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第4章-11

砦の奥の、少し広がったエリアで対峙するヒュウとベルゼド。

ヒュウは飛んでいるベルゼドを、キセルを吹きながら睨む。


ベルゼド

「お前は剣しか取り柄のないただのサムライ!」

「この勝負、お前に勝機はない!」


ヒュウはキセルの煙を吐き、話し出す。


ヒュウ

「分かってねーな、ジャンボコウモリ」

またキセルを咥える。


ベルゼド

「あぁ!?」


ヒュウ

「勝ちも負けもあるから」

キセルの煙を吐いた。


ヒュウ

「”勝負”だろうが」


ベルゼド

「てめぇ…」

「減らず口を!」


ベルゼドは術式を展開し、力を込めた。


ベルゼド

「これで殺す!」

次の瞬間ー闇が、満ちる。


ベルゼドの放った“霧”。

視界は、完全に奪われた。


さらに、ベルゼドは超音波を放つ。


ベルゼド

(これで何もできまい!!)


音が――歪む。

キィィィィィン……!!

鼓膜を直接掻きむしるような超音波。

思考が、削られる。


ヒュウ

「……チッ」

足を止める。次の瞬間。


――シュンッ

見えない刃。

空気ごと切り裂く真空の一撃。

ヒュウの頬が裂ける。

バッ!と鮮血が舞った。


ベルゼドの声が、闇の中から響く。


ベルゼド

「どうした?」

「見えぬか!聞こえぬか!」

「ハハハ!」

愉悦した声が響く。


ベルゼド

「これが貴様を屠る“闇”だ!」

ヒュウはそこから見えない斬撃を受け続けるも、

肩や背中が裂ける。

バシャアっと血が飛ぶ。


ヒュウ

「ちっ・・・」

(長期戦はやべえな・・・)

(何より・・・)

2番隊が閉じ込められた炎を見る。


ヒュウ

(さっさとやるか・・・)

姿は見えないが、ただ“そこにいる”気配を感じる。


ヒュウはゆっくりと刀を鞘に収める。

カチン――


ベルゼド

「……ほう」

「諦めたか?」


ヒュウは、静かに耳を澄ます。


ヒュウ

(音が封じられ、目も利かねえなら……)

足元に、何かが広がる。


ヒュウ

(”別の感覚”しかねぇ・・・)

薄く。広く。“水”が足元から、静かに広がっていく。

その表面に、微かな波紋。


【水術・流陣るじん!!】


ベルゼド

「ふん、何をしようと無駄だ」


その瞬間。

――ピクッ

ヒュウの足裏に、“揺れ”が届く。


ヒュウの目が、わずかに動く。


ヒュウ

(見つけたぜ・・・)

即座に、凍鶴を抜刀するした。


―ザンッ!!

氷の槍が、闇を貫く。


ベルゼド

「……!?」

血が散る。


ベルゼド

「なぜ……!」


ヒュウ

「甘ぇな」

「隠れるなら、徹底しろよ」

「隙だらけだバーカ」


ベルゼドは後退する。

ベルゼドは足元の波紋に気づく。


ベルゼド

(ちっ......)

(……地面か)


次の瞬間。バンッ!!

地面が砕かれる。水ごと吹き飛んだ。


ベルゼド

「これで終わりだ」

空中へ。完全な滞空。


ヒュウは動かない。


ベルゼド

「もう感知できまい」

「単純なトリックだ!」

闇の中から、嘲笑が響く。


ヒュウは、煙を吐く。

スッ――とキセルから、白い煙が上がった。


ヒュウ

「……だから」

「甘ぇってんだ」

足元だけではない。


空気。霧。水蒸気。

すべてに張り巡らされたヒュウの魔力。


ヒュウ

「全部、繋がってんだからよ」


ベルゼドの羽ばたき。

その“微細な揺れ”が、霧を震わせる。


ヒュウの足裏へ、伝わる。

霧から伝わる波紋がヒュウに届いた。


ヒュウ

(上……三歩分、右)

凍鶴に魔力を込め抜刀する。


ヒュウ

「そこだ......!!!」


【氷術・氷突刃ひょうとつじん!!】


―ズバァッ!!

斬撃が、空を裂く。

ベルゼドの羽が切り裂かれる。


ベルゼド

「ぐっ……!」

空中で、血が弾ける。


ベルゼドはギッと歯を鳴らした。


ベルゼド

「小賢しい……!」

魔力が膨れ上がる。


ベルゼド

「ならば――消し飛べ!!」

最大出力。

キィィィィィィィィィン!!!


超音波が、空間を歪ませる。

だが、ヒュウは、動かない。


ヒュウ

「……遅ぇよ」

凍鶴の刀身を構え、魔力を込める。

空気中の水分が、一瞬で変質する。

――キンッ!


超微細な氷の粒。

無数に闇の中に、ばら撒かれる。


【氷術・鏡氷反衝きょうひょうはんしょう!!】


ベルゼド

「なに……?」

次の瞬間。

超音波が、氷に触れる。


乱反射し音が、収束する。


ベルゼド自身へ超音波が逆流する!


ベルゼド

「ギャァァァァァァァァァァ!!!」

絶叫がこだまする。

ベルゼドの感覚が、崩壊する。

そして、墜落する。


ドサッ……と落ち、もがく。


ベルゼド

「な……ぜ……」


ヒュウ、ゆっくりと歩み寄る。

刀を構える。


ヒュウ

「おめーはな」

「うるさすぎんだよ」

「バカデカコウモリ」


氷刀・凍鶴を一閃する。ザンッと音が響く。

静寂。

霧が、晴れていく。


ヒュウ、キセルを咥える。

そしてふーっと煙を吐いた。

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