第63話 <脱出2>
ハンスは座り直した。
クロウがハンスの手を縛るロープにアルコールをかける。
手首とロープの間に導火索を押し込む。
雷管を乗っける。
「準備よし」
「準備よしで済ませるな!」
雷管を叩く。
パチン。
雷管が火を噴いた。
バシュッ!!
導火索が燃える。
勢いよく燃える。
予想以上に燃える。
「あっ」
ロープに火が移った。
ジュウゥゥゥ!!
「熱っ!!」
「耐えるのよハンス!」
「お前がやれ!」
「嫌よ!」
「即答か!」
「アチッ アチッ アチチッ!」
ハンスはのたうち回る。
火が消えた。
ロープは半分ほど焦げている。
「どうだ」
ハンスが力を込める。
ギギギギギッ…
切れない。
「ダメだ!」
「もう少しである」
ヨウドが再びもぞもぞと動く。
そして腰から一本の白いナイフを抜いた。
「鳥!」
クロウが振り向く。
「これを使うである」
多用途銃剣。
白いナイフが網の隙間から現れる。
クロウが受け取る。
嘴でくわえる。
「切断作業開始」
ギコギコ。
ギコギコ。
「痛てぇ!」
「静粛に」
「手え削ってる!」
「手え切ってる!」
「誤差」
「誤差じゃねえ!」
ギコギコ。
ロープが削れる。
「今!」
リンが叫ぶ。
ハンスが全力で引っ張る。
ブチィッ!!
切れた。
「よっしゃあ!」
ハンスの手が自由になった。
クロウからナイフを受け取り体を縛るそのほかのロープを切断する。
立ち上がった。
腕や肩を回す。
あらためてナイフを握り直し。
まずリン。
次にミリア。
フロム。
最後にヨウド。
全員解放。
その時だった。
廊下から足音。
カツ。
カツ。
カツ。
ヨウドが顔を上げる。
「敵兵接近」
「タイミング悪っ!」
ミリアが言う。
「隠れるわよ!」
リンが指示する。
全員が扉の横へ移動した。
ガチャ。
扉が開く。
黒い兵士が入ってくる。
ドゴォッ!!
ハンスの拳。
顔面直撃。
黒い兵士が吹き飛ぶ。
さらに。
ドガッ!!
二発目。
黒い兵士は床へ転がった。
沈黙。
ハンスが息を吐く。
「よし」
ミリア。
「脳筋解決」
「うるせぇ」
リンが倒れた兵士を見る。
「縛るわよ」
「賛成」
拘束完了。
仮面を外す。
すると。
全員が固まった。
若い女性だった。
「女……?」
ハンスが呟く。
クロウがじっと見つめる。
目が青く点滅した。
《警告》
《EX様形質検出》
《識別番号照合不能》
フロムの目も点滅をした。
支援機同士の通信をする。
《状況確認》
《マザーへの報告必要》
クロウの瞳が一度だけ強く光った。
《最優先報告事案》




