表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

01美少女からの追放宣言

書いていきまーす

 朝の光が、薄いカーテン越しに差し込んでいた。

 埃がきらきらと舞う、どこにでもある宿屋の一室。


 その静けさを、叩き割るような声が響く。


 「ディスト! あんたをこのパーティから追放するわ!」


 「えっ……?」


 思わず、間の抜けた声が漏れた。

 目の前に立つ少女は、腕を組んだまま僕を見下ろしていた。


 短めに切り揃えた赤い髪。藍色の瞳。

 気の強そうな印象を与える美少女。

 彼女の名前はのアンジェラ。

 僕達のパーティ”太陽の戦乙女”ーのリーダーだった。

 その視線には、迷いがない。


 「いい? アタシたちはもうすぐSランクよ」


 きっぱりとした声だった。


 「そんな時に、あんたみたいな“弱い魔法しか使えない魔術師”を抱えてる余裕なんてないの。

 だから、今日で終わり。パーティから出てって」


 あまりにもあっさりとした言葉だった。

 僕は、弁明しようとして――やめた。


 喉の奥で、言葉が絡まる。


 「……」


 言い返せなかった。

 いや、言い返さなかった。


 「それにさ」


 アンジェラは露骨に顔をしかめた。


 「あんた、普通にキモいのよ」


 「……」


 「なんかジトっとしてるし。視線もなんかやだもん」


 ズバズバ来る。

 容赦ない言葉が飛び交う。


 「じゃあね、ディスト。ついてこないでよ」


 ――バタン。


 扉が閉まる。


 静寂。


 「……はぁ」


 ため息を一つ。


 静かになった部屋で、僕はベッドに腰を下ろした。

 アンジェラは強い。

 それは間違いない。


 あの炎を纏った剣。

 彼女の得意とする技”紅蓮(クリムゾン・ロータス)”。


 あの圧倒的な出力。

 正面からぶつかれば、

 大抵の相手は一瞬で焼き切られる。


 ――ただし。


 「本来なら、あの剣は保たない」


 ぽつりと呟く。

 僕の強化魔術は、物質に作用する。


 強度。耐久。構造。


 目に見えない部分を、底上げする。


 だからこそ――あの剣は、壊れなかったのに。


 僕はゆっくりと目を閉じた。


 「――”浮遊する眼(レビテーション・アイ)”」


 意識が、浮く。

 視界が、離れる。

 遠くへ、伸びていく。


 やがて――


 (……見えた。)


 石畳の道を歩く、赤い髪。

 スキップでもするような調子で、

 アンジェラが進んでいる。


 「……」


 その姿を、僕は“上から”見ていた。


 「さて……」


 誰に聞かせるでもなく、呟く。


 「どうするんだろうね」


 少しだけ、首を傾げる。

 アンジェラは、気づいていない。

 自分が、何に支えられていたのか。


 そして――


 僕の口元は、


 ほんのわずかに、緩んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ