操られた騎士 2
「キリないわね!」
前方からも後方からも襲いかかる召使い姿の敵に
エレノアは気絶程度に蹴りとパンチをお見舞いしていた。
それでも敵は次々と押し寄せてくる。
出口すら見つからない状況で走り続けるのはかなりキツイものがある。
隣で走るセドブルは息も絶え絶えだ。
どうにかしないと……!
カイルを探そうにも、誰か1人を捕まえて吐かそうにも追われている状況下ではそれすら出来ない。
だが、追われている中で気付いたことがある。
エレノア達を追う召使いたちの容貌、
大勢が追い回せる広い屋敷、
そして屋敷にかすかに香るりんごの香り。
そこから推測できるのは
ここがレイモンド伯爵家であることだ。
……シャラ、ルーク!
気づいて!!
おそらくこの屋敷にいるであろう2人に心の内で呼びかける。
「騎士様! こっちです!!」
セドブルの声につられ、
敵のいない部屋に入り、
さっと扉を閉めた。
安堵するのも束の間、
さっとあたりを見回すと
「ーーっ!」
思わずあげた悲鳴を飲み込んだ。
パーティー会場ほどある広い部屋の端にコレクションの様に等間隔で並べられた巨大な円柱があったのだ。
コポコポと液体の音を鳴らすそこには
ヒトが入っていたのだ。
そのヒトは、どれも同じ容貌をしていた。
赤みを帯びた茶色の髪に色素の薄い長い睫毛の美青年。
「美しいだろう? 我が息子は」
エレノアが瞠目して声を上げるとともに
どこか愉快げな聞き覚えのある声が部屋の奥から聞こえた。
奥から出てきたのは、
レイモンド伯爵と、
その後ろに従者の様に控えるカイルだった。




