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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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変態!

「おいおい、これギアがしていい動きじゃねえだろ」

「というかなんでパイロット無事なんだ……いや、補助席も使ってる辺りだいぶ気を使ってるのか?」

「関節全部ぐちゃぐちゃじゃねえか……これいつ自壊してもおかしくないぞ」

「エネルギー弁がぶっ壊れる寸前だ。こりゃリミッターも解除してたな」

「旧世代機の動きじゃねえしデータを疑ったが……明らかに連中の返り血がついてるんだよな」

「真っ青に染まってるから血に見えないのがせめてもの救いだが……これ洗浄するのクッソ大変だろ」

「あー! 装甲の内側まで血糊べっとりじゃねえか!」


 戦闘を終えて機体をドックに降ろせば学校と軍の整備士が俺の機体に群がってきた。

 戦闘データを全て抜き出そうという意気込みで、ついでに機体のチューンとか見たいと言って新品同然にして返すからと言われればにべもなく差し出した次第。

 そして軍のお偉いさんから事情聴取を受ける俺達4人だが……相手がやばい。


「今回の現場指揮官をしていた真田准将だ。楽にしてくれ諸君」


「「「はっ!」」」


「えっと……お兄ちゃん、准将ってどのくらい偉いの……?」


「現場最高指揮官、佐官の上の将官。小隊から中隊を指揮できるのが尉官で、それをまとめた大隊の指揮ができるのが少佐とか中佐、更にそれを集めた旅団規模を指揮するのが大佐と同等以上。その大佐に指示できるパイロットが准将」


「めっちゃ偉い人じゃん……!」


 一手遅れて敬礼した凛。

 その表情は憧れとか通り越して怯えしか映っていない。

 まぁね、普通に准将とか母星にいる存在じゃないから。

 宇宙の最前線でドンパチしている人たちだから。


「いや、そう硬くならないでくれ。私も久方ぶりに帰郷してみればすぐに呼びつけられた立場でな。ほとんどオフみたいなものなのだよ」


 軍服着ている時点でオフじゃないですね。

 というかあなたの立場だとオンオフあって無いようなものでしょ。

 いつ呼び出されてもおかしくない立場だし。


「いやはや、死なないために死神を蹴り飛ばし続けていたらいつの間にかこんな立場になってしまってな。まったく、下手に昇進する物じゃないね」


「僭越ながら、准将ほどの立場で帰郷を許されるのであれば昇進して少将になり後方勤務も可能では」


「残念ながら私はこの手の学校を卒業していないんだ。結果的に学がないから昇進は望めないね」


 世知辛ーい。

 いや、確かにその辺の事はちゃんと学ばないといけないけど、それ抜きにして前線で戦ってただけで准将まで登れるのか……。

 というか叩き上げじゃねえかこの人!


「さて、戦闘データを軽く見せてもらったが……いいパイロットだ。それにお嬢さんはオペレーターとしても優秀だね。このままうちで引き取りたいくらいだが……」


「申し訳ありません。私は大将まで上り詰めてやろうと画策しておりますので」


 俺の言葉に全員がぎょっとした様子でこちらを見てくる。

 半分は冗談だよ、残り半分は本気だけど。

 軍を舐めるつもりはないが、貰えるだけ金貰って、そんで後方勤務をしたい。

 できるなら無茶ぶりする側になりたいというのは誰もが考える事だし、会社でも下手な……それこそ課長くらいの中間管理職になるよりもっと上り詰めて総務部長くらいになった方がまだ余裕あるだろ。

 少なくとも上下左右から突かれるような立場にはなりたくない。

 軍でそれを目指すならトップしかないんだ。


「ほう、つまり君の指揮で私達は死地へ赴くこともあると」


「そうなりたいものです。とはいえ無意味に死地に送るような無能になるつもりもありませんが」


「はっはっはっ、いいな、だが君はどんな立場になっても最前線に送られると思うよ」


「それはなぜでしょうか」


 純粋な疑問である。

 大将を最前線に駆り出すような戦場があるかと言われたら、まぁ基本的に無い。

 絶対じゃないのはほら、古代とか中世の騎士が先頭に立って鼓舞する形式があったからなんだけどさ。


「軍はパイロット不足なんだ。特にエースはね」


 今回俺の撃墜数は3桁を超える。

 正確に数えてないからわからないが、ざっくりで言うなら200前後ってところだろう。

 クリスも同じくらいで、あいつは銃の類を使ってないから純粋な近接戦だけで小型種をそんだけ落としたという事になる。

 普通に末恐ろしいというかなんというか……。

 で、良平は100は超えてるかなくらい。

 だいたい俺達だけで半分近く削ったことになるな。


「本当なら私達が来るまで時間稼ぎをして被害を最小限にしてくれれば十分だった。それを半分以上打ち取って、損害は0。正しく言うなら……雨傘君の機体が自壊しそうになった事と、校舎の一部がインベーダーの死体で破損しただけとなれば誰もがすぐに欲しがるだろう」


 あ、半分超えてた。

 1000以上だと思ってたけど、俺達も想定以上に落としていたみたいだ。


「まぁその辺りの計測はうちのメカニックと本部が行うが……今回の一件は奇妙だと思わないかい?」


「警報がグリーンだったにもかかわらず1000を超える小型種の到来、それもこの学校を狙っていたと見れば……統率者がいると見るべきでしょうか」


「流石に早計、といいたいけれど否定材料がない。強いて言うなら市街地へ標的を移そうとした個体が散見されたことくらいだ」


「反論としては救護所をピンポイントで狙い始めたことでしょう。少なくとも偶然で片付けるには状況ができすぎています」


「そうだな。よって今回の案件は本部の調査に任せ、我々前線の人間は情報だけを持ち帰る事にする。それにあたり君達の機体のデータを貰う事になるが異論は?」


「「「「ありません!」」」」


 今度は四人で声を揃える事が出来た。


「あ、ちなみに雨傘君の機体そのものも持ち帰りたいんだが……」


「動いていることが奇跡みたいなスクラップですよ?」


「……スクラップにしたの誰よ」


「死ぬかと思った……」


 クリスと凜の非難が聞こえた気がするが、空耳だな、うん。


「正直な所帰りの脚が無くなるのは少々困りますが、軍の指示というのであれば否という権利はありませんので」


「そうか、パイロット科だから予備役みたいなものだったね。しかし一方的な搾取を好む軍はいない。何かしらの形で返礼し、しばらくの通学はこちらで車を用意させよう」


「ありがとうございます!」


「もうおに……兄の操縦に頼らなくて済むなら最高です!」


 凜よ……お兄ちゃん泣くぞ?


「はははっ、確かにあの操縦の荒さはなかなかのものだ。私とて補助席では丁重に断りを入れたうえで上層部に抗議文を送るレベルだろう」


 たたき上げの人にそんな事言われましても……。


「模擬戦で圧倒された理由が分かったわ……同じ性能の機体じゃ絶対に勝てないわね」


「正直世代の違いなんて知った事かと言われた気分だったなぁ」


 クリスも良平もフォローしてくれないかなぁ?

 俺だけアウェーなんだけど。

 なんならまだメカニックとかが機体見て俺の事めっちゃディスってるんだけど。

 誰が変態機動のいかれぽんちだよ!



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