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第4章-2

カイ

「む・・・むこ?」


アスナはあんぐりと口を開けていた。


エリスはカイの顔を覗き込む。


エリス

「こんなお姫様の婿だなんて、すごい話ですわね・・・」


カイ

「ちょっと待てよ!」

カイは必死に言葉を紡いだ。


アスナがはっと我に気づき、話す。


アスナ

「そ、そうよね!」

「カイ、そんなすぐに決めることじゃ・・・」


カイ

「むこってなんだ?」


ズゴーッとアスナが横でずっこけているが、ミコトは気にせず話した。


ミコト

「ほっほっほ」

「おもろいのぉ!」


ミコトは扇子をゆっくり扇ぎながら話した。


ミコト

「まあ婿というのは急じゃが・・・」

「我が国の状況をまずは説明せねばならんのぉ」


ミコトは扇子をパシッと音を立て畳み、また話し出す。


ミコト

「手紙でも書いたが、この国は帝国との戦いが続いていての」

「本来この国は正規軍もなく、村々にサムライと呼ばれる戦士たちが自警しているような状態じゃった」

「それが急に十数年前、帝国に攻め込まれ、まさに寝耳に水だったのじゃ」

「特にここ2年は攻撃が苛烈化しての・・・」


カイ

(2年・・・)


アスナ

(孤児院が襲われた時期と重なる・・・)


カイとアスナは”何か”を感じざるを得なかった。


ミコト

「軍を率いて本格的に帝国を迎え撃たねばならぬのだが・・・」

「国王で将軍だったわしの父上はもうずいぶん前に病気で亡くなっての」

「ただでさえ野武士の集まりであるこの国の軍をまとめるリーダーがおらぬというわけじゃ・・・」

これまで明るく話していたミコトの表情が、初めて曇った


ミコト

「わしはこの国の姫なのじゃが・・・」

「所詮は”ただの飾り”にすぎん」

「特に、戦いに関してはの」


アスナ

「なるほど、読めてきたわ」

「つまり、この国は”戦いを率いる将”がほしい」

「それでカイを婿にして、カイを旗印にしようってわけね」


エリス

「カイはすでに英雄ですものね!」


ミコト

「ほっほっほ」

「鋭いのぉ!」

ミコトはにやりと笑った。


ミコト

「じゃが、ハズレじゃ」


アスナ

「え?」

ーーー

アスナ

「ハズレ・・・」


ミコト

「幸い、去年”総大将”が決まっての」

「その者を軍のリーダーとして、サムライたちをまとめておる」

「軍としての旗振り役は足りておるということじゃな」

「じゃが・・・」


ミコトは真剣な表情で話した。


ミコト

「国の民は、不安な日々を過ごしておる・・・」

「自分たちの国が征服されるという恐怖を抱えながら必死に生きておるのじゃ・・・」

「ただでさえ国王が不在で、”飾りの姫がいるだけ”の国じゃからな」


アスナ

「・・・」


ミコト

「じゃからの!」

ミコトはまた笑顔で話し出した。


ミコト

「国の者を少しでも勇気づけ、安心させたくての!」

「こんな姫に、”強い夫”ができ、国王として光を国に灯せればななんて思っておったわけじゃ!」

「ほっほっほ」


エリス

「ミコト様・・・」


ミコトは明るく笑うが、アスナ・エリスにはその強い”国を守る覚悟”が伝わっていた。


ミコト

「それに、この城は大人ばかりで遊び相手がいなくてつまらん!」

「カイ、おぬしのような者がいたら楽しそうじゃと思ったのじゃ!」

「わしの勘じゃがの!」

「ほっほっほ」


カイ

「よくわかんねーけど」

「要するに、国のために”むこ”ってやつにおれがなるとミコトは嬉しいんだな!」


アスナ

「ってナチュラルになんで呼び捨てしてんのよ!」


ミコト

「ほっほっほ」

「よいよい、ミコトじゃわしは」

「そうじゃな、婿になってくれたらわしはうれしいぞ!」


カイ

「いいよ、その”むこ”になってやっても!」


アスナ

「カイ!」


カイ

「国のみんなを明るい気持ちにしたい・・・」

「その思いは何か・・・分かるんだ」


アスナ

「!」

アスナは、ルニールを開放したときの、カイを”英雄”と呼ぶ人たちの笑顔を思い出した。

(カイ・・・)


ミコト

「ほっほっほ」

ーーーー

ミコト

「まあそう急がなくてよい」

「婿の話はとにかく、帝国に立ち向かうために、ぜひこの国の軍に力を貸してほしいのじゃ」

「後で軍を案内させる」

「前向きに考えてくれるとうれしいの!」

「それじゃあの、カイとその仲間よ」


ミコトは家臣に促され、別の用事に向かった。


カイ

「うん、じゃーな!ミコト!」


アスナ

「失礼いたします」


エリス

「失礼しますわ、ミコト様」


ミコトとの対談の後・・・


カイ

「えっー!」

「むこになるって結婚するってことだったのかよ!」


アスナ

「なんで分かんないのに安請け合いしたのよ!」

「だいたいね、あんたが結婚なんて・・・」

「・・・」


カイ

「?」


エリス

「アスナ?」


アスナ

「もう知らない!」


カイ

「え?」

「なんで怒ってんだよ」


アスナ

「うるさい、このバカ!」

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