第29話 猫耳だ…と?
次の日の朝食堂でシャルに今日の予定を決める為に会議を開くのだった。蓮二は昨日のケイラの鬱憤バラしと金稼ぎに1人でギルドに行くつもりだった。
「んじゃ俺ギルドに行ってくるわ。シャルはそこら辺で適当に買い物でもして来てくれ」
「えぇ!?私もレンジと一緒行きますよ!寂しいじゃないですか!」
そう言って上目遣いをしてくるシャルが普通に可愛いと思った蓮二。無駄にカッコつけて言った。
「すまんがシャル、俺だけで行かせてくれ。お前を危険な目に合わせたく無いんだッ!」
予想外に蓮二は臭い言葉を言った。普段は絶対に言わない言葉を言ったのは昨日のケイラの事が精神をボロボロにしていた。彼もすでに限界なのだ。
この時食堂にいた男衆は内心リア充死ねよと囁いたのは言うまでもない。
「ッ!レンジ私をそんな風に思ってくれてましたのね。わかりましたレンジを信じて待ってます」
蓮二のキザな言葉にメロメロなシャルは1人で行くことを許可する。
「んじゃ行ってくる!」
こうして颯爽と蓮二はギルドに向かうのだった。
「さてと、鬱憤晴らしにちょうど良い依頼なんかねぇかな」
依頼版で依頼を探すとなかなか良い物が無い。仕方なく受付の人に聞こうと歩き出した瞬間横に居たローブを来た蓮二より身長の低い人にぶつかってしまった。
「っと、すみません!大丈夫ですか?」
「ッ!…大丈夫です、わっちこそすまねぇです」
その時ローブがズレ素顔が見えた。そして蓮二の目線は自然に頭の上に注がれることになる。
そこには未来の青タヌキが食べられてしまったかけがえの無い物があった。
「猫耳?」
そう猫耳が蓮二の前に顕現していた。
「?そうです。わっちは獣人の猫族です」
(猫耳だとぉぉぉぉ!?何故今まで気づ気づかなかった俺!この世界は現実世界の空想、いわば想像で成り立っている世界!!当然擬人化も存在することは当たり前だッ!!クッソ!ならこの世界、ゆるふわニャンニャン天国じゃねぇか!!しかも)
そこで一旦蓮二は思考を中断させ彼女を見る。獣耳っ娘は内心はヲタな蓮二だが顔はかなりかっこいい部類に入る蓮二に見つめられ恥ずかしそうにする。
「わっちの顔に何かついてるですか?」
(いややっぱ語尾がよくわからないけどなんか良いな)
あまり黙って凝視するとなにか悪い気がして来るので話題をそらすことにする。
「あっと、獣人が珍しくてさちょっとびっくりしたんだよ」
「へぇ、です。まぁいいです。わっちの名前は、レノン。レノン=ビーストです。さっきはわっちも周りが見えなくてぶつかったです。わっちもごめんです。」
律儀に頭を下げてくる。蓮二の獣人のイメージは元気ハツラツ何かしてないと落ち着かない元気っ子なイメージだったので意外に感じた。
「いやこちらこそ、俺はレンジ=キリシマって言うんだ。レンジって読んでくれ。」
「ところでレンジも依頼受けるですか?」
「そうしようと思ったんだがいいのが無くてな。とりあえず受付でオススメの物でも聞こうかなっておもってさ」
そう蓮二が言うとレノンは少し考える素振りを見せ、意を決したように言った。
「レンジ、一緒にわっちの依頼受けねぇですか?」
手に持っていた依頼書の紙を見せてくるレノン。その内容を見て見ると蓮二が依頼版を見た時には無かった物だった。
「っとどれどれ?『わっちの屋敷の裏庭に住み着いた魔物を退治しておくれ』ってこれ退治する魔物のこと書いてないじゃねぇか」
「姿は確認してないからです」
さらに気になるのはわっちと言う一人称、そしてレノンの今の口ぶりはまるで自分のことの様に話していた。その事を考慮すると有る考えにたどり着く。
「……つまりお前ん家でいいんだな」
無言で力強く頷くレノン。自作自演までして依頼を流すと言うことは面倒な事になりそうな気がしてくる蓮二。依頼を受けようかどうか迷っていると無言の涙目で訴えてくるレノン。
「…あぁた、分かったよ、受けるよその依頼。早く行こうぜ」
ぱぁと顔を明るくして喜ぶレノン。結局可愛いは正義なのだ。異論は認めん。
「で?家って何処よ?すぐそこなのか?」
「歩きです。ここから10キロです」
「遠すぎんだろ!馬車で行くか何時間で着くかな」
「わっちは歩いて5時間」
「なんで行く気満々?おとなしく馬車で行こうな?金出してやるから」
危うく歩きで行かされそうになったが無理やりレノンを馬車に乗り込ませ目的地に向かう。
そしてしばらくすると目的地に着いた。大きな日本式の屋敷のだった。
「どうですか?」
「すごく大きいな」
お約束は忘れなかった。
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