第4章-9
砦の内部には、2番隊が閉じ込められていた。
救出に向かうカイ・アスナ・エリス・ヒュウ。
行く手には、超獣軍の将。
トカゲのような男や、ウサギの女、カエルの男、ハリネズミの女など、多様な動物の能力を持った者たちが並んでいた。
ヒュウ
「くそ・・・数が多いな・・・」
カイ
「やるしかねえ!」
アスナは肩を貸すエリスに目をやる。
顔色は悪く、小さく息をしている。
アスナ
「エリス・・・」
ヒュウ
(この女2人は戦うことは難しいか・・・)
カイ
「うおおおお!!」
カイは持ち前のスピードで、1匹、また1匹と倒していく。
ヒュウ
(このチビ・・・)
ヒュウはカイのスピードに目を引かれた。
しかし、同時に違和感に気づく。
ヒュウ
(砦1つ使って罠にハメて・・・)
(こんな絶好の機会で、こんな下っ端だけが来ることがあるか?)
「・・・」
ヒュウ
「おい!」
カイを呼び止めるヒュウ。
しかし、集中した様子のカイの耳には届かない。
ヒュウ
「ちっ・・・」
(聞いちゃいねえか・・・)
カイに追従するヒュウ。
そしてその後ろのアスナとエリス。
カイは目の前の炎の塊にめがけてスピードを上げる。
カイ
(ハギノさん・・・2番隊・・・)
(おれが助けるんだ!)
しかし・・・
シルエットA
「ひひひ・・・」
「今だ・・・!」
ドォン!!と大きな音と衝撃が4人に落ちてくる。
カイ「おわっ!」
ヒュウ「!?」
4人の行く先と、砦進入時に入ってきた通りに、サガリ拠点のものよりさらに巨石が落とされる。
ヒュウ
(術式で巨石を召喚したか・・・)
(やはり入念に練られた作戦・・・)
アスナ
「まずい・・・行く先も戻る先も塞がれた・・・」
ヒュウ
「今のは・・・」
ヒュウの目線は、巨石で閉じ込められた様子を確認して飛び立つ影。
ヒュウ
(帝国軍でこの辺りを支配する3軍将の1人、ベルゼド・・・)
(こりゃ、3人ともお出ましっていうパターンも考えとかないといけねーな・・・)
エリス
「はぁ・・・はぁ・・・」
地面に膝をついたエリスの息は荒く、
白い指先は震えている。
先ほどの巨大魔法の反動が、確実に身体を蝕んでいた。
ヒュウ
「このままだと、2番隊どころかおれたちもやべーな」
「それに、敵は親玉3匹揃い踏みかもしれねえ」
(さて・・・どうしたもんかね・・・)
カイ
「くそ・・・」
ーーー
アスナ
「・・・」
アスナは唇を噛み、状況を見渡す。
アスナ
(……エリスの大技を、もう一度使えれば……)
(少なくともここは、何とかなるかもしれない……)
一瞬、言葉が途切れる。
アスナ
(……でも……それをやったら……)
「エリス……」
その先を、言えなかった。
静かに、しかし確かな声が返ってくる。
エリス
「……私が……やりますわ……」
皆の視線が、彼女に集まる。
エリス
「私が……みなさんを……お守りするの……」
アスナ
「エリス……」
エリスは、ふらつきながらも顔を上げる。
いつもの、少しおっとりした微笑み。
けれど、その奥にあるのは——揺るがない芯。
エリス
「お願い……アスナ……」
「私に……やらせて……」
ヒュウが一歩踏み出す。
ヒュウ
「やめろ」
「これは命令だ」
強く、全力で止めにかかる。
ヒュウ
「お前の風魔法は切り札だ」
「その時お前が倒れてたらどうする?」
一瞬、アスナの中で、すべてが交錯する。
—軍としての正しさ。
—友としての願い。
—そして、エリスの覚悟。
そして、アスナがエリスのかつての言葉を思い返す。
【守ってもらうのではなく、”並んで立ちたい”の・・・】
アスナは、戦場の音を忘れたように、
ただエリスを見つめる。
そして、静かに、頷いた。
アスナ
「……分かった」
「エリス...お願い...」
エリスは小さく微笑む。
ヒュウ
「!?」
「お前、何を言って...!」
アスナ
「......」
ヒュウ
「もういい、こいつは分かってない」
「おいー」
アスナ
「あなたこそ!!!」
ヒュウ
「!?」
顔を伏せたアスナの叫びに、その場の空気が凍り付く
アスナ
「この子の...何が分かるの...?」
ヒュウは、言葉を紡ぎ出すことができなかった。アスナの覚悟を肌で感じる。
エリス
「ありがとう、アスナ...!」
いつもの、可憐な微笑みをエリスが浮かべる。
続きが気になった方は、ぜひブックマークや下の【☆☆☆☆☆】での評価で応援していただけると励みになります!




