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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
奪還

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118/118

第114話 <潜入>

翌朝。

クロウは日の出前に大都を出た。

平原を西へ飛ぶ。

やがて東の空から朝日が昇る。

遺跡へ到着する。

クロウは、いつもの木へ降りた。

地下施設の出入り口を監視する。


しばらくすると扉が開いた。

先にリード。

続いてスタン。


二人は木箱を馬車へ積み込んでいる。

前回と同じ行動。

同じ馬車。

同じ二人。

やがてリードが御者台へ座り、スタンが隣へ乗る。

馬車が動き出した。

大都の方向へ向かう。

クロウは木から飛び立つ。

上空へ出ると、馬車を追跡した。

遺跡から十分に離れるまで監視を続ける。


馬車は街道を東へ進んでいる。

進路に変化はない。

クロウは高度を上げた。

そのまま馬車から離れ、遺跡へ引き返す。

眼下には、どこまでも続く平原。

動くものは見当たらない。

基地に残っていると推定されるH兵は三名。


ケイ。

ミズカネ。

カドメイア。


交戦は避ける。

施設構造と収容者を確認。

ゼノンの所在を確認した後、直ちに離脱する。

目的を再確認。

問題なし。


クロウは遺跡の上空を旋回した。

地上に人影はない。

警備兵もいない。

地下施設へ続く階段は、静まり返っていた。


クロウは高度を下げる。

遺跡の入り口から少し離れた場所へ着地した。

そこからは地面すれすれを飛び、崩れた建物の間を進む。

地下へ続く階段。

その奥に、金属製の扉がある。

扉の横には、数字の並んだ入力装置。

クロウは階段の途中へ降りた。

周囲を確認する。


動体反応なし。

音声反応なし。

監視装置は確認できない。


だが。

何もないとは限らない。


クロウは入力装置の前へ移動した。

ミリアから聞いた番号を打ち込む。


一つ目。

入力。

小さな電子音。


二つ目。

三つ目。

最後の数字を入力する。


沈黙。

何も起きない。

クロウの眼が点滅した。

番号が違っていた可能性。

ミリアの記憶違い。

あるいは、暗証番号の変更。


数秒後。

カチリ。

扉の奥から音がした。

続いて、重い金属製の扉がゆっくりと奥へ開いていく。

隙間から、冷たい空気が流れ出した。

人工的な薬品の臭い。

油。

金属。


クロウは、開いた扉の前で動きを止めた。

内部は薄暗い。

壁に設置された照明が、一定の間隔で通路を照らしている。

誰の姿もない。

警報も鳴らない。

クロウは扉の向こうへ飛び込んだ。


直後。

背後で扉が閉まり始める。

クロウは天井の端、壁との角に爪をひっかけてしがみ付く。

一度だけ振り返った。

外の光が、細い線になる。


やがて。

完全に消えた。

地下通路に、クロウの青い眼だけが浮かぶ。


「侵入成功」


小さく呟いた。

そして、奥へ飛び始める。


◇ ◇


地下施設の監視室。

誰もいない椅子の前で、一つの表示が点灯した。


ENTRANCE GATE: OPEN

AUTHENTICATION CODE: ACCEPTED

INTRUSION DETECTION: SUSPENDED


数秒後。

表示が自動的に消える。

クロウが通った扉は、再び何事もなかったように閉ざされた。

警報に気づくことはない。

なぜなら。

最初から、警報は鳴らないよう設定されていた。

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