序章-1
毎日18:20更新!
(全16章・約40万字、完結まで執筆済みです)
1316年―ヴィレ大陸の端にある、小さな国ルニール。
世界の片隅にあるとある孤児院には、
まだ世界の広さも、戦いの意味も知らない、三人の子どもがいた。
孤児院の中庭。
アスナ
「カイー、大丈夫ー?」
「そんな重いの、持てんの?」
「あたしが持ってあげるから、貸しなさいよ」
明るい茶色の髪の少女が話す。
相手は、薪を抱えて踏ん張る、
青髪の少年。少女より15センチは小さい。
カイ
「大丈夫だよ!」
「また子ども扱いしやがって!」
アスナ
「扱いじゃなくて、子どもなの!」
「ほら、いいから貸しなさいってば!」
カイ
「うるせえ!」
アスナ
「何よ、その言い方ー!」
―ギャーギャー。
言い合いの向こうから、
静かな声が聞こえる。
シキ
「……おい、カイ」
アスナ
「シキ、聞いてよ!またカイがー」
話すアスナを横目に、カイの髪をいつものようにゴシゴシと触る。
カイは、これが気恥ずかしいけど好きだった。
シキ
「ったく、アスナはあんなにしっかり者だってのに」
アスナは褒められたことに少し頬を赤らめる。
シキ
「カイ、アスナをあんまり困らせるなよ」
「またケガして、泣くんだからな」
カイ
「シキもうるせえよ!」
カイは、むきになって叫ぶ。
カイ
「いつか――"あの剣"を持って、シキよりも強くなって」
「アスナのことも守れる男になってやるんだ! おれは!」
……悔しいが、シキはこの辺りでは有名な存在だった。
身長こそアスナより少し高い程度だが、とにかく強い。
この前も、街を脅かす盗賊5人組を竹刀一本で叩きのめしてきたばかりだ。
それだけじゃない。
大人の軍人すら扱えない4大属性<火・水・土・風>の魔法をすべて使いこなす。
シキが訓練する姿を見つめるアスナの目が、いつもと違うのも気づいてる。
...そんなシキが、"自慢の兄"であり、いつの間にかおれの目標だった。
―ゴン。
アスナの拳が、
容赦なくカイの頭に落ちる。
カイ
「ンゴ!!」
アスナ
「はいはい」
「いつになったら、あたしのこと守ってくれるのか」
「楽しみにしてるわね」
そう言って、カイが落とした薪も拾い、歩き出す。
アスナ
「行こ、シキ」
シキは、涙目になってうずくまるカイを見下ろし、
そのまま背を向け――
次の瞬間、ひょいと背負い上げる。
シキ
「ほら、カイ」
「いくぞ」
カイ
「う~~!」
「おろせってのー!!」
三人の声が、
夕暮れの孤児院に響く。
この時はまだ、
誰も知らない。
この何気ない日々が、
二度と戻らないことを。
ご覧いただきありがとうございます!
この平穏な日々に、一体何が起きるのか――。
次話から、いよいよ物語が動き出します。
下の「次の話へ」から、そのままお進みください!
「続きが気になる!」と思っていただけたら、
【ブックマーク登録】や【★★★★★評価】で応援いただけると大変励みになります!




