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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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ナンセンス(言いたいだけ)

 さて、予定通り機体の動作を見せる事になったが難しいことは無い。

 俺は普通にツクヨミ改を動かし、その後軍人さんが実際の乗り心地を体験してみるという流れだった。

 結論から言おう、軍人さんが目を回しながら降りてきて「まともな人間には動かせない機体」と落第の評価を押していった。

 一方スサノオは「とても素直な機体、換装システムが面白く操作性から機体の整備まで細かい所に着眼したものであり評価に値する」との太鼓判を頂いた。

 バックパックシステムすらスサノオの方がいいぞと言われてしまったのである。

 まぁ言わんとすることはわかるけど……。


「君があの機体の持ち込みをしたのかい?」


「ん? えぇ、そうです。えっと、失礼ながらあなたは」


 軍服じゃない、紫色のスーツというおおよそこの場に似つかわしくない格好の人物。

 ……どこで購入するの、そのド派手なスーツ。

 オーダーメイド?

「おっと申し遅れた。ギャラクティックシルバー社のCEOをしている、戸川というものだ。しかし学生の身分であんな機体を持ち込むとは。随分な度胸だ」


「それは、どうも」


「褒めているのではないよ。あんな量産に向かない機体を良くも持ち込めたものだと呆れているのだ」


 なんだこいつ、いきなり喧嘩売ってきやがった。

 量産に向かないのはその通りです、はい。


「機体そのものはそうですね。ですがバックパックはその限りじゃないですよ。更に言うならそのバックパックシステムを改良して用意したのがスサノオ、あちらに並んでる機体です」


「ナンセンス」


「は?」


「確かにあれならば整備性もよくなり、量産性も悪くない結果になるだろう。だが性能はどうだ、装甲も内装も他視したものではない。所詮は学生の作った玩具でしかない。更に付け加えるならランニングコストはどうだ、運用するにあたって摩耗の計算は? 輸送の手間は、そういった観点が抜け落ちている。前線に送るには輸送船が不可欠、そのコストが跳ね上がる可能性を考えていないならば玩具にも満たない」


「玩具、ねぇ……」


 一応軍所属のプロメカニックも睡眠時間削って作ってたんだがなぁ。

 言うなれば軍人が持てる情報駆使して、俺達学生が想像できる限りのアイデアぶちまけて、そこで残った物を精査した結果の機体だ。

 それを一言で切り捨てられるのは少々腹立たしい。

 とはいえ表情には出さない。


「なにか弁明でもあるかい?」


「いいえ、弁明はしませんよ。ただ一言……」


「言ってみたまえ」


「御社の機体は第五世代機の焼き直しに見えますね。装甲を厚くしつつ機体の速度を上げるためにスラスターとブースターを追加、新素材を使用して重量とGの問題を解決しているようですが使い古された内容。挑戦という気概がない。故に先の無い機体に見えます」


「……言うじゃないか。第五世代機の設計図は完璧なのさ。人力でビームの回避ができるようなパイロットは少ない、ならば装甲を厚くするのは当然。だがそれで鈍足になっては意味がない。まさに軍用にふさわしい設計図だ」


「それは同意します。だがそれは基礎理論であるべきだ。設計図まで模倣するのは開発力の無さを露呈させる。そうは思いませんか?」


「ならば君ならどうする。見たところあのスサノオとか言う機体は速度重視の第七世代機の焼き直しではないか?」


 嫌味なやつだが言う事はなかなか鋭いな。

 実際第七世代機のデータをもとに作った試作機だからそう言われても仕方ない。

 だが……。


「そうですね。設計図まで書く暇がなかったので第七世代機の物を流用しました。ですが、バックパックシステムを基にした設計図を使えば世代を超えた機体の能力が出せます」


「ほう、聞こうじゃないか」


「例えば第六世代機の頑強さ、それを外付けしつつ不要になった際はパージして第七世代機相当の速度で離脱。最悪の場合手足を捨ててバックパックだけの身軽な状態での脱出も可能です」


 実際良平の機体は重装甲型だ。

 今回第七世代機をベースにした機体になっているが、それ以外に外付けの装甲なんかも用意してある。

 あいつの乗っている2号機は手足が一回り太く、またコックピットを覆うように追加装甲が取り付けられている。

 その全てがパージ可能で、脱ぎ捨てるとスサノオ本来の速度で逃げ回る事ができる。

 一方でクリスの機体は第二世代のデータを使った近接戦用のもので、関節への負荷を抑える仕組みが他方に組み込まれている。

 各種世代機の美味しいとこどりができる仕組みなのだ。


「なるほど、換装に当たって追加装甲や部分強化か……学生の割には素晴らしい発想だ」


「それは、どうも」


 なんか急に手のひら返した?

 いや、こういう性格なのか?

 自慢とこき下ろしから始まって相手を見定めて、そしてその対応次第で反応を変える。

 面倒な類だが……長い付き合いにならなければ問題ないな。


「しかしやはり懸念点は多い。例えば接合部の耐久性だ。それにバックパック状態での能力も気になる」


「耐久性は10万回ほどテストしました。その後破砕試験もして、通常弾頭なら数発は耐えられますね。基準で言うならまさに第七世代機の互換です。バックパック単体でも戦闘能力が無くなるわけではなく、むしろ逃走に必要な装備は十分に備えてあります。一応装甲もあるので数発で落ちるほどやわではないですね」


「ならば機密性はどうだ。昨今問題になっている裏組織などへの流通、パーツ単位でとなると従来より輸送が楽になる。だが反面裏での流通も激しくなる可能性があるだろう。それに輸送時のコスト問題も残っている。」


「それを考えるのは俺達学生程度の身分じゃない、軍のお仕事でしょう。それにバックパックがなければただの手足、接合部を上手く用意できなければ既存のギアでは使い物にならない」


「だが改造でどうにかなる範疇では?」


「否定しますよ。専用のシステムで繋がないと動かないようになっているので」


 そのために幻覚見えるまで徹夜したんだ。

 そうそう真似されてたまるか。

 ……まぁデータなんて所詮はコピペされたら簡単に盗まれるけどさ。


「なかなか興味深いな。学生風情と侮っていたが思わぬ強敵か。その実力を見てみたいものだ」


「ちなみにこいつは?」


「コンペに持ってくるならスサノオという機体だけで十分だろう」


「でも従来の機体にも接続できるようになってますよ。ジョイントさえ用意すれば」


「そのジョイントの準備にどれだけの時間と費用が掛かるか計算したら、君の所のスサノオを量産した方がいいだろう」


 その通りです……ぐうの音も出ねえや。


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― 新着の感想 ―
企業勢が当て馬じゃなくちゃんとその道のプロしてるのいいよね!
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