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俺の世界は空想世界  作者: シキタ
28/39

第28話 ヤソブ村

戦闘描写無しです。

「はぁはぁはぁ!」


シャルが部屋に入ると部屋で荒い息をしている蓮二が目に入った。


「!レンジ!そんなになってどうしたんですか!?」


急いで蓮二の元へ駆け寄りシャルは蓮二の背中をさすった。だが蓮二はそんな事気がつかない様に窓を見つめ考えていた。


(ケイラさんは俺の秘密を知っている!?何故?それにあの目!)


そう考えたら瞬間一気に胸が苦しくなりお腹の物が上がってくる吐き気がして来た。たまらず手を口に当て堪えようとするがダメだった。


「っ!!うぇぇ!!くっそ!」


「!!大丈夫ですかレンジ!?病気ですか!?」


急に吐き気を催した蓮二に驚き掛け寄るシャル。だが蓮二はこの時自嘲気味に笑っていた。


(くそ、何処でフラグ立てたっけか?全く偉い奴に好かれたもんだな)


「レンジ?大丈夫ですか?」


そこで初めてシャルが居て心配そうにしているのが目に入った。蓮二は一瞬今の事を話そうかと思ったが心配掛けまいと話さなかった。


「大丈夫だシャル。ちょっと…疲労が溜まったのか?」


冗談気味に笑う蓮二を見たシャルは何かを言おうとしたがやめ、笑顔を見せながら心配そうに言った。


「全く、驚かさないでください!一瞬生理かと思いましたよ」


「俺、男だからな?」


冗談を言って場を和ませてくれたシャルに内心お礼を言うと、ドアの向こうから誰かがシャルの事を呼んでいるのが聞こえた。どうやら子供のようだ。


「おい、シャル誰か廊下でまたしてるんじゃねぇか?」


「あっ!忘れてました!ミロちゃん入って来ていいですよ!」


そうシャルが言うと廊下から10歳ぐらいの赤毛でおさげの女の子が両手に自分の身長の2倍近くの荷物を持って入ってきた。

それを見た瞬間、蓮二は先ほどの事など放り出しシャルに詰め寄る。


「シャルぅぅぇぇ!!いつからお前はこんな小さい子を奴隷の様に働かせる様になったんだッ!!レンジさんは見損なったぞ!!」


シャルのあまりの鬼畜っぷりに急いでミロと言う女の子から荷物を受け取り蓮二はミロを匿う。


「いえ!レンジ!勘違いです!その子が手伝って!」


「あの量の荷物を!?」


両手に抱える程の量を1人のしかも幼い子供に手伝わせたシャルに蓮二はドン引きしていた。そしてそれは近い未来の自分の姿になると悟った。


「シャル…」


「なっなんですか!?」


徐々に目を合わせない様に移動させる。少女の二の舞にならないような措置を取る。


「出発は別々に…な?」


「いやそこまでしなくてもぉぉぉ!!」


シャルは必死に弁解し、しばらくして蓮二もようやくシャルの言い分を聞く事にした。渋々だ。


「んで?そのミロちゃんがどうしてこんなカースト制度の底辺みたいな事されてんの?」


「カースト?おほん、とりあえずこの子はミロちゃんこの宿屋の看板娘です」


蓮二が奴隷制度についての知識を話そうとした。

するとここまでずっと黙っていたミロが口を開き可愛い声で自己紹介を始めた。


「こんにちは、ミロだよ!別にシャルお姉ちゃんを手伝ってあげただけだよ!」


「でもあんだけの量、相当重かったろ?これからはこんな女に騙されちゃダメだぞ?」


「結局、騙したことになってるんですね」


部屋の隅にある受け取った荷物を指差しながら申し訳なさそうにする蓮二。だが明らかに二百キロ近くはある荷物を持たせてごめんで済むか疑問である。


「大丈夫だよ!私の能力にかかれば楽チンよ!」


「そうですよ!ミロちゃんの能力はすごいんですから!!そりゃもう、もんの凄いですから!!」


「へぇ、能力で持ってたのか。どんな能力だ?才名もあんのか?」


シャルがドヤ顔で言って来るのを全力で無視する蓮二。そしてミロの能力が気になった蓮二はどんな能力か聞いて見た。


「えっとね名前はね【元気一杯】(ザ エナジー)っていうだよ」


「随分可愛い才名だな?どんな能力なんだ?」


「えっとね、1日一杯牛乳をのむとね、力がモリモリでるの!!牛さんとかも持ち上げられるんだよ!」


どうやら1日500gカルシウムを摂取すると身体強化される能力らしい。


「ミロだねそれ、そりゃミロなら力出るわ」


(ただ外見がむっちむちのゴリラにならなくてよかった)


元気いっぱいで自分の能力を誇らしげに語るミロとは裏腹に頭の中で現実世界に存在する緑のココア味の飲み物を想像する蓮二だった。


「ね?私が無理やりやらせたわけじゃ無いって事がわかったでしょ?」


「わかったから。んじゃミロちゃん引き止めて悪かったな。もう遊びに行っていいよ」


ミロにお礼を言いミロが外へ出かけたのを見送った。そこでふと空いている窓から村を見てみると能力を使って仕事をしている人々がかなりの数いることが見えた。


「ふーん、能力を上手く使ってるわけだ。便利だな」


「そうです。戦闘向きの能力、そうじゃ無い能力。それぞれが支え合って出来ているんですこの世界は」


そう言って日が暗くなるまで外を見る2人であった。

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