01美少女からの追放宣言
書いていきまーす
朝の光が、薄いカーテン越しに差し込んでいた。
埃がきらきらと舞う、どこにでもある宿屋の一室。
その静けさを、叩き割るような声が響く。
「ディスト! あんたをこのパーティから追放するわ!」
「えっ……?」
思わず、間の抜けた声が漏れた。
目の前に立つ少女は、腕を組んだまま僕を見下ろしていた。
短めに切り揃えた赤い髪。藍色の瞳。
気の強そうな印象を与える美少女。
彼女の名前はのアンジェラ。
僕達のパーティ”太陽の戦乙女”ーのリーダーだった。
その視線には、迷いがない。
「いい? アタシたちはもうすぐSランクよ」
きっぱりとした声だった。
「そんな時に、あんたみたいな“弱い魔法しか使えない魔術師”を抱えてる余裕なんてないの。
だから、今日で終わり。パーティから出てって」
あまりにもあっさりとした言葉だった。
僕は、弁明しようとして――やめた。
喉の奥で、言葉が絡まる。
「……」
言い返せなかった。
いや、言い返さなかった。
「それにさ」
アンジェラは露骨に顔をしかめた。
「あんた、普通にキモいのよ」
「……」
「なんかジトっとしてるし。視線もなんかやだもん」
ズバズバ来る。
容赦ない言葉が飛び交う。
「じゃあね、ディスト。ついてこないでよ」
――バタン。
扉が閉まる。
静寂。
「……はぁ」
ため息を一つ。
静かになった部屋で、僕はベッドに腰を下ろした。
アンジェラは強い。
それは間違いない。
あの炎を纏った剣。
彼女の得意とする技”紅蓮”。
あの圧倒的な出力。
正面からぶつかれば、
大抵の相手は一瞬で焼き切られる。
――ただし。
「本来なら、あの剣は保たない」
ぽつりと呟く。
僕の強化魔術は、物質に作用する。
強度。耐久。構造。
目に見えない部分を、底上げする。
だからこそ――あの剣は、壊れなかったのに。
僕はゆっくりと目を閉じた。
「――”浮遊する眼”」
意識が、浮く。
視界が、離れる。
遠くへ、伸びていく。
やがて――
(……見えた。)
石畳の道を歩く、赤い髪。
スキップでもするような調子で、
アンジェラが進んでいる。
「……」
その姿を、僕は“上から”見ていた。
「さて……」
誰に聞かせるでもなく、呟く。
「どうするんだろうね」
少しだけ、首を傾げる。
アンジェラは、気づいていない。
自分が、何に支えられていたのか。
そして――
僕の口元は、
ほんのわずかに、緩んだ。




