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(1/5)待ち合わせ

大藤久美子は警察署の斜め向いにあるカフェ、いや喫茶店で立花光太郎を待っていた。

デートのような心ときめくものではない。先週、マンション内でのトラブルに警察を呼ぶことになった。事件性は無いのだが、警察署で再度事情を説明する事になったのだ。そのトラブルの当事者同士であり、大藤久美子と同じマンションの住人、立花光太郎も呼ばれており、ここの喫茶店で待ち合わせていた。


この古びた喫茶店は閑散としており客もまばらである。あの男はやって来るのだろうか。生真面目そうだから時間通り来るだろうな、と考えていた大藤久美子の予想通り、約束のの5分前に奴は現れた。


ドアを開けて店内を見回している立花光太郎は長身で細身、悔しいことに見た目はかなり良い。ただ、性格に難がある、というか変人である。あまり関わりたくない人間だ。


店内を見回していた立花光太郎が、こちらにやってくる。さてどういう挨拶をするのか、と思っていたら、立花光太郎は大藤久美子が座っているテーブルを素通りし、ひとつ奥に座っていた女性に声をかけた。

「大藤久美子さんですか?」


声をかけられた女性は困惑している。


おいおいおい、誰に声かけてるんだよ。人の顔を忘れたのかい、と大藤久美子は返答に困っている女性を助けるべく立ち上がった。

「立花さん、大藤です。それでは行きましょうか?」


「あぁ、大藤さんは、こちらでしたか」と悪びれず言う立花光太郎を置いて、大藤久美子はレジに向かう。

「いや、僕は人の顔を覚えるのが苦手で、、、」と言い訳らしい事を言っている立花光太郎を引き連れて、大藤久美子は警察署に入っていった。


うん、こんな事で怒っていてはダメだ。こいつは普通の人間じゃないんだから。

大藤久美子は歩きながら自分に言い聞かせていた。


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