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スキル【ダンジョンショップ】で一獲千金! 〜地獄の沙汰も金次第で元の世界への帰還を目指す〜  作者: 瞬間移動


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第5話 はじめてのお客さん


俺の《開店》という言葉と同時に複数人がなだれ込むように店の中に入ってきた。

男が2人と女が2人。

見ると全員どこかしらに怪我をしていて、特にゴツいおじさんに抱きかかえられていた金髪美女は白い顔していて素人の俺から見てもヤバい状況だと言うのがわかる。


「〈ρⅡ∫)∇⁉〉 ここは…!?」


今聞き覚えの無い言葉が一瞬で日本語に変わったぞ!

これナビさんの【異世界言語】のおかげで俺にも言葉がわかるのか?便利!


男性の1人、若い金髪のイケメンがキョロキョロと辺りを見廻す。

と俺とバチッと視線があった。


「キミ!薬を!解毒剤を持ってないか!?」


俺の胸ぐらに掴み掛からんが勢いでグイグイ来られてちょっとビビる。


「お、落ち着いて…薬ならあるから!売るほどある!」


なんたってここは《雑貨屋》なわけだし。


「本当!?フランソワ、待ってて今薬を買うから!」


後ろにいた白髪の小柄な女の子が青白い顔をした女性に喋りかけるが返事はない。

僅かだが肩が上下に動いているから生きてはいるんだろうがはやく対処しないとまずそうだ。


俺が急いでカウンターの後ろの戸棚の中にある解毒剤のガラス瓶に手を伸ばそうとすると、


『待て。』『お待ち下さい。』


2人の声が同時に聞こえた。


『その解毒剤ではあのお客様は治りません。』

『品質のレベルが足りねぇ。品質レベルが4は必要だな。』

『…その場合必要なMPは350です。』


350!?

1日寝て回復したとしても100しか回復しないのにそんなの絶対に無理だ!


「そんな!それじゃあどうすれば!」

「誰と話しているんだ?」


金髪イケメンにはナビさん達の声は聞こえないらしい。

突然何も無い方向に向かってでかい声で喋りだしたらそりゃ怪訝にも思うだろう。


『コウ様、念話…心の中で思うだけでも私達とは会話が出来ます。』


そりゃ便利だ。それで一体どうすればいい!?このままじゃあの女の人死んじゃうよ!


『簡単だ。俺の神に与えられたもう一つのスキルを使えばいい。』


もう一つのスキル【地獄の沙汰も金次第】

これはそもそもなんなんだ?


『説明は後だ。お前の全財産を寄越しな!!!』


ズズッ!と不快な水音がしたかと思うと俺の尻ポケットに入っていた財布がナマコ?に丸呑みにされた。

俺のカラオケ代+今月のおやつ代が!!


『日本円で4620円!悪くない金額だ!さあその分の望みを言え!』


望み!?


望みと言われても…いや多分これは、このスキルの正体は、金銭をコストに願いを叶えるものか!


MPが、MPが欲しい!!


心の中で強く願う。

はやくしないとあの女の人は死んでしまうだろう。

せっかく俺のスキルなら救えるかも知れない命が、MPが無くて使えないなんてそんな情けないことあるか!!

どうせもうカラオケもいけないし日本円ももう使うことはないだろう。

ならば人助けに使おうじゃないか!


『へへ、毎度ありぃ!それでは4620円分の魔力…MP462をお買い上げだあ!!』


〈MP30→MP492〉


白くて温かい光が胸の中に溢れる感覚。

これがMPだと自覚するよりはやく俺はステータス画面を開き、《雑貨屋》の品質を一気にレベル4に上げた。


〈MP492→MP142〉


今度は一気に温かいものが身体から抜かれた感覚。

うへぇ、なにこの感覚!気持ち悪っ!


でも、これでイケるはず!!



今度こそと解毒剤を掴み、金髪のお兄さんに渡した。


「金は後ででいいからはやく!」

「ありがたい!」


毒にやられている女、フランソワさんは筋骨隆々の髭面のおじさんに床にゆっくりと横にねかせられた。

金髪お兄さんは解毒剤の蓋を外すと自らの口に薬を含んで、そしてフランソワさんの唇に…



わぁお!!

美男美女の口移しやー!!

心臓に悪い!!

ドキドキする!!!


「フランソワ、目を開けてくれ、フランソワ…。」

おじさんが絞り出すように声を出す隣で白髪女子も祈るように俯いていた。


すると、きぃんと甲高い音が響きフランソワさんの身体が淡い光に包まれた。

その光は少しの間彼女を柔らかく包みそして見る見る間に消えた。


ゆるゆるとフランソワさんが目を開く。


「フランソワ!!」

「カイル…?」


金髪お兄さん、カイルさんは目を覚ましたフランソワさんをきつく抱きしめた。


わぁお!!(2回目)

この人たち恋人同士なんかな?


俺がドギマギしてるとようやく抱擁が終わった二人がバツが悪そうにこっちを見た。


「すまない。本当に助かった。」

「ありがとうございます。」


あとの二人も俺に頭を下げた。


「あ、いえいえ気にしないでください。困ったときはお互い様ってことで。」

「ああ本当に助かったよ!これは薬代だ。」


金貨が2枚…。

待って、これいくら?


『この世界での解毒剤は平均銀貨5枚です。なお、今回のものと同程度の効能の物は大変貴重で金貨1枚はするでしょう。』

『あー、金貨1枚は銀貨10枚、銅貨でいうと100枚だ。日本円で金貨1枚は約1万円だって言えば分かるか?』


「え!こんなに沢山受け取れません!」

「いや受け取ってくれ、むしろ受け取ってくれないとこっちが困る。」

「でも…、」


『マスターよ、あんたのスキルはそういうスキルなんだぜ?』


そういうって?


『コウ様、ダンジョンとは常に危険と死が付き纏うもの。そのような場所で貴方のスキルは奇跡にも近いものが生み出せる。』

『そうさ!金さえあれば危険を回避できる!それだけじゃねぇ、そこの娘っ子はあんたのお陰で死を免れたんだ!』


つまりこの金は正当な対価だってこと?


『肯定します。』『そのとおりだ。』


なるほどね。

それなら貰ってもいいのかな。

確かに2万円で命が助かったっていうなら安いもんだよな、うん。


「……わかりました。ありがたくいただきます。」


俺がそう言うとカイルさんはホッとした顔で笑った。


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