なんとかしてみた結果
誤字や脱字など修正
海面から頭を出して確認できた内容と、当初行っていたアクティブソナーで解析できた海中の状況から、被害最小になるだろうと思えたのは、船着き場とも材料置き場ともいえるそんな風に見受けられる場所に、一本釣りの要領で軟着陸する方法が一番マシだろうと判断して、その方向へと微調整という名の誘導を開始する。
その際に、そっちじゃないこっちだ、とばかりに左腕のワイヤーを巻き上げながら、さらに両足を無理くりと動かして推力方向を変えての方向制御を行いながら移動させているのだが、これがなかなかに厄介だったりする。
特に足場という踏ん張りを利かすべき地面がないために悪戦苦闘を強いられている状況が、気がづけば活動エネルギーの量が昨日増やした分のうち、丸々半分以上が消費されてる状態にまで減ってきており、何気に消費が激しいことで少々焦りを感じ始めていた。
このまま消費し続けて、あの石を見つけ出せずに採用がおじゃんになったら、賃金を獲得できなくなってしまい、エネルギー補給をする手立てを再び一から探し出さなくてはならなくなる。
夕刻という事は日没だとは思うが"それまでに見つけろ"という条件から、現時刻を確認すれば順調に対応できれば、まだ間に合うべき時間ではあるだろうとは思うが、見つけた際にマーカーを付ける余裕がなかったので、あの周辺を再度探索しなければならない時間がかかる事が予想出来てしまう。
そんな悪い方向で嫌な想定していた折、MAP上での目標地点としていた目安の場所へと近づいていた事に確認が取れた。
(さてと、それじゃぁ本腰いれますかね)
そんな思いを胸に、陸地へと進行する為に推進器を一杯までぶん回す。
推進器としての出力が、振動として脚部に伝わり、そして本体がうける液体の抵抗が一層高まるのを感じたが、"これで突き刺さった部分が引き抜ければ"と思ったりはしたが、なかなかにしっかりと引っかかっていて、簡単に抜けてくれそうにもない。
まぁ、そのおかげもあってか相手を引っ張る形にはなるのだが、エネルギー消費が半端ないくらいに下がり始めていたりする。
想定はしていたが、コイツを陸揚げする前に無くなってしまうのは勘弁願いたい。
相手は魚類、なんとかゲージが無くなる前に陸揚げしてしまえば、あとは何とでもなるはずと、さらに加速をつけるべく、一杯以上に出力を上げてはその勢いを殺すこともさせず、もうじき陸地とMAPで確認できるすんでの場所で、一度深く潜り込んでは今度は陸上に向かって「飛び上がれぇぇぇ!!」と、心の叫びと共に、水力全開で無理やり水上から空中へと飛び出・・・
(って、高度たりねぇ!つ-か、こいつ何気に・・・何気に重いっ!!)
アンカーワイヤーすらも強制高速巻き上げを行い、少しでも慣性を利用しようととにかく地表に上がれと願いつつ勢いを確保しながら、陸地へと目指し、その願いが届いたのか着地・・・というよりも、たぶんバウンドするかの様な衝撃を数度感じたあと、そのまま地上へと転がるというか滑り落ちたみたいな感覚を感じた。
なにせ、身体の一部分が何かに擦られるかのように移動していたかと思えば、今度はその慣性エネルギーを0にする一番強い衝撃を感じて終了というぐらいである。
実際にどうなったかはわからないが、身体がうけた衝撃からたぶんそんな感じだろうと。
そうして画面上に表示されている物はと言えば、身体のいたるところから警告マークといえる"Caution"という文字が浮かび上がっているし、まともに視覚に入ってきた内容といえば、倉庫らしき入口に引っかかっている、先ほどまで一緒に空中ランデブーした相手が、悶えるようにビッタンバッタンと暴れているというところまでは確認できた。
なんとか地上へと帰還を果たせたか・・・と思いながら立ち上がっては、悶えている巨大な魚類を確認して見てみると、キモイ顔つきの物体がこちらに気づいたのか、大口開けてはさらにドッカンバッタンという形でのたうちが激しくなっていたたりする。
というか、扉にその体をぶち当てていたりして、倉庫らしきモノを破壊しているんじゃないか?とさえ思えてくる暴れっぷりだった。
(それにしても・・・なんか陸に上がると、さらにきめぇ・・・)
あのグロテスクな表情?みたいなのをハッキリじっくりと見れたが、こうのた打ちまわっている魚ともサメともワニともいえる代物が、入り口の扉とかもその動きで何気に破砕していたり、さらに相手の状況をみてみれば、全長が目算でも4,5mぐらいあるのではなかろうかという大きさに少し驚く。
さらに、そんな大きさを主張してくる存在の中でも、一際主張している背びれなんかも光沢も、何か紫色っぽく怪しく光る状態でもあり、とてもとても毒々しい色がさらにキモさを醸し出してきてくれる。
そして、その存在が一番の気持ち悪いというのをかもしだしてるのは、大きく開いた口の中に、もう一つの口があるという。
その口が、バクバクと閉じたり開いたりしてる姿と、さらにその開いた口から何か粘液のようなものが糸を引いてるという・・・
もうね、どこぞのSFホラー的な映画にでてきそうな、その大きな口から小さな口が飛び出してきそうな、そんなキモッ!コワッ!というレベルである。
VRMMOでも、ここまでキモイ敵キャラなんて出てこなかったぞ?
あとは、頭部みたいな部分には、さっきまで刺さっていた角?みたいなのが根元からポッキリ折れている後が・・・あ、自分の体に突き刺さったままになっているのか。
というか何かもう、のたうち回ってるのがとてもウザいと感じてきたので、腹に刺さってた角?みたいなのを右腕で無理やり引き出して抜いてみると、やはりカエリがついている構造をしており、これは引っ張っても簡単にとれない訳だと感心しながらも、そのままいまだにビタンビタンと自己主張してくるキモいカジキマグロモドキの脳天に、その角をお返しとばかりにズブリと思い切り突き刺してやると、ようやくおとなしくなってくれた。
そんなに力を込めたわけでもないのに、結構簡単に深々と突き刺さった事に少々驚きはしたが、それよりもさっきから赤色で"Damaged"表示されている損傷警告表示が左腕を示して…って左腕?と、その場所を見て驚いた。
なにせそこには、新たな関節がもう一つ増えていたのである。
細かく言えば、射出ワイヤー部から根元から引っぱられて中身がそこからボコッっと出てる状況を支点に、くの字?への字?といった感じで。
ここまでひどい惨状なのに、痛みが無いってのはVRMMO的で楽だけど‥‥‥無いなら無いで、ちょっと問題かもしれないか?
なにせ今の状態がHPバー的なグラフすら表示されなくなっているし、そうなってくると、身体のステータス表示を常時表示させては、状況を確認し続けておくべきかもしれない。
というか、この折れてる状態でも指先は動かせれるってのは、種族的な特性なのか、正直アリなんだかナシなんだかよく解らない。
まて、いや、これはあれだ、ロボというのはボロボロになりながらも活動する姿というやつだ、うむ、様になる、これはアリだな、アリ。
そう結論づけながら、無理やり関節が逆関節風に一つ増えている左腕を、右腕とそこらにある台になりそうな物をつかって、テコの原理よろしくで強引に定位置に戻しては、グーパーとしても一応は動作するが、感触的に遊びがありすぎるかな?という感覚レベル。
ついでにアンカー機構の巻き取り部分は一切反応が返ってこない為、さらに右手を使って無理やり内部に押し込めた状態にしてるので、千切れたワイヤーの所も無理に押し込んでは仕舞い終わった頃合いに、倉庫の入口方向になにやら開けっぱなしのMAPに感知するモノが集まりだしていた。
「嬢ちゃん!無事か!!」
「ってぇ、やっぱこれ、ガーランだよな?」
「しかもこれ、大系じゃね?」
「マヂかよ!・・・ってぉあ!?」
「うぉぅ・・・アレもスゲェ・・・」
「うぉ、すげぇ・・・でけぇ・・・」
「綺麗というか・・・エロいというか・・・」
「たまんねぇ・・・」
ガタイの良い生物集団と、天然記念物な頑固親方がぞくぞくと、キモイ存在で殆どふさがっていた倉庫の入り口から登場してきていた。
その各々には大小様々な銛や鉈みたいな物を持ってきてはいたが、最後の数人は、何故かこちらをガン見しながら興奮していたりするようで・・・とりあえずは、無事であることを伝えるべく
「えっ?まぁ無事ですけど?」
「そ、そうか・・・」
そういいながら、親方は視線をこちらに合わせず、キョロキョロと周囲を探った後、おもむろに倉庫の隅から布を持ち出してきては自分へと被せてきた。
「とりあえずだ、それでも羽織って身体隠してろ。でだ、お前ら、回れ右だ!」
「へいへーい」
「眼福眼福~」
「ごっそうさんでしたー」
「あっしたー!」
一斉に回れ右をする生物集団をよそに、身体・・・?と、視線を体へ落としてみると、あぁ‥‥‥なるほど、ウェットスーツアーマーの胸部の出っ張りに引っ張られていた部分が破れて、その間から飛び出ているぐらいだったからか、納得。
いまさらこんな胸部の部分とか、水着コンテストの入賞賞品の一つを手に入れるべく、審査員野郎共の心証を引き上げるため、あざといエロスの中に美を加える事を追及するため、どういう代物が良いかと独自調査(鑑賞ともいう)しては、そのラインを反映するために微調を繰り返しては確認をするという、創り込むだけ創り込んだ傑作とも自負できる創作物なだけで、生物集団にそういう風に見られるという事は、人工物の創作目標の目論見と方向性は間違っていなかった事を再認識させ、その成果として褒められているとでもいうぐらいであり、こちらとしては特には気にはならないのだが、まぁ、職場における倫理的な問題という奴だろうか。
そんな実直な天然記念物親方がこちらを見た後に、すぐさまさっきのキモイ魚類へと向き直り、その相手がどういうものかを検分するかのように眺めまわした後、
「大系のガーランか・・・」
と、結構悩んでいるような、厄介事が入ってきたかのような、そんな表情で頭に手を当てていた。




