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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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インベーダーの生体

「こうして俺の軟禁期間は仕事で埋まりましたとさ……」


 カタカタとキーボードを打ち続ける事になった俺、今は虚無である。

 新装備の設計にかかりきりになっているように見せかけて、凛のためのシミュレーター以外にもパイロット用のをアップデートしている。

 マルチに活動しているのだ。


「自業自得でしょう。あれだけの機体を用意してまだ足りないの?」


「はっきり言うが足りない。インベーダーの総力や個体差が判明していない以上どれだけ備えても足りない」


 というのが建前。

 本音は俺が知っているインベーダー連中に比べたらツクヨミ改は十分に通用する機体だ。

 だが1機しかないし、俺しか使えない。

 もっと腕利きのパイロットに、ツクヨミ改に匹敵する機体が必要になるが、それはあらゆる面でコストがかさむ。

 という事で手っ取り早く装備だけでも用意して、不足分を補おうという算段だ。


「そんなに備えることあるかしら……というかこの装備無茶苦茶な性能してるわね」


「これでも要所要所オミットしている。加速で人が死なないようにとか、ドローンの大量放出で脳が焼き切れないようにとか、うっかり味方を誤射しないためのプログラムとか」


「いや、それ最低限必要な分野じゃないの……」


 どうだろう、最終決戦にいた連中はみんなその辺のシステム外して、少しでも機体を軽くしようとしてたからな。

 OS的にも物理的にも軽くないと死ぬ。

 そういう戦場だったから……重装甲を好む良平には厳しいか?

 あと近接特化過ぎるクリスも結構厳しいよな。

 凜はそもそも基礎ができていないから論外としておこう。


「最低でもスピーダーの性能について来られる程度は必要だ。それにドローンによる飽和攻撃は絶対に外せない。射撃精度を上げつつ近接戦闘もこなせるようじゃないと生き残れない相手だって出てくる。あらゆる事象にトップクラスの対応力が求められるのが対インベーダーだ」


「そうはいうけど、普通は分担するわよ」


「じゃあクリスは良平の援護なしでワイバーン戦を無事生き残れたか?」


「……悔しいけど、無傷とは言えないわね」


「俺はできる。けれど一人じゃ手が足りない、そういうことだ」


 生き残るだけなら全然余裕で、あの群れの中でダンスできるくらいだ。

 ただ問題はサモナーミストを見つけ出して増援を防ぎ、その上で敵を殲滅できるだけの能力があるかと言われたら難しい。

 時間をかけていいならなんとでもなるが、その場合周囲が焼け野原になる。

 それを単独でどうにかできるようにするための装備がこれだ。


「つまり単独で隊列組んだ軍人並みの能力を得られる装備? 口にすると胡散臭いことこの上ないわ」


「俺もそう思う。少なくとも使いこなせたらそのくらいはできるが、普通に見た場合金の無駄としか言えない」


「じゃあ……」


「だからこいつを使えるパイロットを選抜する。あるいは育成する。その辺は軍が考える事だが、俺が作るのはデモ用のシミュレーターだ」


「で、パターンは?」


「……まぁ、シチュエーションだけで数百。機体のカスタマイズで数百、あと俺が考えうる限り最悪の敵を何体か並べたボス戦みたいなのをいくつか」


「それ、最後の意味ある?」


「意味はあるぞ。インベーダー図鑑に載ってるようなポピュラーなのから、専門書にしか出てこないようなマイナーまで含めて合わせたら嫌な性能しているなって連中を一つにギュッとまとめるだけだ」


 なお本音はゲーム時代に厄災とかいわれたボスをモチーフにする。

 見た目は変えて、適当に言い訳できるようにしておくけどな。

 例えば……重装甲ギアも戦艦も一撃で消滅するようなビームを全方位に弾幕レベルで撃ってくる化物とか、そのエネルギーを滞留させてバリアみたいにする奴とか。

 攻略法見つかるまでに何人死んだか覚えてねえや。

 その辺の攻略法も一応はシステムに組み込んでいるが、気付けるかどうかだな……途中でやる気なくしてやめられても困るから、何かしらの褒章でも用意しておいてもらえると助かるけど、そこまで期待するのは流石にな。


「うわ……えげつない能力」


「論文に出てくるエナジーコラプスってやつがもっと面倒になったらこうなるだろうなって予想から作った敵だ。やっかいだぞ、遠ければ狙撃、近づけば広範囲への衝撃波、ブレードも装備しているからつばぜり合いからの衝撃波ぶっぱからのエネルギー放射でどかんだ」


「それ、どうやって倒すのよ……」


「普通にこっちも狙撃だが? あるいはつばぜり合いなんかさせずに一刀両断」


「……データ見る限り、私はもちろん父さんでも難しいわよ?」


「クリスの親父さんか……すまん、ピンとこない」


「近接戦闘能力だけならこの国の准将をダース単位で相手取れると思うわ」


 そりゃ大概化物だな……。

 しかも難しいとか言って不可能と言っていないあたり、やりかねない怖さはある。

 ついでに言えばこれデータだから、本物はもっと流動的に生物的に動く可能性が高い。

 今まで相手してきたインベーダーはどれも生物的だった。

 学習される可能性があるって言えば、それがどれだけ厄介かわかると思う。


「俺とやり合ったらどっちが勝つ」


「ベクトルの違う強さよ、比べようが無いわ。けどしいて言うなら……最初の数回は幸助かしらね」


「高く評価してくれてるようで」


「そりゃね。けど父さんも強いわよ。少なくとも私なんかじゃ何万回やったって一発もかすめる事すらできないくらい」


 クリスがそこまで言い切るか。

 相当強いんだろうな……いや待て、それもしかしてジャイロとかバランサーそのままでってことか?

 強いとかのレベルじゃなくて頭のネジ外れてるタイプだわ。

 超怖い。

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