増やしたはずの残量が、ふたたび半分へと近づこうとしていた。



「効率が‥‥悪い?」

「そうみたいですね。もともとは巡洋艦用のを転用したみたいですし」

「・・・」



 これ、まさかの食事量を増やさなければという案件が増え‥た‥‥?

 使い時を間違ったら、最悪な結果を生み出しかねない気がしてならないのだが、まぁ、背に腹は代えられないとでもいう事なのか、代償とでもいう代物なのか・・・



 まぁ、そういう仕様なら仕方がないし、平時はDisable(無効)として状況に合わせて切り替えるしかなさそうか・・・と、Disable(無効)にした途端、そんなこちらの気を関せず、寝具の上に座り込んでいるこちら抱き着き始めるポンコツS(シー)



「朝のお姐様成分補充ですぅ・・・」



 ・・・コイツ・・・本当に有能なのだが、この性格だけなんとかならんのか。

 ん?そういえば、5時間かかるというのは、この機能拡張のための時間があっての事なのか?



「やっぱり、この修復と機能追加で時間かかったんだろうな」

「え?ん~・・・やっぱり一時間もかかっていませんよ?」

「・・・ん?なら、残り時間は?」


「お姐様のベッドに潜って、お姐様成分を十二分に堪能させ(ゴキュガッ)ヘヴンァ!?」




 黄色の警告表示がなされている右手・・・今度はどれぐらいで直るかなぁ・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ